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101話 友達とシャルルの提案

日間異世界ランキングで初ランクインしましたー。

みなさんのおかげです。

ありがとうございます

 アルテナがなんか吹っ飛んだ次の日。

 私とミラはダンジョンから持ち帰った素材の換金手続きをギルドで行っていた。

 収納能力により大量に持ち帰ったお陰で、ドスンッと音がなるほどの金貨袋を手に入れた私達は、喜びで顔を綻ばせながらギルドの外へと踏み出した。


「わーいお金だー♪」


 そう言いながら大きな金貨袋を守るように両手で抱き締めるミラ。

 

「ミラはお金が好きなの?」

「うん、よくわからないけど大好き!」

「そうなのね。でも、そうやって見せびらかすように持つのは危ないから、ちゃんと収納するのよ」

「はーい」


 ミラは言われた通り本体の中に金貨袋を収納する。

 お金が好きなのはやっぱりミミックだからだろうか?

 黄金のツルハシもすごく気に入ってたし、高価なものを好むのかもしれない。

 

「エレン様、今日はこの後どうするの?」

「そうね……攻略に必要な物を買いながら町をぶらっとしましょうか」

「うん、わかった!」


 そうして、私とミラの二人で必要な物資を買い揃えた後、商店街にあるオープンカフェでサンドイッチや果汁ジュースを楽しみながらある事を考えていた。


「エレン様、何か考え事してるの?」

「え?」


 ……顔に出ていたのだろうか?

 誤魔化すように注文したサンドイッチを口に入れるが、ミラの「どうしたの?」という感じの眼差し攻撃には勝てず、観念して話す。


「……実はね、私一人でも戦える方法を考えていたのよ」

「え? でもエレン様は弱くないよ? それに、何かあったらミラが守るもん!」

「ありがとうミラ。だけど、いつまでもこのままじゃいけないのよ」


 ミラの言う通り、ゴブリンとかの小さい魔物なら勝てなくは無い。

 問題は、ブルーオーガやラディアドレイクみたいな銃が効かない大型の魔物だ。

 今まで私はそいつらに何も出来ず、ミラやアルテナに頼るしかなかった。

 だが、いつまでもそれではダメだ。

 勝つまで行かなくても、せめて戦う手段を手に入れなければならない。

 もう二度と、足手纏いと言われるのも、アルテナやミラに迷惑をかけるのもごめんだ。

 

 ミラの手を握り締めながら、静かにその決意を伝える。

 すると、ミラも分かってくれたようで。


「うん、ミラも頑張ってお手伝いするね!」

「ありがとうミラ」


 とは言っても、私にパワーで押すことは無理だ。

 そうなると必然的に搦手からめてを使うことになるのだが、強敵は基本それらをねじ伏せてくる。

 毒や麻痺などの薬品を使うのも考えたが、果たして大型の敵に効くだろうか?

 そもそも耐性を持ってたら意味がない。

 もっと何か……大型の敵の動きを封じれるような何かがあれば……。


「やっぱり一朝一夕には考えつかないわね……」

「うーん……」


 ミラも頭を傾けながら考えてくれてるみたいだが、そう簡単に案は出なさそうだ。

 アルテナが帰って来てから考えようかと思ったその時。


「おい、あの子すっごく可愛いな」

「本当。どこかのお嬢様かしら?」


 そんな声が隣の席から聞こえて振り向くと、綺麗な緑色の髪を背中まで伸ばし、ピンクの煌びやかなドレスで着飾った可愛い少女がいた。

 お嬢様がこんな普通のカフェでなにしているのだろうと思っていると、何故か少女はこちらに向かって歩いて来る。

 そして。


「あ〜やっぱりミラとよわよわおねぇさんじゃ〜ん。やっほ〜♪」

「え?」

 

 このメスガキっぽい口調と聞き覚えのある声は……。 

 髪型も服装も違うが、知る限り一人しかいない。


「もしかしてシャルル?」

「……シャルルちゃん?」


 間違いない。

『紅蓮の鉄槌』のメンバーの一人、風魔法の使い手シャルルだ。

 ていうかよわよわおねぇさんって何?

 前回そんな印象だったのは認めるけど……。

 

「せいか〜い♪ ダンジョンと違うシャルルちゃんの大人びた姿に驚いたでしょ〜ふっふっふー」


 以前のゴスロリ魔女っ子みたいな格好と違い、何処かの令嬢とも思わせるその姿でシャルルはその場で華麗に一回転してウィンクする。

 その姿は美しいのだが……何だろう?

 性格と小さな体格のせいで、オシャレして調子に乗った子供にしか見えない。


「ミラはどう〜? 可愛いと思う?」


 そう言いながらシャルルはミラの隣に立ち、感想を求めてくる。 


「う、うん。とっても可愛いと思うよ」

「そうでしょ〜? 良かったら一緒にデートしな〜い? シャルルちゃんが楽しい場所いっぱい教えてあげるよ〜」

「え、えっと……」


 グイグイ来るシャルルの勢いに困惑するミラ。

 うん、これは人見知りとか関係なく誰だって辛い。

  

「シャルル、いい加減にして。ミラが困ってるじゃない。ていうか勝手に連れてこうとしないでくれる?」


 眉をひそめてシャルルを睨む。

 そうすると、シャルルは不服そうにほっぺを膨らませる。


「え〜、よわよわおねぇさんには関係ないでしょう〜?」

「いや、保護者(主人)だから。ていうかそんなふうに困らせてるとミラに嫌われるわよ」

「何言ってんの〜? そんな事……」

「う……う……」


 ミラが困って涙目になっている事に気づいたシャルルは、慌てて手を離し、あわあわし出す。


「ご、ごめんね〜! ミラを困らせるつもりじゃなかったんだけど……。ほ、ほら、これで涙拭いて!」

「う、うん……。ありがとうシャルルちゃん」


 ミラはシャルルに渡された綺麗なハンカチで涙を拭く。

 今のやりとりからわかったが、シャルルは本気でミラと仲良くなりたいだけのようだ。

 うん、それだったら。


「ミラ、シャルルはあなたと仲良くなりたいだけみたいよ。許してあげられる?」


 ミラは私の言葉を聞き、静かに頷く。


「うん、ちょっと驚いて泣いちゃったけど……もう大丈夫だよ」

「よかったわ。じゃあシャルルと友達になってあげたら?」

「お友達?」

「そう、シャルルが悪い子じゃないのは分かるでしょう? 本人もそれを望んでるみたいだしどう?」

「えっと……」

 

 ミラは恥ずかしいのか、もじもじしてなかなか手を伸ばせない。

 そんなミラの両肩に手を乗せ後押しすると、ミラはチラッとこちらを見て、次第にその小さな手をシャルルに伸ばし始め……。


「お、お友達になってくれる?」

「しょ、しょうがないな〜。お友達からで許してあげる」


 満更でもない顔をしながらシャルルはミラと手を繋ぐ。

 うん、ミラにとって初めての友達だ。

 より明るくなれるきっかけになればいいなと思うのだった。


 ……その後、シャルルを加えて再び飲み物を注文する私達。

 シャルルはミラと喋るため隣に席を寄せ、話し始める。


「ね〜ミラ? 今日は何してたの?」

「えっと……エレン様と一緒にギルドに行ったり、お店に行ったりしてたよ。シャルルちゃんは?」

「ふっふー。もちろんシャルルちゃんの美貌で男を誘惑しに行くのよ。ミラも一緒に……や、やっぱまだミラには早いかな〜?」


「悪い遊びを教えるな……!」という感情でシャルルを睨みつける。

 うん、手が出る前に察したようで良かった。


「そういえばアルテナっていうあの生意気なおねぇさん、今日はいないの?」

「うん、お星様になったから少しの間戻れないんだって」

「へ〜……え、何それ?」


 シャルルが説明を求める目でこちらを見て来る。

 言ってもいいがあまりにバカらしいので、とりあえず適当にはぐらかそう。


「そういえば今日は一人なのね? カーシャさんとイサークさんは?」

「リーダーは稼いだ金を孤児院に寄付しに行くとか言ってたかな〜。イサークは確か行きつけののドM酒場に行くって〜」

「へぇ、そうなのね」


 カーシャさんは本当に町のためダンジョンで稼いでいるのか……。

 言い方はきついが、やっぱり根は良い人のようだ。

 ……ドM酒場に関していうことは何もない、絶対にない。

 ていうか忘れたい。

 そんな他愛のない話をしてた時、ミラが何かを思いついたような顔をする。


「シャルルちゃんって凄い魔法使いなんだよね?」

「ふっふ〜勿論よ♪ 私に勝てる奴なんてそうそういないんだから♪」


 凄腕魔法使いと言われ、ご機嫌な様子で答えるシャルル。


「ならエレン様の相談に乗ってあげてくれないかな? 凄い困ってるの」

「え? 相談?」


 ……確かに、魔法に詳しそうなシャルルに相談するのはいい手かもしれない。

 ミラがせっかく機会をくれたし聞いてみよう。


「実は……」


 自分が強敵と戦うために手段を探していることを伝える。

 シャルルは手に顎を乗せながら話を聞くと、ニヤついた顔で口を開く。


「へぇ〜リーダーに言われた事を気にしてるってカンジ? まあ頑張るのはいい事だけどね〜。とりあえずおねぇさん、具体的にどんな魔法が欲しいの?」

「そうね……相手を傷つけられなくてもいいわ。少ない魔力で、相手の動きを封じる魔法とか無いかしら? 扱いが難しくてもいいわ。魔力操作には自信があるから」

「えー? そんな魔法……一応あるにはあるけどさ?」

「本当!?」


 思わずテーブルから立ち上がりシャルルに聞き返す。


「まあ使えるかどうかはおねぇさん次第だけどね〜。それでもいいなら案内してあげるよ?」

「案内って何処へ?」

「決まってんじゃ〜ん」


 そう言いながらシャルルはテーブルを立ち、背を向けながら歩き出す。

 そして、ドヤ顔をしながら振り返ると。


「動きを封じる魔法にめっちゃ詳しい、専門家の所だよ〜」

 

 その言葉を聞き、私とミラは胸に期待を寄せながらシャルルの後を追った。

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