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校内対抗戦、スタート

 今回は、かなり短めになっております。

 10月26日、司会の名前をマリーからリリーに変更しました。

 その後も、アグノスたちの特訓は続いた。

 レオンも、対抗戦には参加しないモノの、みんなの頑張ってる様子を常に見守っていた。

 ――――そして、校内対抗戦当日。

 最近は利用していなかったが、会場は最初に模擬戦した闘技場で行うらしく、元々あった観客席には、今回試合には参加しない各クラスの生徒や、その保護者達が多く観戦しに来ていた。

 俺としては、ブルードがいるし、何より神無月先輩たちを召喚したカイゼル帝国の王様を一目見ておきたかったんだが、今回の試合には来ていなかった。……王様だし、忙しいのかなとも思うが、それ以上に子どもに興味がないんじゃないかという気がしてくる。俺自身がカイゼル帝国に悪印象しか持ってないからかもしれないけど。

 そんな中で、参加するクラスの生徒たちが闘技場の中心に集まると、なんだか久しぶりに見た気がするバーナさんが、壇上に上がった。


『諸君。今日は、天気にも恵まれ、いい状態でこの校内対抗戦に臨めると思う。みんな、それぞれの全力を出しあい、頑張ってくれ!』


 バーナさんの言葉に、観客席から一斉に歓声が上がる。

 やはり、この行事はそれだけ期待度や注目度の高い催し物なのだろう。


『さて、前置きはこれくらいにしておこうかのぅ。皆が気になっている対戦順を発表しよう。これじゃ!』


 バーナさんが手を上げると、空中に映像が映し出される。

 テルベールで行われた、王都カップと同じ技術だろう。

 それはともかく、気になる俺らの対戦相手だが――――。


「……ははっ。運がいいのやら、悪いのやら……」


 何と、最初の対戦相手は――――Sクラスだった。

 思わず苦笑いしていると、厭らしい笑みを浮かべた、Sクラスの先生がやって来た。


「まさか初戦で当たるとは思わなかったなぁ」

「そうですね」

「んん? ……おやおや、Fクラスは満足に参加人数を揃えることもできないのかな?」

「もともと人数が少ないので」

「ハハハハハ! 悲しいなぁ。弱小だと、一つの試合すら満足にできないのだから……そうだなぁ、人数不足で負けたと言い訳されても困るから、途中参加も許可しようじゃないか。貴様のクラスには、まだ一人男子が残っているだろう? そいつに試合に出る根性があるのであれば、途中参加でもいいだろう。まあ、あの様子じゃ無理だろうがなぁ!?」


 横目でレオンの様子を確認するが、やはりレオンが試合に出るのは難しいだろう。


「……」

「せいぜい足掻くがいいさ。せめて、私の生徒たちの魔法の実験台として役立つ程度にはな! フフフ……ハハハハハハハハハ!」


 何だ、その安っぽい悪役みたいな笑い方は。

 思わず呆気にとられていると、不安げな様子でベアトリスさんが話しかけてきた。


「あの……本当に大丈夫でしょうか? もし、生徒に何かあったら……」

「ベアトリスさん。これは、アグノスたちが決めたことです。なら、アグノスたちに頑張ってもらうしかないでしょう」

「そうっスよ! 姐さんは、どどーんと構えてください!」

「心配は無用だ。ヤツらへの慈悲など持ち合わせていない」

「ルルネはもうちょっと穏便になろうか」


 これ、死者でないよね? ルルネの雰囲気が、軽く人を殺しそうなレベルなんだけど。俺、信じてる。


「まあ、初戦がSクラスとはいえ、最初に戦うのは他のクラスだからね。俺たちも早く闘技場から出よう」


 校内対抗戦は、一組ずつ、闘技場をフルに活用して行われるため、俺たちは速やかに闘技場から出た。

 そして、参加者だけが座ることのできる席で、他の生徒たちの試合を確認する。


『さあ、やってまいりました、校内対抗戦! 司会は、私! 放送部のリリーがお送りします! そして、本日は解説者に、マイケルさんをお呼びしております!』

『どうも、マイケルです』


 誰!? 解説の人、俺まったく知らないんだけど!? しかも無駄にいい声だし!

 俺が思わず驚いていると、ベアトリスさんが呟いた。


「……誰でしょう」


 みんな知らないの!?

 辺りを見渡してみると、全員首を捻っていた。

 本当に知ってる人いないじゃん! なぜそんな人を呼んだ!? てっきり、俺が知らないだけで、すごい人なのかと思ったじゃん! あ、バーナさんまで首を傾げてるし!

 内心で盛大にツッコムも、司会は進行していく。


『最初に対戦するクラスはこちらです!』


 司会の声が客席全体に響き渡り、上空には、Cクラス対Aクラスと表示されていた。


『さあ、どんな試合展開になるでしょう! 解説のマイケルさん!』

『そうですね。なんか、こう……すごくなります』

『なるほど! 大変興味深い考察ですね!』


 なるほど、じゃねぇよ!? 何納得してんの!?

 興味深いも何も、薄っぺらさしかねぇじゃん!?

 本当にこんなので大丈夫!?


『さて、そんなCクラスとAクラスの戦いですが、私個人としては、Aクラスのジオニス選手に注目しています』

『ほう、何故ですか?』

『ジオニス選手は、Sクラス代表にも選ばれている、ロベルト選手の弟であり、ウィンブルグ王国の第二王子なのですが、魔法はお兄さんであるロベルト選手に一歩及ばず、Aクラスということで、総合的な戦闘力だけで見れば、Sクラス相当なのです』

『なるほど、知りませんでした』


 解説者……! 知らないじゃダメでしょ!?

 それにしても、ウィンブルグ王国の第二王子ってことは、ランゼさんの息子さんってわけか……お兄さんもSクラスにいて、しかも俺たちと戦う代表者の一人らしいけど、どんな人だろう?


『それでは、選手のみなさんも準備できたようなので、早速試合を進めていきましょう! Cクラスのボブ選手対Aクラスのテリー選手……第一試合、開始ッ!』


 司会の声と共に、こうして校内対抗戦が始まった。

10月26日、司会の名前をマリーからリリーに変更しました。

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