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ダンジョンからの帰還と報告

混乱させてしまい申し訳ありませんでした。

投稿ミスです。

編集が終わりましたので、もう一度見ていただけますと幸いです。

「――――というわけで、ダンジョンは消し飛びました」

「どういう訳じゃ!?」


 さっそく学園へと戻った俺は、そのままバーナさんにダンジョンのことを報告した。

 ただ、サリアたちは休んでもらうために先に帰ってもらった。まあゾーラのことは報告しないといけないので、彼女はついてきているが。


「いえ……成り行きと言いますか、なんといいますか……ついやってしまいました」

「ついで消し飛ぶダンジョンなんて聞いたことないんじゃが!?」

「いやぁ、人生って本当に難しいですね!」

「もう少しマシなまとめ方ってないかのぅ!?」


 バーナさん。貴方は知らないんですよ。

 知らない間に全宇宙救っちゃうこともあるんですから。

 俺の滅茶苦茶な報告を聞いたバーナさんは大きな溜息を吐くと、一緒についてきていたゾーラに目を向ける。


「それで……彼女がそのダンジョンに封印されていたという子かな?」

「は、はい。ゾーラと言います」

「ふむ……その眼鏡、普通の眼鏡ではないな。確か、見たものを石に変えてしまうんだったかな?」

「……はい。私自身が制御できる力ではないのですが……」

「なるほどのぅ……」


 そういうとバーナさんは腕を組んだ。


「誠一君。君は彼女をどうするつもりかな?」

「そうですね……こうして助けたわけですし、彼女さえ望むのなら、一緒に行動を共にしようと思っています」

「だそうじゃが……ゾーラ君はどうしたいのかな?」


 一応、俺たちについてくるということでダンジョンでは話が付いていたが、念のためにもう一度確認した。

 するとゾーラはまっすぐな目でバーナさんを見た。


「……私は誠一さんたちと一緒に行動したいと思います。助けてくれたっていうのもありますが、何より誠一さんたちと一緒にいて楽しいと……短い間ですが、そう実感しました」

「ふむふむ……君がそれでいいのなら、ワシからいうことは特にないよ。この学園の生徒でもいいし、誠一君の助手でもいい。好きに過ごしなさい」

「はい! ありがとうございます!」


 ゾーラは顔を輝かせて頷いた。そんな感情に合わせて、髪の蛇も楽し気に揺れた。


「さて、報告内容は無茶苦茶だったが、とりあえずご苦労様。おかげで危険がなくなってよかったよ」


 ダンジョンから脱出した直後、俺は更地になった森を魔法を使って木を生やしたりしてなるべく元の状態に戻した。

 まあ今は魔物とかいなくなってしまったけど、そのうち生態系も元通りになるだろう。


「誠一君、ゾーラ君。それじゃあ今日はゆっくり過ごしてくれ」

「ありがとうございます」

「はい!」


 俺たちはバーナさんに挨拶を済ませると、学園長室を後にした。


◆◇◆


 誠一たちが去って行ったあと、バーナバスは大きな溜息を吐いた。


「ふぅ……いやはや、この歳になってまだ驚くことがこんなにあるとはのぅ……」


 若干呆れを含んだその言葉とは裏腹に、バーナバスの顔は楽しげだった。


「とはいえ、魔神の復活が近いのか……じゃが、誠一君の話ではこの世界に今は存在しておらぬようだし……先手を取りたいが、どうしても後手に回ってしまうの」


 誠一の報告で魔神が実はダンジョンに封印されていたことを知ったバーナバスは、できれば復活前に【魔神教団】を一掃したかった。

 捕らえることに成功したデミオロスは精神が壊れてしまい、情報を得ることができない。

 精神的に無事なアングレアは、もともと使徒ですらなかったようで、重要な情報は何も知らされていなかったようだ。

 だが、もし仮に【魔神教団】の場所が分かったとしても、一掃するのは厳しかった。

 それはデミオロスのような不気味な能力を使う使徒たちは、圧倒的に情報が足りないのだ。

 それどころか、仮に戦うことができたとしても、被害は少なくないだろうことは予想でき、その結果【魔神教団】の目的である負の感情を集める結果に繋がる危険性もあった。


「はぁ……ままならぬものじゃのぅ……」


 どれだけ考えても今のバーナバスにできることはない。

 しかも、現在のバーナバスには他にもやるべきことがあった。


「……今の学園の雰囲気が少しでも明るくなるとええんじゃが……」


 そう言って手にした資料を眺めるバーナバス。

 彼は前回学園を襲ったデミオロスに不覚をとったために、学園に子供を預けている各国の親に謝罪をして回っていた。

 あの事件のせいで『バーバドル魔法学園』に不信感を抱いた生徒の両親たちは、自分の国に子供たちを呼び戻すところもあれば、バーナバスの必死の説得で様子見してもらっているなど、あまりいい雰囲気ではない。

 『バーバドル魔法学園』は唯一中立である学園なのだ。

 それがどれだけ大きな意味を持つか、バーナバスはよく理解している。

 もちろん学園を維持するために他国から寄付金をもらっているため、完全な中立は難しいにしても、それでも戦争や政治に関係なく生徒たちが国同士明るい未来に手を取り合う可能性が十分あるのだ。

 だからこそ、バーナバスはこの学園を終わらせるわけにはいかなかった。


「吉と出るか凶と出るか……どちらにせよ、生徒たちには一度楽しんでもらわないとのぅ」


 バーナバスの手にした紙には、【学園祭のお知らせ】と書かれているのだった。

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