ルルネと露店デート~大食い大会~
勇者との合流を楽しみにしている皆様には申し訳ないのですが、もう何話か閑話をはさんで合流させたいので、もうしばらくお待ちください。
国のほうからの報酬として、魔物たちからドロップしたアイテムを貰った翌日。
まだ、ルイエスは帰ってきていないので、今日は早速、ルルネと約束した美味しいモノを食べに行こうと思っていた。
……ちなみに、俺が倒したことによって手に入ったドロップアイテムだが、やはりというか、普段なら手に入らないような貴重なモノばかりドロップしていたらしく、報酬の選別をしていた兵隊さんたちが驚愕していた。
ただし、それらすべてが俺のせいだと兵隊さんたちだけでなく、国王様であるランゼさんも薄々気付いているようなのだが、ランゼさんはラッキー程度の認識しか持っていないようだった。……王様がそれでいいのだろうか? まあ、俺は余計な心配しなくて済むからいいんだが……。
それで、俺が貰ったドロップアイテムはこれらだった。
『千手甲』……神話級装備品。自身が攻撃をするとき、その攻撃の数が倍になる。また、通常攻撃に光属性が付与される。
『空王のブーツ』……神話級装備品。空中に足場を展開し、自由自在に歩き回ることができる。また、足に風を纏わせ、攻撃することも、スピードを上げることも可能。
『水神の水筒』……神話級装備品。飲んでも飲んでも減ることのない水筒。なかの水は、一口飲めば、状態異常をすべて回復させ、飲んだ者を健康体へと変える。
また、俺は神様を殺してしまったらしい。
もうね、ぶっ飛んだ能力のオンパレードだよな。
千手甲の効果は、例えるならどこかの化物が一度に100の斬撃を放つと、勝手に200の斬撃に変わるってことだ。しかも、光属性が付与された状態で。……この化物ってのは、俺のことじゃないからね?
報酬で貰うまで気にしていなかったが、倒した魔物から手に入れた情報を整理していると、『サウザンド・ゴーレム』という魔物の知識があったので、そいつから手に入れたアイテムだと思ってる。
空王のブーツは、サリアが履いている『蒼の靴』の上位互換。空中を歩くのに制限もないし、なおかつスピードもアップするっていう壊れ性能。
この装備は、どの魔物からドロップしたのか、よく分かっていない。だって、『スカイドラゴン』やら『天獅子』やら、いかにも空の王様っぽい名前の魔物が多すぎるんだもの。
防具とは違うが、水神の水筒もチートな性能を有している。
俺には関係ないかもしれないが、状態異常をすべて回復させるんだぞ? しかも、水筒の中身は減らないし、健康体に変えるってことは、病気まで治してしまうんだろ? とんでもねぇじゃすまねぇよ。
このアイテムもまた、どの魔物からドロップしたのか分からない。『水蛇』やら『アクアロード』やら、それっぽいのが多すぎる。
他にもいくつか装備品は貰ったし、倒した魔物すべての部位を少しずつ貰ったりもしているが、それを語っていたら、時間が無くなってしまうだろう。
先に述べた通り、今日はルルネと美味しいモノを巡ろうと考えているので、朝食は抜いて、朝早くから露店を回ってみようと考えているのだ。
サリアたちはギルドで依頼を受けたり、部屋でゆっくりしたりして過ごすらしい。
それはともかく、ルルネが待っていたらあれなので、すぐに用意をして、俺は部屋から出た。
◆◇◆
宿屋の外で待っていると、少し時間が経ってから、ルルネがやって来た。
「あ、主様、すみません! あの……待たせてしまいましたでしょうか?」
「いや? そんなことないよ。そんなことよりも、今日は美味しいモノを食べに行くんだろ? 朝食べてないから、お腹がペコペコでさ……」
「そ、そうですか! では、早速行きましょう!」
ルルネは笑顔を浮かべると、そのまま急いで先を行こうとする。
お腹が空いているのはたしかだが、今日はゆっくりと美味しいモノを巡りたいので、手を掴み、ルルネを引き留めた。
「ルルネ、そんなに急がなくても食べ物は逃げないよ。ゆっくり行こう?」
「あ……そ、そうですね。……それで、主様……」
「ん?」
「手……」
「あっ、ゴメン!」
ルルネが恥ずかしそうにそう言ったことで、俺はルルネの手を握ったままだということに気付いた。
慌てて手を離そうとするが、逆にルルネは俺の手を握ってきた。
「ルルネ?」
怪訝に思い、ルルネの顔を見るが、ルルネは顔を俯けた状態で言う。
「……今日一日でいいので……このまま、手を握っていてもよろしいでしょうか……?」
「……」
誰だ、この子。
食べ物が大好きで、凛々しいんだか天然なんだか分からないルルネはたくさん見てきたが、耳を真っ赤にして、恥じらうルルネは、今まで見たことがなかった。
いつもと違う雰囲気に戸惑いながら、思わず呆然としているとルルネが不安げな様子で声をかけてきた。
「主様……?」
「あ、だ、大丈夫! えっと、俺なんかでよければ、いくらでも手を握ってくれ!」
どんな返しだよ、俺。
テンパっていた俺は、妙な返事をすることしかできなかった。
だが、ルルネはその一言で、少し頬が赤いままだが、ふわりと笑った。
唐突な笑顔に、今度は俺の顔が赤くなったが、それを悟られないよう、顔を逸らし、移動を開始した。
「ほ、ほら! いつまでもこの場所にいたら迷惑だろ? 適当に露店を回ってみようぜ」
「はい!」
なんか出発まで時間がかかったが、やっと俺たちは歩き出した。
特に目的地を決めることもせずブラブラ散歩するのも楽しいが、今回は露店が多い、広場の方まで行くことにしている。
そのあとは、ノアードさんの喫茶店に、ルルネを連れていけたらとも考えていた。あそこのケーキと紅茶は美味しいからな。
「あ、主様! あれを見てください!」
「ん?」
広場まで向かう途中、突然ルルネが立ち止まり、指をさした。
その方向に視線を向ければ……。
「……大食い大会?」
大食い大会開催中と書かれた、大きな看板が出ていた。
なんと、目の前にある食堂が、たまたま大食い大会を開催しているようだ。
食堂の名前を見て見ると、【満腹食堂】と書かれている。……うん、まあ大食い大会を開催しててもおかしくなさそうな店名ではあるな。
露店で飯を食べようと思っていたが、こんなイレギュラーも面白い。
それに、看板に書いてある字を読むと、優勝者は、大食い大会で食べた料理の値段が無料になるという賞品付き。
「ルルネ、参加してみるか?」
「え? ですが……いいのですか?」
「おう。俺は後で食べればいいしな。ルルネが食べたいと思ったら、俺はそこについて行くよ」
「そう、ですか……それでは……」
ルルネは、一瞬迷ったようだが、参加することに決めた。
そして、食堂の店員にルルネが参加する旨を伝えると……。
「あの……本当によろしいでしょうか? この大会は、世界中の名だたる大食い家たちが集まる戦いです。女性の部門はないので、男性の中に混じっての参加となりますが……」
名だたる大食い家ってなに?
しかも、世界中って思ったより規模でけぇな。
一応忠告をしてくれる店員だったが、ルルネは構うことなく……。
「構わん! 私は食べるぞ!」
もう食事に意識が向いていた。いつも通りのルルネだな。
ルルネの並々ならぬ熱意に引いた店員だったが、そこはプロとして、参加を認めた。
食堂の中に入ると、いわゆる大衆食堂的な雰囲気が感じられ、大きな丸テーブルがいくつも並んでおり、他にもこの店の店主と向かい合う形のカウンター席や、テラス席などがあった。
ルルネは、そのまま参加者のほうに向かったので、俺はルルネがよく見える位置のカウンター席に腰を下ろした。
すると、ふと隣から、煙が流れてきた。
思わずその方向に視線を向けると、ボロボロに擦り切れた黒色のローブを身に纏った人物が隣に座っていた。
「おっと、悪ぃな、煙。どうしてもこれだけはヤメられなくてよぉ……」
隣の人物は、フードのせいで顔全体は分からなかったが、タバコを咥えた口元に無精髭が生えていることと、声から男性であることが分かった。……てか、タバコってこっちの世界にもあったんだ……。
「あ、いえ、大丈夫ですよ」
「そうかい? そいつはありがてぇな……おっちゃん! エールを1つくれ! それと、お前さんは、何がいい?」
「え?」
「煙の詫びだ。何飲む?」
「そんな! 大したことじゃないんで!」
「いいから奢られろ! んで? 何がいい?」
「あー……えっと、でしたら、何かジュースを……」
「うし、おっちゃん、追加で美味いジュースも1つ!」
「あいよっ!」
確か、エールってビールの一種だっけか?
ホップを加えて醸造してるかしてないかの違いだって、地球にいたころにテレビで見た気がするんだが……。
そんなどうでもいいことを考えていると、隣の男性にエールが運ばれ、俺の前にオレンジジュースらしきものが置かれた。
男性は、そのエールを一気に飲み干す。
「っか~ッ! うめぇなぁ!」
「はい、美味しいです」
俺のはお酒でなくオレンジジュースだが、果汁百パーセントのような、濃厚で果実本来のうまみが凝縮されたモノだった。
非常に気持ちのいい飲みっぷりを見せた男性は、ふと俺に話しかけてくる。
「それにしても……ここはいい国だねぇ……お前さんもそう思わねぇかい?」
「え? あ、はい。そうですね。俺、ここ出身じゃないんですけど、それでもいい国だと思いますよ」
「そうだよなぁ……俺はよ、仕事柄旅することが多いんだがな、この国は小さな村々までもがしっかり国に管理されてるんだよ。管理って言うと、なんか気持ちのいいモノじゃねぇが、悪い意味で言ってるんじゃねぇぞ? しっかり国の目が行き届いてるからこそ、騎士団が常に周囲の安全を確保してくれているし、村が収める税に響くような事態に陥れば、すぐに救援や対応策が施される……公共事業もしっかりしてるからこそ、貧困層が少ねぇし、極僅かな貧困層に対しても、きちんと対応してくれる、まさに理想と言ってもいい国だぜ?」
「そうなんですか……」
「ここの国王さんがスゲェんだよ。他の国に行けば、当たり前のように人種差別があるし、安心して暮らせる場所なんてありゃしねぇ……そういや、お前さん、冒険者かい?」
「えっと、そうです」
「なら、いずれこの国を出ることもあるだろうが、他国で仕事をするときは、この国を基準に考えるのはヤメときな。ここは平和で尊い場所であると同時に、それだけ危機感が薄れるってもんさ」
そうだろうな……ギルドもこの街にあるギルド本部を基準に考えるのはやめた方がいいだろう。てか、他のギルドも変態だらけとか困る。この街だけで十分です。
「そうですね、ありがとうございます」
「いいってことよ。そういや、名前訊いてもいいかい?」
「あ、誠一です」
「誠一か、いい名前じゃねぇか。響きからして、東の国だろう? 俺は……スロウだ。ま、ここで会ったのも何かの縁だろう。また、どこかで会えるといいな。……おっちゃん! 金、ここに置いとくぜ!」
それだけ言うと、男性……スロウさんは、煙を体に纏いながら、食堂を出ていった。
「なんか、不思議な人だったな……」
いつの間にか知り合いとなったスロウさんと話し込んでいると、ついに大食い大会の準備ができたらしく、司会の声が聞こえてきた。
『さあ、やってまいりました! この【満腹食堂】名物の大食い大会! 早速選手紹介をしていきたいと思います! まずはこの街一の大食い! ≪ハラ・ヘッター≫選手です!』
「うぉぉぉぉぉ! 俺こそが真の大食いマスターだっ!」
最初に紹介された選手は、ガッスルほどではないにしろ、かなりの筋肉量を誇るタンクトップ姿の男性だった。……つか、大食いマスターってなに? それに、名前……。
『続いては、カイゼル帝国からやって来た、大食い王! ≪ソシャーク≫選手!』
「吾輩こそが、真の大食いマスターであーるっ!」
次に紹介されたのは、カイゼル髭を生やした、軍服らしきものに身を包んだ初老の男性だった。
……今度の名前は、『咀嚼』からきてるの?
『またもや他国からの挑戦者! ヴァルシャ帝国一の美食家にして大食い家! ≪ヨクタベール≫選手!』
「ふふふ……私の胃袋に勝てますかな?」
不敵な笑みを浮かべる中年男性は、綺麗にセットされた白髪に、見るからによく食べそうなふくよかな体を豪華な服装で身を包んでいた。
……もうツッコむ気にもなれないけど、『よく食べる』ってそのままだよね?
そんなことよりも、初めて聞く国名だな。
カイゼル帝国は、何かと俺に関係深い場所なのだが、さっきまでスロウさんと会話していたように、当たり前だが、この国以外にもたくさん国があるんだなと改めて実感した。
『最後に! 今大会の紅一点! 挑戦者≪ルルネ≫選手!』
「前置きはいい。とっとと食事をさせろ」
本当にルルネはブレねぇな。
まったく緊張している様子が感じられないルルネに、呆れるやら感心するやらしていると、司会が今大会の説明に移った。
『さて、それでは簡単に今大会のルール説明をさせていただきます。ルールは、こちらが用意した料理を順番に食べていただき、最後まで残っていた人が優勝となります。もちろん、料理の量や品目、順番は同じです! 優勝者は、今回の食事代を無料にするだけでなく、ウチの店主自慢の一品≪グレートパフェ≫がデザートとして進呈されます!』
おお、看板に書かれていなかった、デザートが貰えるのか。
『さて、それでは最初の料理です! 料理名は……【ウマシカのステーキ】!』
まさかのウマシカ!? つか、ルルネが食ったら共食いじゃね!?
驚く俺をよそに、選手たちの前に、美味しそうなボリューム溢れるステーキが並べられていく。
『さて、それでは皆様準備はよろしでしょうか? では……スタートッ!』
司会の合図とともに、一斉に選手たちがステーキに齧り付きだした。
ルルネも、他の選手たちと同様に、ステーキを食べる。ああ……共食い……。
どんどんステーキが選手たちの胃袋に収まっていく中で、ハラ・ヘッター選手の食のスピードが落ち始めた。
そして――――。
「ま、参った……! うぷっ!」
ハラ・ヘッター選手は、脱落した。
おい! まだ一品目だよ!? 確かにはたから見てても、ボリューミーなステーキだなぁとは思ってたけど、せめてそれ一枚くらいは食べきれよ!
ハラ・ヘッター選手は、ステーキを半分ほどしか食べることができておらず、なぜこの大会に出場しようと思ったのか疑問に思ってしまうほどだった。
『おっと、早くも一人脱落です! では、ハラ・ヘッター選手には、今回の食事代と、残しましたので、残飯代を含めて、これだけの額を支払ってもらいます!』
そう司会が言うと、一人の店員がハラ・ヘッター選手に近づき、一枚の紙を渡した。恐らく、領収書だろう。
「!?」
それを受け取ったハラ・ヘッター選手は、まるでムンクの叫びのような顔になった。……どんな金額が書かれてたのか、逆に気になるぞ。
『さて、他の選手の皆さまは、食べ終えたようですね! それでは、じゃんじゃん行きましょう!』
そして、次々と運ばれてくる、料理を選手たちはどんどん消化していく。……ハラ・ヘッター選手、名前負けしすぎじゃね?
二品目、三品目……と、次々と品目が進んでいたが、とうとう二人目の脱落者が出た。
「も……無理であーる……!」
『はーい! ソシャーク選手、脱落です! では、こちらの金額をお支払いください!』
お腹を押さえ、いかにも苦しそうな様子のソシャーク選手のもとに、再び店員が現れ、領収書を渡した。
「!!??」
すると、二人目のムンクの叫びが出来上がった。だから、どんな金額が書かれてるの?
『さあ、とうとう一騎打ちです! まさか、ここまでルルネ選手が残るとは想像できませんでした!』
司会が言うように、普通に見れば、ルルネのような美少女が大食いと言われても、疑うだろう。
だが、近くで見てきた俺は、疑うよりも、逆にどうしてあの体にあれだけの食べ物が収まるのかの方が、不思議で仕方がなかった。
『さて、一騎打ちを行うにあたり、こちらも最後の品目となっております。ですが、今までの料理とは、一線を画す料理を用意させてもらっています。それは……こちらです!』
司会がそういった瞬間、店員がルルネとヨクタベール選手の前に、体長5メートルほどもある、巨大な鳥の丸焼きを並べた。
『最後の料理は、【ブヨブヨ鳥の丸焼き】です! 最後の戦いにふさわしい一品ですね』
並べられた料理を見ての反応は、まったくもって正反対だった。
「クッ……! まさか、ここで超重量級の料理が待ち構えているとは……!」
「おおおお! 美味そうな鳥ではないか!」
ルルネは、喜々として料理に噛り付き、ヨクタベール選手は、食べるスピードが遅いながらも何とか完食しようと頑張っていた。
だが――――。
「~~~~っ!」
ヨクタベール選手は、両手で口元を押さえると、椅子ごと床にひっくり返った。
『おおっと! ヨクタベール選手ダウン! ということは……何ということでしょう!? 優勝者は……今大会唯一の女性、ルルネ選手です!』
「「「うぉぉぉぉぉ!」」」
突然上がった歓声に、俺は驚き、周囲を見渡すと、いつの間にか多くの見物客で溢れかえっていた。……集中してて、気付かなかった……。
優勝したルルネ本人は……。
「む? 優勝? そんなことより、他に料理はないのか?」
まだ食べたりなかったらしい。お前の腹の中どうなってんの?
呆れながらも、優勝したことを祝福するため、拍手で迎えていると、苦しそうな様子のヨクタベール選手が起き上がった。
「ふ……ふふふ……まさか、この私が負けるとは……それも、貴女のような可憐な女性に……」
「私は食べることが好きだからな。それに、食事の前では、雄も雌も関係あるまい」
「……男女、平等ですか……。一つ、お聞きしたい。貴女にとって、食事とは何なのですか?」
どこか哲学めいた質問に対し、ルルネは考えるそぶりすら見せず、即答する。
「生と死の調和。そして、歴史だな」
「……それは、どういう?」
「食事は、生きるために他の命をいただく行為だ。どちらかが欠ければ、『食』という概念は存在しえない。また、我々がこうして多くの料理を堪能できるのも、先人たちが残してきた『食』に対する探究があったからこそだ。これらの行為に、雄も雌も、人種も宗教も、神と人ですら関係ない。『食』とは、神が侵すことのできない数少ない聖域の一つだと、私は思っている」
深いよ。深すぎるよ。
俺、ルルネがそこまで真剣に『食事』について考えてると思ってなかったよ。
そんなルルネの答えを受けて、ヨクタベール選手は何かを感じ取ったのか、非常に晴れやかな表情を浮かべた。
「そう、ですか……どうやら、私はまだまだだったようですね。祖国を出て、この大会に参加し、貴女の真理に触れることができて、よかった……」
ヨクタベール選手とルルネのやり取りを見ていた見物客たちは、何やら感動した様子で温かい拍手を送っていた。
すると、店員がいつの間にかヨクタベール選手のそばにおり、そっと領収書らしきものを渡した。
「!!!???」
三人目の、ムンクの叫びが出来上がった。
ナンダコレ。
ただただ、俺は呆気にとられることしかできなかった。
まったくこの話とは関係ないのですが、私の拙作『異世界の鬼神と呼ばれし者(ゲームの中だけですけどね)』を、大幅に改稿しようと考えております。
ただ、『ゲームの世界から異世界へ』という話の流れは、変わることはありません。
いつ改稿を始めるなどとは決めておりませんが、この場を借りて、報告させていただきます。




