40. 爆発音が、響き渡る。
3人で楽しく騒いでいると。
「んにゃぁ……」
謎の声を上げてツィリムが起きた。
「ツィリム、大丈夫?」
「ん……?何があった?」
「無理し過ぎて、魔素切れで倒れちゃったんだよ?身体は何ともない?」
「魔素切れかぁ……久しぶりだな。
身体は大丈夫。心配かけて、ごめん」
しゅんとするツィリムがめっちゃ可愛い。
「イズミルの前だからってあんまり無茶して格好つけるなよ」
カイルは割と真面目に怒ってるみたいだから可愛いとか言わないでおこっと。
「新人は一度はするミスとはいえ、自分の力量は把握しておかないと、いざと言うときに困るのは周りの人間なんだ。
イズミルを危険に晒すかもしれない。そういうことを分かっているのか?」
「ほんと、ごめんなさい」
「ツィリムも反省してるんだし、カイルも落ち着いて?」
まだお怒りモードのカイルを軽く宥める。
「張り切りすぎたせいだろ。次からは気をつけろよ」
「はい」
「お説教が終わったところで、エスサーシャさんの魔術やろうよ!」
ちょっと暗くなった雰囲気を吹き飛ばすべく、努めて明るく言ってみた。
「よーし、頑張っちゃうぞー!」
居心地悪そうだったエスサーシャさんも乗っかってくれた。
カイルも止めなかったし、ツィリムも何も言わないからこのまま進めちゃってもいいよね!
いつもツィリムが私の魔素を使う時みたいに抱っこして貰おうと近づくと、むしろちょっと避けられた。
「えっ?」
「ちょっと、あの、、、近くないっすか?」
なんで敬語?よりも。
「近くないとダメなんじゃないの?」
「いや、手だけ触らせて貰えたら十分!」
「そうなんだ。じゃあどうぞ」
握手するみたいに手を差し出すと、ぎゅっと握られて、そのまま広場の中央に連れて行かれる。
「初めてなんだから小さめの魔術にしろよー」
カイルの声が少し遠くに聞こえたのとほぼ同時に。
爆発音が、響き渡る。
物の見事に天井が無くなり、壁もほとんど吹き飛んで体育館が一瞬で屋外になった。
「おいっ、大丈夫かっ!!」
突然のこと過ぎて悲鳴も上げられなかった私の所に、とてつもなく焦った様子のカイルが来てくれてお姫様抱っこをしてくれる。
「だ、大丈夫。びっくりしただけ」
ツィリムもとても心配そうだけど、私は本当に何ともない。壊れた天井の欠片が降ってきたりだとかそういうことも無かったし、全くの無傷だ。
「ごめーん、やりすぎたー! どうしよー!?」
エスサーシャさんも元気そうで何よりだけど、この惨状はそれどころじゃないよね。
完全に建物無くなってるよね。
「何があったの?私には爆音しか聞こえてないんだけど」
「あとで教えるから、とりあえず、帰ろ」
だいぶ焦った様子のカイルとツィリム。
無傷だった私は呑気にしてたんだけど、何だか2人は大変そう。
あれよあれよという間にツィリムにパスされて、裏口みたいな所を突っ切って走り、そのまま馬車に乗せられた。




