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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第26章 東北三国志編

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第8話 つかの間の平和

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- 1540年(天文9年)10月 -

- 陸奥(福島、宮城、岩手、青森、秋田北東部) 多賀城 -

- 三人称 -


 陸奥での武田氏と伊達氏の戦いは、桑折西山城を包囲された伊達氏側からの降伏の申し入れという形で集結した。

 伊達稙宗は伊達氏の当主を引退して出家し、伊達氏は嫡子である伊達晴宗が継ぐことになり、武田氏は小山田虎親を派遣。兵2000を残して本国へと引き上げる。

 陸奥入りした小山田虎親は多賀城・・・昔の陸奥国国府、いわゆる陸奥将軍府だった城を拠点とすると、近くにある(現代の仙台港に当たる)港の整備に取り掛かる。

 このとき領民を動員し、労働の対価として金と食糧を支給する。これは伊達氏が春先に籠城という選択をしたため、この地域周辺で田植えや種まきなどの初期農作業が大幅に遅延したのが理由。ただでさえ夏場に飢饉が発生する地域なので、これに備えさせるためだ。


「賦役ではないのですか?」


 伊達家から派遣されてきた老臣、小梁川宗朝が尋ねる。この老臣は伊達家第11代当主伊達持宗の孫にあたる人物で、若い頃に京で兵法・剣術を修め鞍馬の天狗と称され、足利義晴に召し出されたあとは将軍家と伊達家の関係構築に尽力。伊達稙宗が奥州では探題職である大崎家の世襲官位である左京大夫に叙された際に宣旨を持って帰国。帰国後は主家である伊達家以外に葦名氏、相馬氏からも知行を得て活躍するご老人だ。


「賦役だと領民が我らに納める税になる。いまそのようなもの課したら、ただでさえ厭戦気分でダダ下がりの領民の士気がさらに下がって作業に支障が出るぞ?これは武田が領民救済を兼ねた公共事業だ」


 小山田虎親は笑って説明する。


「公共事業?」


「簡単に言えば領民の持つ労働力を税として搾取するのではなく、金や食糧で買うのだ」


 小山田虎親は自信満々に説明する。


「上手くいきますか?」


「なに。功績ある者は必ず褒美を与えて能力を発揮させよというのは農民武士関係なく人を動かすための基本だ」


「韓非子ですか・・・」


 小山田虎親の言葉に小梁川宗朝は胡散臭そうな表情を浮かべた。



- 越後(新潟本州部分) 春日山城 -

- 主人公 -


 春に植えた作物たちが越後の地で大豊作だ。特に馬鈴薯が、大量の作付けを行っての大収穫である。


唐芋(サツマイモ)と馬鈴薯ですが、加工して越後以北の調略の一助として使うのはどうでしょう」


 定例である評定の場にて、今年新たに越後で収穫された農産物の取り扱いを話しあう。

 ちなみに唐芋(サツマイモ)の加工品というのは、唐芋(サツマイモ)を蒸かして短冊状に切って干したもの。馬鈴薯の加工品というのは薄く切って油で揚げて塩を振ったものである。毛利領では保存食ではなく、領民でも間食や酒のつまみとして良く食べられるものだ。


「今まで湿地帯だったところから水が抜かれ耕作可能な土地が増えためか、特に馬鈴薯が大豊作だと聞きましたが」


 北畠晴具さんが報告書を繰りながら尋ねてくる。


「はい。通常は余剰分は全て酒の製造とかに回すのですが、北だと保存用の食糧としての需要が高そうなので」


「なるほど。だから加工するのですね」


 北畠晴具さんはニッコリ笑う。保存食しか支援しない意味に気付いたようだ。これは全員一致で賛成承認された。


「次に、今年試験的に導入した新しい米ですが、かなり出来が良いです。越後の光る米・・・越光(コシヒカリ)の名で京を中心に売り、得た金を越後開拓の原資にしましょう」


 嫡子の畝方元晴がガチャで引いたこしぴっかり(寒冷地仕様)だけど、元ネタであるコシヒカリ、元旧新潟県農業試験場長の国武正彦氏が詠んだ和歌に由来する米の名で流通させることを提案する。字面はカタカナではなく漢字で「越光」。これも全員一致で賛成承認された。なお、五俵ほどが選別されて出雲(島根東部)にある尼子国久さん所有する酒の研究所にサンプルとして差し出すことになったのはご愛嬌である。

 ただ飯米と酒米って目指す品質の方向が違うんだよなぁ・・・品種改良に使うのかな?

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― 新着の感想 ―
[一言] >ただ飯米と酒米って目指す品質の方向が違うんだよなぁ・・・品種改良に使うのかな?  そして出来た酒用の米は山田錦ならぬ畝方錦として、長く長く日本国内で使われ続ける辱めが……(ゲス顔)
[一言] さつま芋は北限が今の茨城なはずなので越後でぎりぎり、馬鈴薯が適任かと思われます。 伸びて葉っぱが出たところをそれぞれ切るだけで増えていくさつま芋はチート過ぎますが、収穫漏れして馬鈴薯から鬱蒼…
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