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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第4章 東部戦線 戦あり編

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第5話 ござるござるよ貫蔵くん(偽名)と煙蔵くん(偽名)は

タイトルで半バレするネタ

20/2/13 主人公が貰った知行地変更で石高が修正されてます

1521年(永正18年)5月

-石見(島根西部)-


 主上(後柏原天皇)の即位礼正殿の儀が無事に終わった。これで、大内氏と尼子氏の戦闘が再開する・・・とはならない。晩秋に五穀豊穣を感謝し、その継続を祈る、一代一度の大嘗祭が行われるまでがセットだからだ。そしていま矢羽城の眼下には大規模な田園が出現していた。お約束だよね。


「お初にお目にかかります。高橋家家臣で今川貫蔵(いまがわかんぞう)と申します」


 そういって俺の目の前にいる右の男が顔を上げる。ドングリ眼にへの字口。ナルトほっぺの覆面を被ってる。


「お初にお目にかかります。高橋家家臣で世木煙蔵(せきけむぞう)と申します」


 そういって俺の目の前にいる左の男が顔を上げる。どんぐり瞳に3の字口。雀斑ほっぺの覆面を被っている。お前ら藤子〇二雄〇先生に謝れ!いや、偽名を名乗り正体を隠して来いと言ったのは俺だけどさぁ。


「多治比家の御伽衆の頭で、畝方三四郎元近せがたさんしろうもとちかと申します」


 こちらも頭を下げる。くそっ・・・俺も変装しておけばよかった。


「来て頂いたという事は、今川、世木は多治比家についてくれると?」


 話を振ると、二人は顔を合わせて頷く。今川氏、世木氏は高橋氏に仕えている忍者なのだが、たま姫さまを救うために、吉川氏の家臣の宮庄経友さんを通じて声を掛けていたのだ。


「我らは多治比家ではなく畝方さまに仕えたく」


「は?」


「我ら多治比家、吉川家と尼子家に伝手がある畝方さまに仕えたく」


 え?


「碌は畝方さまの技術の一端を」


「え?そんなもので良いの?」


「問題ありません」


「ならいいけど」


 そういうと「おおっ」と二人から感嘆の声が上がる。まあ、俺が貰った55石の知行地は、いまや開墾に次ぐ開墾で米だけで278石を越えてる。雑穀や税分を除外した唐芋(サツマイモ)の収穫を含めると実質600石に近い。所有地の石高が5倍から10倍なる秘術なら碌としては十分か?

 あと俺の畝方村は、有田城の戦いで村が離散し難民と化した農民を中心に60人近い人間が移り住んでいて、うち20人が専業の兵として三入高松城に交代で詰めている。また三入高松城の空堀の造成で雇った人足200人のうち50人近くが村に来ているらしい。ちょっと多いよね。


「畝方さまの農業技術は見ただけでは真似がし辛く」


「しかりしかり」


 今川貫蔵くん(偽名)の言葉に世木煙蔵くん(偽名)が頷く。まあ一応、技術拡散しないための予防策として、隠蔽しやすい塩水選による種籾の選別と種子消毒は秘密保持に結構使えると判ったので、起請文によって機密としている。俺以外で知っているのは部下の四郎と六郎太。尼子氏では国久さんの3人だけだ。というかやっぱりしっかり諜報活動してたのね。


「暫く高橋家に仕えて情報を。そちらが欲しい情報も可能なものは必要に応じて流します」


「「はっ」」


「では早速ですが(尼子)伊予守さまと顔を繋ぎたく」


 今川貫蔵くん(偽名)がより深く頭を下げる。尼子氏と深く繋がっていた高橋久光が死んだこと。尼子氏の勢力が石見山吹城まで出張って来たから高橋氏としても尼子氏との誼をより深くしたいということかな。

 ただ、一度切れかけた尼子氏と高橋氏を近づけることは、後に毛利宗家のお家騒動という火種に繋がるんだよな・・・


1521年(大永元年)9月


 主上(後柏原天皇)の即位式典を前に2度めの逃亡をした10代将軍の足利義稙の代わりとして、11代将軍の足利義澄の遺児、足利亀王丸が管領の細川高国によって京に戻ってきた。また、戦乱、天変などの災異を理由に年号を永正から大永へと改元される。


 矢羽城の改修が完了し、十分な田んぼと唐芋(サツマイモ)畑。200人近い半兵半農民の住む村を整えた俺は畝方村に戻っていた。200人のうち空堀の造成後にきた50人を含む70人ほどは畝方村の関係者だったりする。

 なお、矢羽城は琵琶甲城と名を変え、志道広良さんが正式に城代として任じられた。その際、志道の家督を広長さんに譲り、自らは末子である才徳丸くんが名乗るはずだった口羽姓を名乗ることになった。この辺は10年も早く矢羽城を占領したことが原因だろう。次男で三入高松城城代である広門さんはどうするんだろうね?


 尼子氏と誼を結んで大内氏を当面の敵とした俺は元就さまの許可を得て大内氏弱体化の手を打つことにする。大内氏を支える力のひとつが、大内義興が10代将軍の足利義稙を奉じて上洛し、将軍職復帰に尽力した褒美として、1516年に認められた遣明船派遣の管掌権を永久的に保証されたという明との貿易。


「腑抜けを公方につけた管領殿(細川高国)は主上さまの即位を助けたが、もう一方のお方は褒美で貰った外国との商売のほうが大事なようで(要約)」という噂を尼子氏の鉢屋衆に頼んで京で流させる。

 後押しすれば史実より早く細川高国は大内義興の遣明船派遣の管掌権に横槍を入れてくるだろう。中国で起きた寧波の乱の前倒しだ。成功すれば数年から十数年は貿易に支障が出る。いろいろ支援したいが、石見銀山がまだ手に入っていないので大きく動けない。

 いま出来るのはせいぜい噂を広げるだけ。そろそろ近畿の忍者にもスカウトの手を伸ばす時かもしれない。

藤子〇二雄〇先生ごめんなさい

なお今川、世木は伊賀の上忍三家(服部・百地・藤林)のような安芸の世鬼・座頭衆に所属する一族という設定にしています。

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