九月十八日
百五十六回目なんだ。
交渉能力ってものは生活の中で磨かれていく。
時間、場所、天候、相手の性格や自分が相手にどう思われているか、様々な要因を加味して自分にとって最大の成果を導き出す。
それは告白であったり、親から小遣いや欲しい物を強請る時だったり、仕事の営業、プロジェクト、やりたくない事を回避したりと様々な場面で必要になってくる。
愚息とちょっとスーパーに買い物に行ってきたのだが、まあ、お約束でお菓子が欲しいと言ってきたので、百円ぐらいのにしなさいと言って店内を物色していると、愚息が持ってきたのは五百円クラスのオモチャ付お菓子。
当然却下だ。次は四百円クラスのオモチャ付お菓子。
当然却下だ。次は三百円クラスのオモチャ付お菓子。
小刻みにお菓子のランクを下げてくる。次は二百円かと思ったら百五十円のお菓子。
まあ、このくらいならと買ったのだが、前は最初にこのクラスのお菓子を持ってきたので百円以下にしろと言っていたのに……
最初に絶対買わない高い物を提示して、その値より下に下げ、最初に比べたらこれくらいいいかな? と思わせる様に思考を誘導された。
小賢しい知恵を身に付けやがって、中々ヤリおるわ!
後で妻に私が怒られるだろう。家では妻が鞭、私が飴と役割分担をしている為、妻と買い物の時は高めのお菓子は持って来ないらしい……
甘く見られているのか、話術が向上しているのか、まったく困ったものだ。
その内、『ぱぁぱぁ~。これ買ってぇ~♡』なんて言わない事を祈るばかりだ。
まあ、『やられたら倍返しだ!』なんて言わない分まだいい方だろう。
スーパーで欲しいお菓子の為に土下座した事もある恐ろしい根性の持ち主だ。
さて、次の買い物の時はどんな手を使ってくるのか? 楽しみに待つとしよう。
それでは、また、明日。




