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怒りの影響

遅くなってしまい、大変申し訳ありません。

生存報告の意味も込めての投稿なので、非常に短いです。

 誠一バケモノが異世界で初めて激怒した日。

 その影響は魔物やバーバドル魔法学園だけにとどまらず、多くの場所にも影響を及ぼしていた。

 魔王領もまた、その影響を受けた地域の一つであった――――。


◆◇◆


「「「うぉっほい!?」」」


 俺――――ベル・ジゼルは、突如襲った悪寒に、体を大きく震わせた。……って……。


「おい、お前らも悪寒がしたのか?」

「は、はい……」

「え? ということは、ベルさんも……?」


 何と、悪寒を感じたのは俺だけでなく、部下にして大切な仲間であるテリー・ヘムトとボスコ・ダンの二人もだった。


「俺ら三人同時に悪寒を感じるとか……穏やかじゃねぇな」

「いえ、別に悪寒を感じなくても普段から穏やかとは程遠いんですが……」

「言うんじゃねぇ。号泣するぞ」


 そんなやり取りをしながらも、当初の目的を達成するべく、手も動かし続ける。

 結局、あの悪寒は何だったんだろうな?

 そんなことを考えていると、不意にボスコが訊いてきた。


「ベルさん……俺たち、一応特殊部隊ですよね?」

「あん? そうだな。レイヤ様直属の部隊……つまり、一般兵たちとは格の違う、エリートだ」

「玉砕隊と言われてますが?」

「バカ野郎。それは他の連中の嫉妬だよ」

「いえ、レイヤ様たち、幹部の皆さまが言ってるそうですが……」

「………………黙って手を動かせ」

「誤魔化さないでください! もし、本当にエリートなら――――」

「ばっ! それ以上言うんじゃ――――」

「――――お城の掃除なんてさせられないでしょう!?」

「やめろぉぉぉぉぉぉおおおおおおおおおおお!」


 ボスコのヤツ、言い切りやがった! 俺が必死で目を背けてたことなのに!


「ボスコ! テメェ……ついに口に出しちまったなぁ!? 俺が全力で現実逃避してたことを……! テリー! コイツをどうしてやろうか!?」

「ベルさん。俺もボスコと同じ考えなんですが……」

「テメェもかあああああああああああああああ!!」


 ここに仲間なんていなかったんだ! チクショウめ!


「考えてみてもください! 俺たちがまともに命令を受けたことってありますか!?」

「あるだろう!? テルベールに転移魔法ばら撒いたじゃねぇか!」

「あれは独断でしょう!?」

「そうだったよ、コンチクショー!」


 よく考えれば、本当に俺たちはまともな命令を受けたことがなかった。

 いや、黒龍神様が倒されたとき、留守を任されたのも立派な命令ではあると思うけどね!


「戦闘力が上がるどころか、主夫力がどんどん上がるし……!」

「い、いいじゃねぇか、主夫! 最高だろ!?」

「俺たちエリート部隊の隊員でしょ!?」

「クソッたれ!」


 思わず頭を抱えると、ボスコはピカピカに磨かれた窓を指さした。


「見てください! この新品のような窓ガラスを! いったいいつこの技術を戦闘で使うんですか!?」

「ゆ、勇者どもの武器を磨いてやればいいじぇねぇか!」

「バカなんですか!?」

「ゴメンナサイ!」


 ボスコの言うとおりである。

 こんな家事スキルが磨かれたところで、戦闘では何の役にも立たないのだ。

 テリーも何も言わないが、心の奥底ではボスコと同じことを考えているのだろう。

 だが、俺たちは何が何でもこの掃除をやり遂げなければならないのだ。

 未だに不満を言い続けるボスコを意識から追いやり、俺は姿勢を正して息を大きく吸い込むと、大声で号令した。


「せいれぇぇぇぇぇえええええつ!」

「「は、はい!」」


 無駄に訓練された整列の号令に、ボスコたちは反射的に背筋を伸ばし、大きく返事をした。


「いいか! 今の状況に不満があるのなら、自分の糧となるように工夫しろ! 例えばこの頑固な汚れたちを勇者として考えるんだ! ええい、忌々しい勇者どもめ……俺たちが綺麗に磨きつくしてやるぜ! ……どうだ? これだけでも勇者への士気が高まるだろう!?」

「な、なるほど!」

「さすがベルさん!」

「よぉし! それじゃあラストスパートだ! 一気に勇者どもを殲滅するぞ!」

「「はいっ!」」


 俺たちはそれぞれの掃除道具ぶきを手に、勇者たちに挑んだ。


「――――って、なるわけないでしょ!?」

「ですよねー!」


 さすがに誤魔化し方に無理がありすぎたようだ。俺、ガッカリ。

 俺は大きくため息を吐くと、仕方なく切り札となる言葉を告げた。


「なら、レイヤ様に直接言うんだな」

「よぉし、勇者どもを殲滅するぞー!」

「任せろ! 俺たちは勇者殺しのエキスパートだぜっ!」


 どんなに強気でいても、結局レイヤ様のオシオキが怖いことに変わりはなかったのだった。


◆◇◆


『ッ!!??』


 私――――レイヤ・ファルザーは、突如、謎の【ナニカ】による圧力を感じ取り、体を強張らせた。

 な、何なの? いったい……。

 今日は、以前ルーティア様が宣言したウィンブルグ王国と同盟についての会議のため、再び魔王城へと集まっていたんだけど……。

 吹き出す汗や体の震えとは別に、なぜか冷静な思考回路で現状を把握しようと努力した。

 静かに周囲を見渡すと、魔王軍の最強格――――第一部隊隊長ゼロス・アルバーナと第二部隊隊長ゾルア・ワルトーレ、そして懲罰部隊隊長のジェイド・レーヴェンのみ、臨戦態勢に移行している。

 ゼロスは、禍々しい魔力を噴出させ、ゾルアは体に闇を纏い、紅い瞳以外姿を確認できない状態になり、ジェイドは妖しい魔力を周囲に漂わせていた。

 これは、滅多に見ることのできない、三人の全力戦闘状態だった。

 だが、彼らの表情は、焦りと困惑、そして――――恐怖に彩られていた。


「…………いったい、何だ? この力は――――」

「んなこと知るかッ! 集中しやがれ、クソトカゲ……!」

「ちょっとぉ……何なのよもぉ……!」


 恐怖しながらも、三人は会話ができている。

 それに比べ、私たち他の幹部は、身動きすら取れなかった。リアも余裕がなさそうね……って、ウルス、白目になってない? 気絶してるわよね?


「ルーティア様は無事だろうが……」

「大丈夫だろうよ……この馬鹿げた力の波動は、ここからとんでもなく離れた場所から……それも、特定の人物じゃなく、無差別に放たれてるっぽいからな……ルーティア様を狙ってるワケじゃねぇだろ」

「迷惑な子がいたものねぇ……」


 一瞬の気も抜けない状態でしばらくの時間を過ごすと、不意に先ほどまでの圧力がまるで嘘のように綺麗になくなった。

 それによって、私たちは再び身動きがとれるようになった。

 私は何度も呼吸を繰り返した。


「ハァ、ハァ、ハァ……冗談じゃないわ。今の私たちにとって、一つでも不安要素があるのは困るじゃない……」

「確かに、俺たちが全力で戦ってなお、勝てるか分からない強大な力の大きさを感じたが、その矛先は俺たち……いや、魔族に向いているモノではなかった。心配するだけ無駄であろう」

「そうはいっても……」

「ごちゃっごちゃうるせぇなぁ……今は俺たちに害がないって分かったんだ、それを素直に喜ぶくらいできねぇのかよ」


 ゼロスとゾルアの二人にそう言われた私は、黙るしかなかった。

 だが、そう簡単に納得できるほど私は強くもないし、能天気でもない。

 ……そのうち、またベルたちを使って、情報を集めさせようかしら? 危険な任務にはなると思うけど……大丈夫よね。だって、玉砕隊だし。

 そんなことを言っていると、ゾルアがウルスを指さした。


「ウルスを見てみろ。動じてねぇだろうが……って気絶してんのか!? 情けねぇ……」

「残念だけど、私たちはアナタたちほど生物をやめてはいないのよ」

「【不死鳥】のレイヤに言われても、説得力がねぇよなぁ」


 それはアンタもでしょう!

 私は、吸血鬼の真祖であるゾルアに言われ、内心盛大にツッコんだ。

 私の種族は、確かに【不死鳥】だ。

 特に、私は不死鳥としての固有能力の『治癒の炎』に加え、空気を操る『空気魔法』を有しているからこそ、魔族軍の幹部にまでなれたのだ。

 ベルたちは、私の魔法を『気体魔法』と勘違いしているようだけど、私が操ることができるのはこの世界中に漂う空気だけ。他のありとあらゆる気体を自在に操ったり、生み出したりするほどの力は私にはない。

 黒龍神様が倒されたとき、早く復活してもらえるように私が向かったのも、『治癒の炎』の力を持っていたからだ。

 治癒の炎は、死んでさえいなければ、時間はかかるものの、どんな傷でも癒すことができる。

 ただ、封印などの特殊な状態異常を解除するだけの力はないのだ。

 ……封印が解くことができれば、ルーティア様のお父様を完全に復活させることもできるのにね……。

 ルーティア様のお父様――――つまり、現魔王様が封印されたのもだいぶ前のことだ。

 初代魔王様が封印され、先導者を失った私たち魔族は、力の強い者を王に据えることで、こうして今までやって来ることができた。

 魔族は、ただ平和に暮らしたいだけなのだ。

 それなのに、人間は次々と兵隊を送り込んでは、戦争を仕掛けてくる。

 そして、魔王様が封印されたのだ。

 ――――そんな憎い相手なはずなのに、ルーティア様は人間と手を取りたいとおっしゃられた。

 だから、私たちは全力でそれを支えるだけなのだ。

 ルーティア様の邪魔をする奴は、誰であろうと許さない。


「……」


 私は、謎の圧倒的な力の波動を放った者を想像する。

 ……もし、その存在がルーティア様の邪魔をするのであれば――――。


「命にかえても、止めて見せるわ……」


 私は、そう決意した。

7月ごろまでいろいろと忙しく、最悪一度も投稿できないという状況になるかもしれません。

ですが、時間を見つけて少しずつでも新しい話を書いて行き、出来上がり次第投稿できるように努力しようと思います。

その上で、進捗状況を報告できればと思い、Twitterを始めました。

基本的に放置になるかとは思いますが、できるだけの状況はそちらでも報告したいと思いますので、見ていただけたらと思います。

aoimiku0505で検索をかけてもらえれば大丈夫かと思います。

ご理解のほど、よろしくお願いいたします。

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