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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第26章 東北三国志編

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第5話 伊達と武田その裏で毛利

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-陸奥(福島、宮城、岩手、青森、秋田北東部) 二本松城-


 元寇のときには鉄砲(てつはう)と呼ばれ、武田家では焙烙玉(ほうろくだま)と呼ばれる新兵器の威力は、元寇当時と比べ火薬の性能アップもあって、かなり絶大だった。(もっとも、毛利家では更に火薬の性能のアップした手榴弾と呼ばれるものが既に実戦配備されていたりする)

 これにより須賀川城に攻め寄せていた伊達軍はたちまちのうちに壊走。さらに周辺に伏せていた武田軍の騎馬隊によりよって左右から追撃されて、多くの兜首が討たれた。その中には、伊達稙宗の娘婿である二階堂照行の名前もある。


「2500を率いて出て戻ったのは500に満たんとは・・・」


 伊達稙宗はがっくりと肩を落とす。城に戻らず直接自分たちの村に逃げ帰った雑兵がいたとしても今回の被害は甚大である。村によっては、働き手の減少で離散の憂き目に遭うところもあるだろう。その事を考えると頭が痛い。


「伊達殿・・・」


「うん?どうした修理大夫殿」


 数人の武将を引き連れ、思い詰めた顔の二本松稙国を見て伊達稙宗は首を傾げる。


「我ら二本松家は、貴殿を手土産に武田家に降ります。大人しく縛につかれよ」


「なっ!」


 伊達稙宗は大きく目を見開いて二本松稙国を見る。


「此度の戦い。勝てぬまでも善戦すればやがて来る冬将軍も我らに味方したでしょうが、大惨敗では話にならない。おい。縄を打て」


「はっ!」


 二本松稙国の側にいた武将が荒縄を手に伊達稙宗ににじり寄る。


「よもや縄目の恥辱を受けようとは・・・」


 二重三重に縄を掛けられた伊達稙宗はそう言ってうなだれた。


- 1539年(天文8年)12月 -

-佐渡(新潟佐渡島) 国府川陣屋 -


「此度はご愁傷様で」


「ありがとうございます」


 そう言って頭を下げたのは陶隆房くん。先日、父親の陶興房さんが亡くなって家督を継いだことと、来月1日をもって北陸方面軍に着任することの報告しに来たのだ。


「担当は、陸奥(福島、宮城、岩手、青森、秋田北東部)の斯波です。情報の共有が済めば、定時報告以外は好きにしてください」


「観音寺城で斯波殿から預かった手紙ですか?」


「そうですね。一通は最上で一通は陸奥の斯波宛てのものです」


 陶隆房くんが思い当たったことを肯定する。


「そうそう。無理に斯波をこちらに引き込む必要はありません。捏ねるなら早々に切り捨てて下さい」


「御意」


 陶隆房くんは、再び頭を下げた。



 評定での定期報告で、世木煙蔵くんが近隣の現状を報告してくれる。

 まず越後(新潟本州部分)。伊達氏の三男を後継者として受け入れた守護上杉氏に対して、大半の越後国人衆が猛反発している。特に長尾為景さんの派閥が顕著だ。

 次に出羽(山形、北東部除く秋田)。伊達氏によって出羽で傀儡の盟主をやっていた最上義守さんに、こちらから尾張(愛知西部)の斯波統雅さんの手紙を届けたところ、同じ尾張斯波氏の一族である天童氏と共に毛利氏に従属する方向で話し合い、同時に伊達氏との距離を取り始めた。

 そして陸奥。


「伊達と武田の交渉は、難航しているようです」


 武田氏と伊達氏との戦いは、陸奥に侵攻した武田氏が迎撃に出た伊達氏の当主、伊達稙宗を捕縛する大勝利。

 普通なら停戦して多少不利な条件を押し付けられた上で、多額の身の代金を支払っての和議である。

 このとき武田氏は、伊達氏に対し当主返還の条件として武田氏への従属を求めたそうで、この提案に対し伊達氏は難色を示した。

 伊達氏は東北で多くの国人を束ねる立場にあるから、簡単に「分かりました従属します」とは言えなかったのだろう。

 そしてここで、陸奥で記録的な大雪が降り、話し合いは中断。交渉は雪解けするまで延期する事となったそうだ。

 多分、伊達氏は冬の間に東北での自分の派閥の結束を、武田氏は伊達氏の派閥の切り崩しを謀るべく暗躍するだろう。何しろ北陸奥を拠点とする南部氏は、武田氏とは甲斐源氏を祖とする同族で、八戸南部の南部信長は武田信虎さんとは旧知の仲。手を組む可能性が高いんだよね。

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― 新着の感想 ―
[一言]  冬。  雪に囲まれて大きな動きが出来ない東北。  暗闘の季節がやってまいりました。
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