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122話 帰還と不穏な事件

連載再開です。

半月くらいは毎日投稿します

 色々ありながらも無事ピラミッドを攻略した私達。

 既に夜だったため一晩野営をした後、土魔法で修復したドラゴンスケーターに乗り二十層を探索し、無事階段と転移陣を見つけることに成功した。


「わーい♪ これで砂漠エリア攻略完了だね♪」


 ミラがクルクルと回りながら喜ぶ。


「今回も疲れたわね……」

 

 なんか肉体的にも精神的にも疲れた気がする。

 

「クックック、なかなか骨のある冒険だったわね。結構楽しめたわ」

「そうね、地面に突き刺さったり、ワームやミミックに喰われたり楽しそうだったわね」

「そういうとこだけ抜粋すんじゃないわよ!」


 まあとにかくさっさとダンジョンから出よう。

 三人で転移陣に入り、冒険者ギルドへとワープする。

 いつも通り冒険者でにぎわっているギルドの中をかき分け、マルタの受付に向かう。

 

「ふわぁ~」


 今日もマルタの受付は閑古鳥が鳴いている。

 おかげであくびするほど暇みたいだ。


「クソウサギ! 戻ったわよ!」


 アルテナの言葉に反応し、耳がぴくっと動きこちらに振り向く。


「おやおや! カタストロフの皆さんおかえりなさい! 骨にならずに帰ってきたようですね! まあエレンさんは水を出せますし、ミラちゃんの収納能力もありますし、ポンコツさんは骨になっても気づかないで生きてそうだから心配はしてなかったですけどね!

「死んでんじゃないのよそれ!」

 

 なんだろう、このやり取りを聞くと帰ってきたって感じがするのは。


「エレンさん、冒険の成果として、さっそく新しいポンコツさんのポンコツエピソードを聞かせてくれませんか?」

「そうね、まずは……」

「待ちなさい! 何よポンコツエピソードって!?」

「えっと……アルテナ様が真のポンコツになったお話ならあるよ」


 ミラが私の後ろに隠れながら言う。


「何ですかミラちゃん! 詳しく!」

「どうでもいいわよそんなの! 冒険のこと言わせなさい!」


 珍しくアルテナが話を本題に戻している。

 まあその通りだ、さっさと報告してしまおう。

 私は砂漠エリアであった事を説明する。

 話が終わると、マルタは目を丸くしながら呆然としていた。


「どうしたのよクソウサギ?」

「いやどうしたのじゃないですよ! 一発で砂漠を突破したって事もやばいですが、何ですか数十メートルの巨大(タイラント)ワームにピラミッドって!? そんなの聞いたこともないですよ!」

「ふん、ガチなんだからしょうがないじゃないの」


 ピラミッドに関しては知らないとわかっていたが、どうやら巨大ワームも初耳だったらしい。

 考えたくはないが遭遇した者全部喰われて誰も報告できてなったのかもしれない。


「後大きな声じゃ言えませんけど、『鑑定』が使える魔道具を手に入れたって本当ですか?」

「ええ、これよ」


 ピラミッドで手に入れた鑑定モノクルをマルタに手渡す。


「クソウサギ、それ本当に貴重な宝なの?」

「かなり貴重ですよ。鑑定スキルは使える者が少ないですから、ギルドも大きな街かこういうダンジョンがある場所にしか人員を派遣できないですからね。ギルド的には売ってもらえると助かるのですがどうしますか?」

「ちょっと、それって大丈夫なの? 以前の巨大魔石みたいに金がなくて買い取れないとかいうオチになったりしない?」

「さすがに買い取れますよ。ていうかあの魔石と一緒にしないでください。全くポンコツさんは物の価値がわからない人ですねー」

「何ですって!?」


 つまりミラが吸収した巨大魔石のほうがはるかに価値があったらしい。

 思わずミラを見つめる。


「どうしたのエレン様?」

「……ごめんなさい、何でもないわ」


 私としたことが、ミラをお金で見てしまうなんて……反省。

 さて、モノクルを売るかどうかだが……今は特にお金に困ってないし、鑑定は今後役に立つかもしれない。

 ぱっと見高価な物とはわからないし、狙われることもないだろう。

 そう判断し、売らないで持っておくことに決めた。


 その後、持ち帰った魔物を出すためマルタと共に解体場へ向かう。

 場所を確保して責任者のガラルさんも呼び、ミラの収納からまずロック鳥を出す。


「おお! ロック鳥も五体満足でもってこれるたぁ、やっぱ収納は便利だな!」


 ガラルさんが感激してロック鳥の状態を確認する。

 ちなみに呪いはロック鳥が死んだときに消したので問題はない。

 

「ふむ、見たところ目立った外傷はないな。どうやって倒したんだ?」


 ガラルさんの言う通り、ロック鳥の硬い岩の皮膚はあまり傷ついていない。

 空高くから落下したはずだが、下が砂だったから衝撃が和らいだのだろう。

 

「水魔法で顔を覆って溺れさせたわ」

「ずいぶんえげつない倒し方だな」

「あれ? ポンコツさんじゃなくてエレンさんが倒したんですか?」

「ええ、そうよ」


 マルタが驚いた顔でこっちを見ている。


「そうなんですか!? エレンさんって後ろから援護と指示を出して踏ん反り返るのが役目の頭脳労働専門だと思ってました!」

「大体合ってるけど悪意がある言い方しないでくれる? 私だってやるときはやるのよ」


 とは言ってもこれは私の初めての成果だ。

 そうやって驚いてもらえると普通にうれしくて、少し笑みがこぼれる。


「ふ、あたしの従者よ? これくらい当然じゃない」

「いやーこれはポンコツさんの存在意義が無くなっちゃいますねー」

「そうそう……って何ですってー!?」


 マルタがそう言ってアルテナを煽る。

 まあそれはさておき、次は巨大ワームだ。

 できるだけ広いスペースを空けてもらい、今度はそこに巨大ワームを出す。


「うお!? マジででけぇ!」


 胴体だけでも見上げるほどのでかさにガラルさんが驚く。


「本当にこんなワームがってなんか臭いま……うわ!? くさっ!?」


 アルテナにより真っ二つに斬られた場所から悪臭がする黄土色の体液がどろどろと流れてくる。

 しまった、屋内で出すべきじゃなかった。

 ミラにもう一回収納してもらい、今度は魔石争奪戦でも使った模擬戦場に移動して出す。


「いやーよくこんなでかいの真っ二つにできましたねー」

「ふ、あたしにかかればどうってことないわ」

「ガラルさん、このワームって売れるのかしら?」


 牙は売れそうだが、ほかの部分はぶよぶよしてるしよくわからない。


「そうだな、ワームっつうのは見た目こそきめぇが珍味として人気があるぞ。しばらく酒のつまみには困らねぇな」

「へぇ……興味があるわね。アルテナ、今度食べてみる?」

「いや、遠慮するわ」


 手を前に突き出され普通に拒否された。

 しょうがない、今度料理に混ぜて反応を見てみよう。


 その後、解体で忙しくなりそうなギルドを出て、カルロさんの道具屋へと私たちは帰路につく。

 

「早く帰って休みたいわ……」

「ミラ、なんか眠いよー」


 眠そうにあくびをしながらミラが言う。

 疲れから来た眠気だろう。

 私も帰ったらベットにダイブしそうだ。

 

「ふ、あんたたちはなさけないわねぇ」


 やれやれといった感じでアルテナはスキップしながら私とミラの前を進んでいく。

 どうしてこいつはこんなに元気なんだろうか?

 そう思いながら歩いて行くと、何やら道の端に人だかりが出来てることに気づく。

 その中には町の兵士もいて、何やら真剣な空気が漂っている。

 

「エレン様、みんなどうしたんだろう?」

「さあ……? 何か事件かしら?」

「気になるわね、ちょっと見に行ってみましょうよ」


 アルテナが野次馬根性丸出しで近づいて行ったので仕方なく後を追うと、兵士に止められる。


「ここから先は立ち入り禁止だ」

「ちょっと、いったい何があったのよ?」

「……影無(かげなし)だ。それだけ言えばわかるだろう」

「え?」

 

 アルテナが首をかしげる。

 奥を覗いてみると、布をかけられた人のようなものが見える。

 兵士が暗い顔をしながらそう言ったのも気になり、私も質問をする。


「影無って何かしら?」

「知らないのか? この町で数年にわたって殺人を行っている連続殺人鬼のことだ」

「連続殺人鬼……」


 という事はこの現場は……。

 悟った私はアルテナとミラの手を引き、その場から離れる。


「ちょっと、どうしたのよ?」

「エレン様?」

「聞いてわからなかったの? あそこは殺人現場よ。邪魔をしちゃいけないわ」

「「さ、殺人……!?」」


 二人が驚き息を呑む。

 

「そう、だから早く帰りましょう」


 そう言って再び帰路につく私たちだったが、兵士の言ってたことが気になる。

 数年にもわたって捕まっていない連続殺人鬼……そんなのがこの町に?

 自警団を束ねるアーシャさんなら何か知ってるかもしれない。

 そう思いながら、私は歩みを進めた。

 

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