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156話 テンション上がってるんです!

「ちっ、あのクソうさぎ! 死んだら承知しないわよ!」


 悪態をつきながらミラと一緒に階段を駆け上がる。

 マルタの奴、エロ骸骨を足止めするために残るなんて……!


「守れって言ってたくせに、自分から危険に飛び込んでいくんじゃないわよ!」


 納得はできなかったけど、時間がないのも本当だし、あんな覚悟した表情で言われたら何も言えなかった。

 こうなったら一秒でも早く魔物の暴走を止めて、マルタの所に戻るしかない。


「ダンジョンコアまであとどれくらいかしら……?」


 階段を駆け上がった先には再び長い廊下が続いていた。

 エロ骸骨が中ボス的立ち位置なら、かなり登ってきているはず。

 多分、そう遠くはない。


「よしミラ、このまま一気に突き進むわよ! ……ミラ?」


 返事が聞こえず振り返ると、ミラは階段の下をじっと見つめていた。

 

「どうしたのよミラ? 早く行くわよ」

「アルテナ様……うさぎのお姉さん、大丈夫かな?」

「え?」


 まさかミラの奴、マルタを心配してるの?


「どうしたのよミラ? あんた、マルタの事怖がってたじゃない」

「う、うん。そうだけど……でも……」


 ミラはこっちを振り向くと、悲しそうな顔をして何かを言いかけていた。

 

(はぁ……しょうがないわね)


 あたしは右手でミラの肩をつかむと、ふっと笑って見せる。

 そして。


「心配なら……戻んなさいよ」

「え……?」


 あたしは、ミラの背中を押すことにした。




 マルタ side


『いけ、親衛隊スケルトン達! あの邪魔なうさぎを倒してしまえ!』


 金ぴかの鎧を装備したスケルトンたちが一斉に武器を持って襲い掛かって来ます。

 いつもなら得意のスピードで翻弄しながら戦う所ですが、私の後ろには階段があります。

 氷で塞いでいるとはいえ、ここをどくわけには行きません。

 私はその場で腰を低く落とし、居合の構えをとります。

 そして前から私を囲むよう突撃してきたスケルトン達が刀の射程距離に入った瞬間抜刀し、範囲内にいるスケルトンをすべて斬り裂きました。


『『『『!?』』』』


 一瞬で五、六体の仲間が斬り刻まれ、他のスケルトンたちが動揺し、後退します。


「おや、驚きましたか? もしくは怖くてちびっちゃいましたか? 骨だけでよかったですねーぷっぷっぷ」

『おのれ、ウサギ一匹に何をやっている!?』


 スケルトン達を煽っていると、骸骨さんが前に出てきます。


「ふ、骸骨さんの部下って意外と大したことないですねー」

『なんだと!? というかさっきから気になっていたが、その骸骨って呼び方止めろ! 今は部下もいるしわかりにくいではないか!』

「誰に気を使ってるんですか?」


 ていうかめちゃくちゃ今更な気がしますけど。


「じゃあなんて呼んでほしいんですか? スケルトン(ロード)ですか? それともアルテナさんと同じエロ骸骨ですか?」

『違う! 我には『スケベルトン』という自分でつけたかっこいい名前があるのだ! さあ、呼んでみろ!』

「……そ、そうなんですね。 絶対呼びません」

『なぜだ!?』

「なぜだ!? じゃないですよ! 乙女に何言わせようとしてるんですか! このセクハラ骸骨が!」


 再びスケベ……じゃなくてセクハラ骸骨に向けて素早く近づき聖水の瓶を投げつけようとしますが、近づいた瞬間数十本のソウルハンドが私に向かって伸びてきたので、後ろへ飛んで回避します。

 

『カッカッカ! 同じ手は通用せんぞ!』

「面倒ですね……」


 瓶の聖水じゃ数十本のソウルハンド全てに対応するのは無理です。

 警戒している以上、さっきみたいなチャンスはそう簡単に訪れないでしょう。


『次はこちらからだ! 弓兵部隊! 撃て!』


 セクハラ骸骨の命令でスケルトンたちが矢を雨のように降らせ、同時にセクハラ骸骨が正面から突っ込んできます。


『カッカッカ! これで終わりだ!』

「まずいですね……」


 矢を刀で捌くのに手一杯でセクハラ骸骨まで対処できません。

 かといって逃げれば、セクハラ骸骨が後ろにある氷の壁を砕いてアルテナさん達を追ってしまいます。

 どうすればと考えていたその時。


「えーい!!」

「え!?」


 ガシャーンと氷の壁が砕かれ、振り向くとハンマーを持ったミラちゃんが現れました。


「クリスタルシールド!」


 ミラちゃんは素早くハンマーを収納し大盾を出すと、そのままセクハラ骸骨に突進しました。


『なに!? うぎゃぁ!?』


 正面からミラちゃんの突進を受けたセクハラ骸骨は吹っ飛ばされ、転がりながら床に倒れました。


「ふぅ……。うさぎのお姉さん、大丈夫?」


 ミラちゃんが振り返りながらそう聞いてきます。


「ミラちゃん!? どうして戻ってきたんですか!?」

「だって……心配だったから」

「え……?」


 ミラちゃんが、私を心配してくれた?

 思わぬ言葉に、一瞬耳を疑いました。


「どうしてですか? ミラちゃんは……私が怖いんじゃないんですか?」


 以前軽口とはいえ、怖がりのミラちゃんを捨てようとか壊そう(殺そう)と言ってからずっと怖がられてきたのに……。


「うん……怖かった。ミラ……レッサーミミックだった時、いつも冒険者の人にそう言われてきたから……。お姉さんの顔を見ると……その時のことを思い出してすごい怖かった……」

「ミラちゃん……」

「だけど……ミラ、本当はお姉さんが怖い人じゃないってわかってた。それに……お姉さんが死んじゃうかもって思った時、もっと怖かったんだ」

「もっと……怖かった?」


 それってつまり、ミラちゃんの中で私は大切な人に分類されてるって事ですか?


「でも、アルテナさんのそばにいなくてよかったんですか?」

「大丈夫、アルテナ様は無敵だから。それにアルテナ様も、『あたしは最強だから大丈夫。マルタを守ってやんなさい』って言ってくれたもん」

「ミラちゃんは、アルテナさんを信じてるんですね」


 なるほど、アルテナさんにも背中を押されていたってわけですか。


「うん。だからミラは、お姉さんと一緒に戦うよ。皆で生きて帰るんだもん!」

「……わかりました。一緒に戦いましょう、ミラちゃん!」


 そう言って、私達は態勢を立て直したセクハラ骸骨たちに向け武器を構えます。


『カッカッカ、ミミックの娘一人増えたところで何も変わらんわ!』

「ふっふっふ、それはどうでしょうね。さっきまでの私と思わない方がいいですよ。何故なら今の私は……めちゃくちゃテンション上がってますからーーー!!!」

「それがなんだというのだ! やれ! 親衛隊スケルトン達よ!」


 雑魚のスケルトンたちが再び一斉に襲い掛かってきます。


「ミラちゃん! 雑魚は頼みましたよ!」

「うん! 聖水れんぞくこうげきー!」


 ミラちゃんが収納魔法で聖水を取り出すと、両手で次々とスケルトン達に向け聖水を弾丸のごときスピードでぶん投げ、スケルトン達を溶かしていきます。


『む、やるな! ならばさらに召喚だ! 来い、親衛隊スケルトン達よ!』

「だったらもっと投げるもん! えいえいえーい!」


 セクハラ骸骨が再び部屋一杯のスケルトンを召喚しますが、またミラちゃんの聖水投げにより溶かされていきます。


『さらに召喚!』

「えいえいえーい!」


 さらに応酬が続きます。


『いや、ミミックの娘! 貴様いくつ聖水持っておるのだ!?』

「千個だよ!」

『せ、千だと!? なぜそんな大量に持っているのだ!?』 

「エレン様が念の為にっていっぱいお店で買ったんだよ!」


 いや、エレンさん何してるんですか!?

 ヴェインにある聖水を全部買ったんじゃないかと疑うレベルなんですけど!?

 まあそれはそれとして、ミラちゃんに注意が向かってる今がチャンスです。

 腰を落とし居合の構えをとった私は呼吸を落ち着かせ、体を脱力させ心を静かに……静……かに……。


「ってそんなの出来るわけないじゃないですかー!!『極氷絶斬(ごくひょうぜつざん)!』うりゃああああ!!!」


 心を静かに保ち、極限まで洗練した必殺の一撃を放つ技……の名前をただの勢いで叫び、セクハラ骸骨に向け斬りかかります。


『うお!? バカめ! ソウルハンドの餌食となるがいい!』


 私の一撃を大剣で止めたセクハラ骸骨。

 鍔迫り合い状態になったその隙に、ソウルハンドで私の身体を掴んできます。

 

『カッカッカ、もう貴様は終わりだ! このまま生気を吸い取って……』

「うりゃあああああ!!!」

『なに!?』


 一切攻撃の勢いが止まらず、そのまま押し切ろうとする私にセクハラ骸骨が驚きます。


『バカな!? 何故生気が吸い取れないのだ!?』

「そりゃ今の私はテンション上がりまくってますからね!!」

『なんだその理由は!?』


 冷静に答えれば、幽霊は相手の心に語り掛け精神を削り、生への執着をなくすことで生気を吸い取ります。

 しかし、今の私に幽霊の声など聞こえません。

 何故なら、テンション上がってるからです!


『うおおおお 我がこの程度で負けるかーー!!』


 セクハラ骸骨も大剣に力を込め、私を押し返そうとします。

 しかしその時。


「負けないで! ()()()()()()()()!」


 ミラちゃんの応援が耳に入ります。


「マルタ……()()()()()? ……うおおおおおおおおお!!!!!」

『なにー!?』


 さらにテンションが上がった私はセクハラ骸骨の大剣を押し返します。


『な、なんだこの力は!?』

「これぞ……()()()()()()()()です!」

『さっきから貴様は何を言ってるんだ!? 理屈を言え理屈を!』

「そんなものありませんよー!!!!! うりゃあああああ!!!!」


 テンションMAX状態になった私はさらに勢いを上げます。

 そして、セクハラ骸骨の大剣にピキッとひびが入りました。


『ば、バカな!?』

「これで……終わりです!」


 そしてとうとう大剣が折れ、そのまま刀でズバッとソウルアーマーを斬り裂き、セクハラ骸骨の首を吹き飛ばしました。


「や、やりました……」


 セクハラ骸骨の身体が後ろに倒れたのを見て力が抜けた私は、刀を床に突き刺し、膝をつきました。

 しかし。


「マルタお姉ちゃん! 危ない!」

「え?」


 顔を上げると、雑魚のスケルトンが私に剣を振りかぶっていました。

 すかさずミラちゃんが体当たりでスケルトンを吹き飛ばします。


「お姉ちゃん、大丈夫?」

「大丈夫です。それにしても……ボスを倒したのになんでまだ動いて……いや、よく考えれば当たり前でしたね」

『カッカッカ、まだだ、まだ終わらんよ!』


 セクハラ骸骨の切り落とした頭が浮かび、私達の前に現れます。


「不死不死(アンデット)ですもんね……。そりゃ首を落としただけで終わるわけないですよね」


 首が浮遊しながら元の胴体に戻ると、体が起き上がり、さらに折れた大剣までもが再生します。


『カッカッカ、勝負はまだこれからだ!』

「ふ、望むところですよ! そっちが滅ぶまでいくらでも切り伏せてやります!」

「絶対負けないもん!」


 やっぱりそう簡単には終わらなそうですね……。

 長期戦を覚悟しながら、私とミラちゃんは再び武器を構えました。

めちゃくちゃ勢いで書きましたw

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