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元就の野望~全国版~。わたしはガチャを駆使して補佐します  作者: 那田野狐
第12章 九州統一編

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第1話 島津は大友についた

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 スマホに入っているゴッドアイアースという(比喩でなく)神アプリは、配下にした動物が索敵した範囲が地図アプリで見える大変便利なモノだが、実はひとつ大きな欠点がある。写真に近い映像だけど、真上から見た図しか閲覧できないので、地面の高低差は等高線で判るが、それ以外の例えば崩れた崖とか生えている植物の種類とか沼の存在とかは判らない。

 このアプリで作れる地図を頼りに、10人ぐらいなら歩く事は出来るだろうけど、100人以上が、しかも行軍するとなるとこの程度の情報では心もとない。そこで忍者軍団の出番である。作った地図の等高線の見方とかを教えて、情報の補完をお願いする。道はあるのか?あるならどれくらい広いのか?伏兵が配置できる場所とか伏兵されたら困る場所とかのチェックもしてもらう。


「地形の最終確認をお願いします」


「委細承知」


 今川貫蔵さん配下で、攪拌同盟(仮)で少し面識のあった才蔵さん、佐助さん、十蔵さんが頭を下げる。彼らは、今川貫蔵さんの命令で豊後(大分南部)の情報を集めていた草である。


「伏兵を行うのですか?」


 今川貫蔵さんが静かな声で尋ねてくる。なお、今の今川貫蔵さんは忍者モードなので、竜の覆面をかぶっている。


「島津は、囮を使って敵を誘き寄せたのち伏兵による包囲殲滅作戦を好むと聞きます」


 いわゆる釣り野伏。伊作忠良さんこと愚谷軒日新斎さんの、今から5年ぐらい後に生まれる孫にあたる島津義久が考案したとされる必殺の陣。一応、今回の遠征についてきたゴウレンジャーの二人に釣り野伏なる陣があるかどうか聞いて、知らなかったことは確認済みだけど、既にその雛形となる陣があってもおかしくないからね。


「詳しくお伺いしても?」


 今川貫蔵さんが興味津々なので簡単な説明する。まず部隊を三つに分け、二つを伏兵に適した場所の左右に配し、残った隊が敵を死地まで引き寄せた後、包囲殲滅するのだ。なので釣り野伏の肝は、伏兵が隠れている場所まで敵を引き寄せる「釣り」の部隊だ。強いと敵は釣れないし、弱いと引き寄せる前に殲滅させられる可能性がある。高い練度に強い団結力も必要だ。


「効果はあるのですか?」


「伏兵による包囲攻撃で混乱しない兵というのは中々いないし、頭を潰せば雑兵は四散するでしょ。ただ・・・」


「ただ?」


「囮部隊は高い練度に強い団結力が必要なのです」


 俺の言葉に今川貫蔵さんは大きく頷く。


「つまり、状況によっては囮部隊に畝方親衛隊を使うのですね」


「それは島津が出して来る兵の数にもよるかな?」


 一応肯定しておく。あ、畝方親衛隊って仰々しい名前が付いてるけど、畝方領で常備兵として雇っている人だから勘違いしないで欲しい。まあ、武器とか防具とか、鍛錬法とか食事による体つくりとか色々やらかしてるけど。


「いえ数に関係なく、実戦で試してみましょう」


 あ、今川貫蔵さんの眼と口元が悪くなった・・・


 - ☆ -


 才蔵さんと東郷十三さんから、薩摩(鹿児島西部)の島津実久が大友支援のための援軍として兵2000を出したという報告が入った。情報の入手経路が複数ということは確定情報という事だ。

 軍を率いる大将は伊地知重貞と島津昌久のふたり。島津実久の誘いを受けて愚谷軒日新斎さんの領地を掠め盗った輩である。たぶん島津実久に忠誠を示すための出陣だろう。負けても、最悪死んでも惜しくない人材ということだ。なら打つ手は多くない。


「到来している島津軍に伊地知重貞、島津昌久、島津実久が不仲であり、実久が重貞と昌久を排除したがっていると噂を流してください。一度でいいです。あと日向(宮崎)の伊東氏が兵を動かしていることも」


「御意」


 佐助さんが頭を下げて出ていく。ただでさえ厭戦気分にあるであろう島津軍を揺さぶるための一手だ。


「日向の伊東に、薩摩の島津が肥後(熊本)を経由して豊後(大分南部)に攻め込むらしいが、本当は日向を攻めるのではないかと派手に情報を流してください」


「御意」


 十蔵さんが頭を下げて出ていく。こちらは日向の伊東氏と島津の離間策。最悪、大友への援軍を躊躇わせればそれでいい。


「では、福原左近允殿に島津迎撃の志願をしてきましょう」


「はっ」


 今川貫蔵さんが頭を下げる。なお、福原広俊さんからの許可は二つ返事で降りた。率いる兵は畝方親衛隊から500。西海毛利水軍の船団護衛から300ほど引き抜いた合計800である。殲滅させる必要は無いからこれぐらいで十分だろう。

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