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128話 最下層、古城エリア

 転移の間からダンジョンに入ったアタイたち。

 最下層に降り立つと、目の前にはかつて栄華を誇ったかのような古の町が広がっていた。

 灰色の石造りでできた廃墟のような町。

 足音が響くほど静かで、冷たい空気が漂い、空には夜のような闇が広がっている。

 その最奥には大きな古城が建っていて、その頂上付近からは町を照らすような強い光が漏れていた。


「以前来た時と同じだね」


 探索をしたことはないが、どんな場所か確かめに来たことはある。

 その時と今の光景は全く一緒だった。

 ダンジョンの内部は常に変化するがここは例外なのかもしれない。


「リーダー、どこへ向かうんだ?」

「……やっぱあれだね」


 古城の崩れた部分から漏れる光を指差す。

 あれの正体を突き止める必要があるだろう。

 ダンジョンコアの可能性もある。


「よーし決まり〜♪ さっさと出発しようよ〜」

「ええ。二人とも、油断するんじゃないよ」


 アタイを先頭に町を歩きだす。

 古城までは一本の大きな道が続いている。

 まっすぐ進めば走って一時間かからない程度の距離だろう。

 ほかのエリアと比べてそこまで広くはないようだ。


「にしても静かだな」

「なんか不気味なんですけど~」


 まるでアタイたちだけしかいないように足音だけが響いていく。

 その時。


「出やがったみたいだね」


 町の路地から突如漆黒のスケルトンがぞろぞろと現れる。

 その数およそ十体。

 皆剣や両手斧、弓などで武装している。

 

「へぇ、スケルトンの上位種『(ブラック)スケルトン』か」


 剣を持った黒スケルトンの一匹が空中で縦に剣を振ると、風魔法をまとった斬撃が地面をえぐりながら飛んでくる。

 すかさず横に飛んで避けるが驚いた、こんな芸当ができるのか。

 


「やるじゃない。でもアタイたちの敵じゃないよ。イサーク! シャルル!」

「おう!」

「やっちゃうよ~!」


 号令に合わせイサークは巨大なメイスを手に突っ込むと、両手斧を持った黒スケルトンたちが斧に炎をまとわせイサークを迎え撃つ。

 いい判断だ、残念ながら悪手だけど。


「うぉおおおおおおいい一撃だぜーーーー!! お返しだーー!!」


 自分から胸を突き出しその攻撃を受けたイサークは痛みに喜びながらスキル『ドМ魂』を発動。攻撃力が上がったイサークはメイスを振り、斧を持った黒スケルトンたちを粉々に粉砕する。


「おらぁぁ! もっと俺を攻撃してくれ! 俺を熱くさせろー!!!」


 興奮するイサークに混乱したのか、黒スケルトンたちが怯んで一歩下がる。

 その隙を見逃すわけがない。

 イサークの背後から大きく飛びあがり、フレイルを振りかぶる。


「シャルルちゃんの僕達〜。リーダーにその力貸してあげなさ〜い♪『グルグルエンチャントー♪』」

「良いよシャルル! 喰らいな!」


 シャルルの補助魔法で風を纏ったフレイルを黒スケルトンたちに投げつける。

 ドカーーン!! と大きな衝撃と荒れ狂う風が黒スケルトンたちを襲い、全員粉微塵に吹き飛ばされ、後には大きなクレーターだけが残った。


「なんだ、もう終わりか?」

「ざっこ~。全然手ごたえ無いじゃん」

「油断するんじゃないよ二人とも」


 この程度の敵にここまでたどり着いた冒険者が負けるとは思えない。

 今のは軽い前座という所だろう。

 そのまま警戒しながら進み、途中黒スケルトンたちの襲撃にあいながらも、アタイたちは古城の前までたどり着く。

 


「な~んだ。もう着いちゃったじゃん~♪ もしかしてこのまま楽勝だったりする~?」

「でもシャルルちゃん、この城かなりでかいぞ」


 イサークの言う通り古城はかなり大きい。

 すべて探索するとしたらかなり時間がかかりそうだ。

 

「それに、ここからが多分本番だろうね。来るよ二人とも!」


 前方に広がる中庭のような広いスペースに魔法陣が出現し、二メートルを超える漆黒の鎧をまとった魔物が次々と現れる。

 こいつらは鎧にとりついた魔物リビングアーマーだ。

 それだけじゃない。

 古城の大きく開かれた入り口から、スケルトンの馬に乗った異様な雰囲気を纏う、首のない鎧の騎士が現れる。

 こいつはデュラハン、リビングアーマーたちのボスってところか。


「おお! こいつは強そうだぜ!」

「気をつけな、リビングアーマーはともかくデュラハンは強敵だよ」


 デュラハンは強力な魔物だ。

 馬の機動力と並の鎧じゃ余裕で刺し貫かれる槍の一撃はブルーオーガの強さを軽く超えるだろう。

 全員で戦おうとしたとその時、後ろから足音が聞こえてくる。

 まだ遠くにいるが黒スケルトンたちが後ろから迫っているようだ。


「挟み撃ちになったら厄介だね」

「うっざ~。 リーダーとイサークはそいつら相手にしといて~。後ろはシャルルちゃんの魔法で吹っ飛ばしてくるから~。」

「ええ、頼りにしてるよシャルル」


 後ろの黒スケルトンたちをシャルルに任せ、アタイとイサークはリビングアーマーを相手にする。


「イサーク! 敵の攻撃は任せたよ!」

「おう、存分に頼りにしてくれリーダー!」


 リビングアーマーがガシャンガシャンと音を鳴らし突進してくる。

 大きな体と強固な鎧、その防御力は並じゃない。

 大抵の攻撃ならはじかれてしまうだろうが、アタイの攻撃は一味違う。

 

「喰らいな魔物ども!」


 先頭に立ったアタイはスキル『諸刃の刃』を発動し、フレイルの鎖を持ってぶん投げながら回転して薙ぎ払う。

 リビングアーマーたちはフレイルの一撃を受け、鎧が砕けながら横に吹っ飛ぶ。

 攻撃範囲外にいたリビングアーマーたちはアタイの攻撃の隙をつき突進してくるが、背後にいたイサークがアタイの前に立ちリビングアーマー達の攻撃を防ぐ。


「なかなか重いがまだまだ痛みが足りないぜ!!」


 イサークがカウンターで突撃してきたリビングアーマーたちをメイスで粉砕。

 これで大半を撃破完了。

 でも油断はできない。

 その光景を見たデュラハンが動き出し槍を構えたのだ。


「イサーク、こっからが本番だよ!」

「おうわかってるぜ! デュラハン! 俺に槍の一撃を喰らわせてみろ! いや、喰らわせてくれーー!!」


 デュラハンが馬で駆け出し槍による突進攻撃を繰り出し、イサークはそれに胸を突き出し自分から当たりに行く。

 両者が激突するその時。


「荒れ狂う暴風、シャルルちゃんの敵をぜぇ~んぶ倒しちゃえ~♪ ぐるぐるサイクロン~!」


 シャルルが魔法の詠唱を終え、強力な風が巻き起こる。

 対象の位置に巨大な竜巻を発生させるシャルルの上級風魔法だ。

 黒スケルトンじゃあひとたまりもないだろう。


「シャルル! 終わったならこっちに加勢しな! 一緒にデュラハンを倒すよ!」

「……」

「……シャルル?」


 おかしい、返事がない。


「……シャルル? いったいどう……し……」


 振り向いたアタイは目の前に広がった光景に一瞬思考が停止した。

 黒スケルトンの剣が、シャルルの腹部を貫いていた……

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