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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第19章 巨大な小豆袋編

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第16話 六角の堅田崩れ

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三好海雲→三好元長

1535年(天文4年)10月

- 北近江(滋賀北半分) 堅田近く -

- 三人称 -


 観音寺城を出立した六角定頼が率いる兵3,000は近淡海(琵琶湖)の湖岸を時計回りに、途中の兵粮料所で兵糧と僅かな兵士を補充しながらひたすら堅田を目指す。堅田を押さえれば毛利軍の京への退路が絶てる。あとは兵糧が尽きるまで守れば兵の多い毛利は自然と瓦解する。それが前管領の細川六郎(晴元)の立てた作戦の骨子。

 ただ、朝倉が毛利に寝返れば瓦解するのは近江(滋賀)ではないか?という疑問はあった。だが、細川六郎はこう断言する。毛利ごとき田舎の国人がでかい顔をして京に居座っていることに畿内の守護や守護代が一致団結して排除に動いている。朝倉も京極もすでに協力することの内諾を得ている。と。

 もっとも、朝倉には六角と京極が賛同していると言い、京極には朝倉と六角が合力するといって丸め込んでいるのだが、それを確かめる手段がない。後日、毛利討伐の意思をしたためた血判の押された連判状が届けられ、朝倉、六角、京極は計画を信用し行動を起こしたのだ。



 小汚い男が背の低いイタチ顔の男、六角氏の両藤と呼ばれる重臣の後藤賢豊に何やら話し込んでいる。やがて後藤賢豊は懐から小袋を取り出して小汚い男に渡すと、塵取輿・・・台座に長柄だけの輿の上に座る六角定頼の側にやってきて報告をする。


「御屋形様。斥候からの報告です。堅田におよそ3,000の毛利軍を発見したと」


「ふむ。さすがに数に驕る毛利でも万が一に備えて退路は確保するか」


 ここ一年の心労ですっかり頬のこけた吊り目の男、六角定頼はすっと目を細める。


「数はこちらが圧倒的に有利かと」


 ひょろ長いネズミのような貧相な顔の男、六角氏の両藤と呼ばれる重臣のもう片方である進藤貞治が進言する。


「よし交代で兵に食事と休息を与えよ。今夕、堅田の毛利軍に夜討ちを仕掛けるぞ」


「はっ」


 六角定頼の命令が伝達され、六角軍はその動きを止め、やがてあちらこちらから炊事の煙が立ち登り始める。



 どん、どん、どん


 不意に近淡海(琵琶湖)のほうから三つの音が響いてくる。


 数秒後、バガン、バガン、バガンと六角軍の上空で破裂音が響き渡る。「何事!?」と叫ぶ兵士たちの頭に大量の礫が降り注ぎ、頭への直撃を喰らった運の悪い雑兵がバタバタと倒れた。



「孫次郎。下知を」


 四角い顔にドングリ眼。野性味あふれるトラ髭に2メートル近い巨漢、三好長逸が石見馬と呼ばれる毛利でも珍重されている大型馬に騎乗する線の細い切れ長の目の少年・・・三好海雲の嫡子である三好千熊丸改め三好利長に声をかける。


「あー手柄が欲しい諸兄らには申し訳ないが、初陣である俺には戦果も含め適当でいい。というか彼らの受難はあと二つあるので我々が頑張ってしまうと申し訳が立たない」


 どっと兵の間に笑い声が上がる。


「では行こうか。法螺貝を鳴らせ」


 三好利長が命令を下すと戦場にぼーーーーーーーーっと法螺貝の音が鳴り響く。



「敵襲!」


 法螺貝の音を聞きつけた六角軍の兵の誰かが叫ぶ。と、毛利の家紋である一文字に三つ星や三好の家紋である三階菱に釘抜紋を染め抜いた旗指の翻る一群が姿を現す。


「放て!」


 命令を受け、毛利軍の弓兵300から矢の雨が放たれ六角軍を襲う。


「撃ち方止め。長槍隊、突撃!」


 三好利長が軍配を振り下ろすのと同時に鬨の声があがり、長槍を掲げた2,500の兵が突撃を開始。六角軍は食事と休息で武装を解いていた兵も多くたちまちのうちに討ち取られていく。


「それそれ。六角のアホどもを追い立てろ」


 三好利長は意図的に攻撃の弱いところを作り、そこへ六角軍が逃げるように追い立てる。時間にして一刻(約30分)。六角軍は、戦死者、重傷者、降伏者と500人近い兵を失い南へ来た道へと逃げていく。


 じゃーん、じゃーん、じゃーん


 突然鳴り響く銅鑼の音。全力で一時(約一時間)ほど走った六角軍の前に毛利の家紋である一文字に三つ星や長宗我部の家紋である七つ酢漿草(ななつかたばみ)が染め抜かれた旗指が翻る。

 「げぇっ!関羽!!」(間違い)「げぇっ!こんなところに毛利軍がっ!!」と六角軍の誰もが思った。もっとも、毛利軍は六角軍が北上するよりもずっと前からここから少し離れたところに兵を潜ませていて、前から取り決めていた近淡海(琵琶湖)から鳴り響く三つの音を合図とし、六角軍の退路へと来ていたのだ。


「討ち取れ!」


 眉目秀麗な顔立ちにあご髭をやぎの顎下の毛のように長く伸ばした男、長宗我部国親は大声で軍配を振り下ろすと鬨の声が上がり、毛利軍4,000の兵が無秩序に散らばっている六角軍に襲い掛かる。


「御屋形さま。ここは(それがし)が引き受けます・・・」


 進藤貞治は持っていた槍を天に掲げる。


「我こそは六角の両藤と呼ばれし進藤山城守貞治なり。我を討ち取り手柄とせよ」


 槍を振り回し大音声に叫びながら、進藤貞治は毛利軍へと突撃を敢行するが兜首という事もあり、あっという間に槍に囲まれて打ち据えられ、捕縛される。その手際の良さは芸術といってよい。ここで六角軍は1,300人以上の兵を失うことになった。

おざなりだった人物描写があるのは「げぇっ!関羽!!」のため

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― 新着の感想 ―
[一言] じゃーん×3 げぇっ関羽 いただきました。 ご馳走さまでしたm(_ _)m
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