表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第24章 領地拡張・・・お隣さんは越後の龍に尾張の虎編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/278

第11話 佐渡本間家の臣従

閲覧・感想・ポイント評価・ブックマーク・誤字報告・いいね、ありがとうございます

- 1538年(天文7年)12月上旬 -


佐渡(新潟佐渡島)沖


 能登(石川県北部、能登半島)での夜間砲撃の後、夜明け前には佐渡へ移動する。佐渡には、この船が寄港できる湊がまだ無いので、沖合に停泊して小舟で砂浜へと上陸することになる。今年はまだ雪が降りだしておらず海もそんなに荒れていないのは幸いだ。

 まず先発隊の10人が上陸。その後、円匙と麻袋を入れた背嚢を背負った工兵10人が上陸し、上陸した全員でせっせと麻袋に砂を詰めて積み上げ、簡単な陣地を築いていく。既に上陸地点の領主はこちら側に引き込んでいるので、やってることは訓練なんだけど時間制限があるので全員真剣である。


「流石ですな」


 双眼鏡を片手に上陸部隊を眺めていた北畠晴具さんが感心した声を上げる。


「海を迂回路に敵の後方に回って戦線を遮断。然る後、各個撃破は毛利の十八番ですからね」


「ほほ、確かにそう習いましたな。となると、ここより北ではかなり猛威を振るうのでありましょうな」


 北畠晴具さんは口元を抑えほほと笑う。ほほって・・・まあ、現時点で越後(新潟本州部分)より北は、伊達家当主である伊達稙宗を扇の要とした婚姻と血縁関係によって結びついている。

 だが、関東一円を勢力下に収める武田氏が北へと伸びている今、更なる勢力の拡大と血族による団結強化を図って、かなり無茶なことをやっている。

 例えば、何人かの陸奥(福島、宮城、岩手、青森)有力国人の嫡子がいきなり病死したり、偶然事故死したりしたところの後継者指名に口を出してみたり、伊達家の血縁者の女子を嫁として送り込んだり、次男を養子として送り込んだりした。まあ、有力国人の嫡子が死んだ事件の幾つかは、武田氏が裏で糸を引いているのだろうけどね。

 そして、史実通りというか、史実を識る小山田虎親の暗躍で、史実よりも早く越後の守護である上杉定実の後継者問題に口を出している。伊達稙宗の三男で、越後上杉家の一族である中条藤資の妹を母親に持つ伊達時宗丸を養子として送り込むという、後に伊達家天文の乱と呼ばれるお家騒動の引き金を引こうとしている。

 尤も、この縁組みを最初に打診したのは、毛利氏が北陸経由で北上してくる事を察知した越後守護代である長尾為景と中条藤資なんだけどね。つまり、虎を追い払うのに狼を招き入れた訳だ。

 ただ2年前に陸奥の有力国人衆である大崎家で起こった新田頼遠の出仕拒否に端を発する大崎天文の内乱に伊達稙宗が関与していたのが発覚し、それを知った長尾為景が態度を一転させたらしい。というかね、騒動後に大崎家に伊達稙宗の次男である伊達小僧丸が養嗣子に入っている時点で気付けよ。露骨過ぎだろって話だ。


「畝方殿。どうやら本間の兵が到着したようですぞ」


 北畠晴具さんの持つ望遠鏡の先を見ると、16分割した菱形のそれぞれに黒点を穿つ十六目結と呼ばれる家紋が描かれた旗と白い無地の旗を掲げた十数人の兵がこちらにやって来るのが見えた。




「佐渡国の守護職で本間佐渡守有泰と申します」


 貧相・・・心労でやつれた顔をしたドジョウ髭の男が恭しく頭を下げる。同時に両脇の血縁者だと推測できる男達も頭を下げる。多分、河原田本間氏と羽茂本間氏の当主だ。

 本来なら、降伏する側である本間氏が摂津にいる元就さまの元に出向いて臣従する旨の挨拶をするのが筋なのだろうけど、これから佐渡は雪と荒波に閉ざされ春まで孤立状態になる可能性が高い。

 そうなると本間氏の誰かの気が変わって越後の上杉だか長尾に寝返りされても困るから、こっちから出向いてきたのだ。


「毛利家北陸方面軍司令。北畠天祐と申す」


 北畠晴具さんが本間有泰の挨拶に応える。北畠晴具さん自身は、朝廷官位として参議とか伊勢国司という官位を持っているけど、敢えて2年前に出家したときに授けられた法名を名乗る。これは、北畠晴具さんが毛利氏に臣従した時点で北畠晴具さん自身が決めたこだわりらしい。

 尤も、毛利氏でも名乗りの際に朝廷官位や武家官位ではなく法名を使う人がいるから、この事でどうこう文句を言う人はいないんだよね。まあ、日本を半分も支配下に置いていると、家名、幼名、諱、官位と複数箇所で被っている人というのが結構いたりする。これは、元服までの幼名が父親の幼名と同じとか、魔除け的に奇天烈だったり逆に汎用な名前を付けたり、元服したときの諱を決めるときに、先祖代々で受け継ぐ一文字と諱を授けてくれるお偉い人の諱の一文字を組み合わせるのが慣例だから起きる弊害なんだけどね。

 あ、ちなみに俺は、毛利氏内では畝方施薬院頭元近を名乗り朝廷では施薬院欧仙もしくは単に欧仙と名乗っているよ。

 欧仙は毛利氏と朝廷との交渉を行う仮の姿だったんだけど、今では将軍だった足利天晴さんに全部丸投げしている。だけど、主上の茶道(紅茶を含む)の指南役兼相談役時々薬師としてのお仕事からは逃れられないんだよね。強制されないからいいんだけどね。


「本間三家は毛利に臣従致します」


「「臣従致します」」


 本間有泰が最初に頭を下げ、他の二人も続けて頭を下げる。


「うむ。毛利のため励めよ。だが、毛利の政を学ぶためそれなりの場所でそれなりの時間が必要である。我も摂津(兵庫南東部から大阪北中部)にて学んだからこそ今の地位がある。励めよ」


 北畠晴具さんは「励めよ」という言葉を2回ニッコリと笑って強調する。身分も立場も家の家格も全部上の人にこう言われると本間氏も反論できない。北畠晴具さんと一緒に、留学生という形で本間氏の三人の嫡子と数名の家臣が越前に帰還する事になったよ。

今更ですがこの世界も毛利・武田・伊達・その他に絞られてきました

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] >越後の守護である上杉定実の後継者問題に口を出している。  これの(義理の)甥にあたるのが謙信だったかな?  つまり軍神が降臨するかどうかの瀬戸際か。  まあどっちにしろ、武田が進みまくっ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ