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モブ令嬢が隣国の皇子の婚約者?〜拳の鉄槌でゴリッと制裁をくだします〜  作者: 白雲八鈴


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第95話 お祖父様を怒らせないでください

「よいぞー? どういう物が欲しい? オリハルコン製の短剣などどうじゃ? 魔法伝導率が良くて使い勝手がよいぞ」

「お……オリハルコン製!」

「ふむ。魔法制御の杖はイーリアには必要ないからのぅ。ああ……魔力回復する杖があるぞ。振り回してメイスのように使うのも良し」

「魔力回復アイテム!」

「良き良き。イーリアが好みそうな物を見繕ってやろうぞ」


 やったー! また私のコレクションが増えそうです。


「それで、お主がイーリアの婚約者か」


 孫に激甘のお祖父様は、一瞬で教会の枢機卿の顔に戻りました。

 もしかして、事前にお祖父様に連絡を入れていたのでしょうか? ちらりとリカルド様を窺い見ます。


「お初にお目にかかります。シリウス・リカルド・ドラギニアと申します。この度は、かの有名なアルベント卿にお会いできて光栄です」


 そう言って深々と頭を下げるリカルド様。

 私はよく知りませんが、お祖父様は有名な方だそうです。

 なんでも、その昔世界中で暴れていた邪竜を討伐した勇者一行の一人だとか。


 私にとっては時々家に来る。孫好きの祖父でしかないのですけどね。


「ドラギニアか、その名をまだ名乗るのか」


 ん? そう言えばドラギニアの悲願とか言っていましたけど、ドラギニアという名には何か意味があるのでしょうか?


「はい。我々の意志を示していますので」

「イーリアはそれを納得したと?」


 また、私が納得するかどうか言われてしまいました。どうしてドラギニアという名と私が関わってくることになるのでしょう?


「いいえ。まだ時期尚早のゆえ」

「はぁ。そうじゃな。貴殿らの望みを叶えるには障害が多いであろう」

「はい。それで今回、お会いしたかったのは、これをお渡ししたかったのです」


 リカルド様は今日ここにきた目的を言いました。そして一通の封筒を差し出したのです。

 招待状でしょうか?


 確かに聖職者である祖父は、貴族との関わりを絶っていますので、貴族の集まりにいくことはないでしょう。


「これは何かね? 私が誰かに(くみ)することはないのだがね」

「その招待状は、アルベント卿にとって孫にあたるイーリアの婚約発表のパーティーの招待状です。孫の婚約の場に祖父であるアルベント卿がいらしてもなんら不思議はないでしょう」

「カッカッカッカッ! 物は言いようであるな。それで我輩を第一王子の陣に引き込もうという算段か!」


 うっ! お祖父様、リカルド様に向けられた殺気が私にも突き刺さってきますわ。


 それからリカルド様。お祖父様はあの父を育てた方です。

 甘く見ていては殺されてしまいますわよ。


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