プロローグ
――あなたはどんな女性になっていくのかしらね。
お母さまは、わたしの未来を楽しみにしていた。
――あら、今は騎士サマと恋をするお話が好きなのね? 母さまが読んであげましょう。ほら、おいで?
お母さまは、ベッドにわたしを読んでたくさんの本を読んでくれた。
――そうして女の子は家族と、ずっとしあわせに暮らしましたとさ。めでたしめでたし。……あなたもこんな風に、しあわせになってくれればうれしいわ。
お母さまは、そう言って夢うつつなわたしの頭を撫でてくれた。
――私たちの可愛いお姫さま。あなたがどんな人と結婚するのかしら。
お母さまは、そう言いながら痛み止めの薬を飲んで眠りについた。
――あなたのドレス、母さまも一緒に選びたかったわ。
お母さまは、そう言って
――いい? 体には気を付けるのよ。
お母さまは、何度もそう言って
――……見たかったわ。あなたの幸せな将来を。
そして、永遠に目覚めることはなくなった。
五歳の時に訪れた永遠の別れ。
泣いて泣いて泣いて、一年ほどかけて現実を受け入れた。
お父さまはまだ立ち直れず、ベッドに臥せる時間が増えてきた。
お母さまもいない。お父さまも臥せっているとなれば、私が立ち上がるしかない。
一年間猛勉強をして、私はお母さまの言っていた「可愛いお姫さま」を卒業した。
可愛いだけのオヒメサマになれなくてごめんなさい、お母様。
主題付けるのヘタクソ芸人です。
よろしくお願いします。




