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113話 雰囲気ぶち壊しなピラミッド

 ワームから無事逃げ切り、ピラミッドの入り口に到達した私達。

 だが、それから一時間経っても私達はピラミッドに入らずにいた。

 休憩の為でもあるが、一番の原因は……。


「アルテナ、まだ匂うわよ」

「ミラがゴシゴシするねー」

「いや、ミラはゴシゴシしなくていいから! うぐぐ……あのワームめーー!!」


 巨大ワームを倒す為体内に突撃した結果、体液塗れになってしまいとんでもなく臭くなってしまったのである。

 なので、アルテナの服と体を水魔法で洗っているのだ。


「まさに名誉の腐臭ね」

「上手いこと言ってんじゃないわよ! というかいい加減臭い取れたんじゃないの!?」


 恐る恐るアルテナに匂いを嗅ぐ。

 うん、まだ少し匂うがこれくらいでいいだろう。

 服と体を乾かし、アルテナが服装を整えている間に、改めてピラミッドを見る。

 とても大きく、太陽に照らされ黄金に輝いている豪華なピラミッド。

 入り口は三人が並んで歩いても余裕がある広さを持ち、頭蓋骨を燭台とした明かりが灯っている。

 だがおかしい。

 普通のピラミッドなら盗掘を防ぐため入り口は狭く、通りにくく作るはずだ。

 まるで誰かが入って来る前提で作られたかのような……。


「エレン、着替え終わったわ。早速ピラミッドに突入よ!」

「ちょっと怖いけど……お宝……あったらいいなー」


 目を輝かせながらアルテナが入り口に入り、その後ろをミラがふわふわと浮きながら着いていく。

 うん、ここまで来てしまったしもう覚悟を決めよう。

 そう思い、二人の後を追った。

 ……そして数分。

 私たちは入り口から変わり映えのない通路を進んでいた。

 

「クックック、一体何が待ち受けているのかしらねー?」

「お宝……あるかなー?」

「ダンジョンの中にダンジョンっていうのもおかしな話よね……」


 そんな三者三様の言葉を発しながら進んでいくと、通路が途切れ、殺風景な部屋に到着する。

 

「……行き止まり?」


 部屋から他の通路に続いている道は見当たらない。

 ただ、中央に不気味な存在感を放つ棺のようなものが置かれている。


「きっと隠し通路でもあるに決まってるわ! とりあえずあの棺を調べてみましょ!」

「待って、アルテナ様!」

「全く……少しは慎重に行動しなさい」


 好奇心に支配されたように行動する二人に少し呆れながらも、棺を確認するため後を追う。

 近づいて調べると、石造りの装飾も何もない無骨なただの棺だ。

 探知魔法で調べても罠があるようには見えない。

 

「うーん……一体なんのために置いてあるのかしら?」

「とりあえず開けるわよ」


 アルテナが棺の蓋を横にずらしていく。

 中身は……。


「え、何これ? 頭蓋骨?」

「……これだけなの?」

「……どうやらこれだけみたいね」


 慎重に手にとって調べてみるが、何の変哲もないただの頭蓋骨だ。

 棺なのだから骨くらいは覚悟していたが、本当に骨……しかも頭蓋骨だけとは拍子抜けだ。

 その後も棺の中や蓋も調べてみるものの、仕掛けみたいなものは何も見つからなかった。


「どうやら棺はハズレみたいね」

「何よもう! だったら意味深に置くんじゃないわよ!」


 アルテナが怒りながら頭蓋骨を部屋の隅に放り投げる。

 

「気を取り直して、次は手分けして何かないか調べるわよ!」

「はーい」

「はいはい、分かったわ」


 そうして三人でそれぞれ部屋を調べる。

 私は入って正面あたりの壁を調べる事にした。

 壁を叩いてみたり、燭台を調べて見るものの、何もおかしなところはない。

 

「うーんやっぱり何も無いわね……ん?」


 探知魔法に何かが引っかかる。

 それは、青白く細長い魔力だった。

 壁の向こうからこっちに迫って来ている……!


「アルテナ、ミラ! 何か変な魔力が近づいて来てるわ!」

「「え!?」


 二人に伝えながら慌てて壁から遠ざかると、魔力は壁を通過し、そのままアルテナが放り投げた頭蓋骨に到達する。

 すると、頭蓋骨の目に青い炎が灯り、宙に浮き始める。


『カッカッカ! よく来たな! 哀れな侵入者どもよ!』


 骸骨からやかましい声が出始める。

 なんなんだろうこいつは?

 

「あなたは何者?」

『フ、いい質問だ、答えてやろう。だがその前に一ついいか?』

「なに?」

『何故我の頭が部屋の隅に放り投げられたかのように転がっているのだ? 棺に保管されていたはずだが……』

「……それは……」


 視線をアルテナに向ける。

 謎の骸骨は、開かれた棺とその視線で全てを察したのか、憤りながらアルテナの眼前に迫る。


『貴様! 崇高な我が頭をゴミのように放り投げるとはどういう事だ!?』

「はぁ? 何言ってんのよ? お宝があるかと思ってワクワクしながら開けたら頭蓋骨しか入ってなかったのよ? そりゃ放り投げるに決まってんじゃない」

『何だと!? というか入り口近くにいきなりお宝なぞ置くわけないだろう! バカか貴様は!?』

「何ですって!? それを言うならあんたも棺を開けた瞬間に動き出しなさいよ! なんで何分も経ってから動き出すのよ!?」

『それは本体が暇でうたた寝……ではなくて貴様らの様子を伺っていただけの事だ! とにかく許さん! 罰としてパンツを見せろ!』

「誰が見せるかこのエロ骸骨! て言うか本音漏れてたわよあんた!」


「……アホらしい……」


 ピラミッドの神秘的で謎めいた空気がぶち壊しだ。

 なんか頭が痛くなって来た。


「アルテナ、ミラ、引き返しましょう。これ以上ここにいても無駄だわ」

「うん、そうだね」

「あたしもなんだか興が削がれたわ……賛成」


 二人も呆れたようで、ミラは真顔、アルテナは意気消沈という感じで答える。

 そして引き返えそうとしたその時。


『バカめ! 誰が帰すか!』


 突如ゴゴゴと部屋の入り口から壁が背り上がり、帰りの道が閉ざされる。


「エレン様、アルテナ様! 道が塞がれちゃったよ!?」

「ちょっとあんた! 何すんのよ!?」

『カッカッカ! せっかく来たおもちゃ……ではなく侵入した愚か者をタダで返すわけがないだろう!?』

「今おもちゃって言ってたわよねあんた!?」

『うるさい! とにかくここを出たければこの先にある試練を攻略し我が本体の元へ辿り着いてみせるのだ! カッカッカ!』


 骸骨が高らかに笑う。

 どうやら厄介なのに捕まってしまったらしい。

 

「アルテナ、パンツ見せてあれの機嫌を取って来なさいよ」

「見せるわけないでしょう!?」

「いいじゃない、砂漠では頼んでもいないのに見せてたくせに」

「見せたくて見せたわけじゃないから! そんなにいうならあんたのを見せてくればいいじゃない!」


 そう言ってそっぽを向くアルテナ。

 さてどうしよう?

 はっきり私も嫌だと言いたいが、あの骸骨が用意した試練……ものすごく嫌な予感がする。

 ここは……身を削るべきなのだろうか?

 そう考えていると。


『なに、パンツを見せてくれるのか!? それだったらそこの箱に入っている幼女のが見たウボァ!?』


 反射的に骸骨を撃ち抜きバラバラにする。

 バラバラになって床に飛び散った破片が再生して行くが、それくらいは予想済み。

 元に戻ったところを足でがっちりと踏みつける。


『貴様! 我に向かってなんと不敬なひぃぃぃ!?』


 私の顔を見て骸骨が悲鳴を上げる。

 どんな顔をしていたのか自分ではわからないが、まあそんなことはどうでもいい。


「もし次ミラにいやらしい目を向けてみなさい……永遠にバラバラにしてやるわ……。 分かった?」

『は、はい! 分かりました!』


 まあ今回はこれで許してやろう。

 足を退けると、骸骨は慌てて宙に浮いて逃げる。

 

『はぁ、はぁ……。さあ、愚かな侵入者ども! 最初の試練へと進むがいい!』


 もう威厳も何もない骸骨がそう言うと、部屋の右側の壁が動き出し、奥へ進む道が開かれる。


「しょうがないわね……試練とやらに付き合いましょうか」

「いやあんた、さっきの脅しで入り口開けさせればよかったんじゃ?」

「まあその通りなんだけど、あれは本体じゃないらしいし、流石に無理だったと思うわよ」

「そうかもしれないけど……なーんかもうやる気が起きないわね……」

「ミラも帰りたい……」

「私だって……」


 全くやる気が出ず立ち尽くす私達。

 その元凶が痺れを切らし文句を言ってくる。


『おい貴様ら! 何やる気をなくしてるんだ!? さっさと進め!』

「はぁ? あんたのせいでしょうが! お宝だってないし……試練に挑戦しても意味な……」

『いや、入り口近くに置いて無いだけで宝はちゃんと置いてあるぞ』

「何ですって!」

「え、本当!?」


 宝があるとわかった途端二人の目に火が灯る。


「それならそうと早く言いなさいよ! よし、行くわよミラ!」

「うん、アルテナ様!」


 そう言ってダッシュで先の通路へ行ってしまう二人。

 何というか……。


『おい、あいつら現金だな』

「そうね……」


 呆れながら、骸骨と共に二人を追いかけるのだった。

最近新しい作品を考えついて製作中……

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