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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十四章 空が落ちる日
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宝箱の質

《なるほど。

 宝箱にも変化があるのか……。

 本格的な迷宮の入り口が100階層になるのは間違いないようだね》


「はい。

 俺たちが見たのは緑までですが、恐らくは迷宮を進めば金まで出ると思います。

 明らかな変化が見て取れる淡く光る宝箱(・・・・・・)ですが、そのどれもがとても質のいいアイテムが入っていました」


 その存在を見たのは20階層、100階のさらに奥という意味では120階層とも言えなくはないが、難易度があまりにも違う場所だけに別の迷宮じゃないかとも、俺には思えてならない。

 そもそも階層の表記なんて存在しないし、意図的に道を示すようなものの類も見当たらなかった。


 しかし同時に、誰かが創らなければ(・・・・・・・・・)迷宮なんて存在しないんだ。


 そこから見出されるものはひとつになるが、それを言葉にすることは憚られた。

 ……正直、その存在を俺自身が信じたくないと強く感じるのが本音だろうな。


 だが迷宮内に置かれた宝箱の質が上がるのはいいことだ。

 それだけじゃなく、ボス討伐報酬としてもかなりの変化が見られたことから、やはり別の迷宮と繋がっていたんじゃないだろうか、という考えに戻ってしまうが。


「主観を含む個人的な意見になりますが、相当すごいと思える効果を持つ武具も手に入りましたので、売却は一切せずに自重するべきだと判断しています」

「迷宮を深く潜ることすら不可能だと思えるんすからヴァイスっちが保管してくれるなら安全っすけど、そんなすごい武具が出たんすか?」

「興味本位で留めてくれるのなら軽く話すが……」


 大丈夫だろうかと若干思ってしまうが、満面の笑みでこくこくと首を縦に振る彼女を見ていると、大きな問題にはならないだろうなと感じた。


 彼女をもってしても俺たちが辿り着いた場所に単独で向かうのは不可能だし、たとえ彼女並みの強さを持つ戦闘のプロを10人集めても短期間での攻略は難しいだろう。


 実力での探索を目指すのなら、俺たちが口を出すべきじゃない。

 迷宮ってのは本来、誰にでも挑戦権があるし、そこで入手した報酬も手に取った者が所持するべきだ。


 何よりもそこまで到達した者が、目先の利益を優先するためにアイテムを売ることは考えにくい。

 それほどの強さを手にした武芸者が高々金銭欲に釣られるほど困っていないはずだし、それくらいは冒険者で適当に強めの魔物を倒していれば楽に稼げるからな。


 正直、世界を揺るがしかねないアイテムも手に入っている。

 その使い方次第で莫大な富も権力も思うがままだと思えるほどのアイテムが。


 これはさすがに報告などできない。

 この世界でも数個と言われ、多くても十数個しか存在しないだろう最高峰のアイテムが持つ存在とその価値は、間違いなく世界を悪い方向へ導いてしまうと俺は思っている。


 こんなもの(・・・・・)、いったい何に使うのかですら分からない。

 用途も不明なら、なぜこんなものが存在するのかも俺たちは答えが出なかった。


 アーティファクト。

 この世界の神が創りたもうた人智を超えるほどの性能を持つアイテムの総称だ。

 俺の世界では人工物や工芸品なんかをそう呼ぶらしいが、この世界では違う。


 噂によると、凄まじい雷を生み出す杖があると聞く。

 だが実際にはユニーク品でもそういった効果が出せるかもしれない。

 どれほどの威力があるのかも定かではないし、噂は誇張されやすいからな。


 しかし俺たちが手に入れたものは、使いどころに困るアイテムだ。

 使用すれば人を辞めることになる(・・・・・・・・・・)のは間違いないだろうな。

 そんな凄まじいアイテムはインベントリから出さないほうがいいとも思えた。


 ……本当にこんなもの、いったい何に使えってんだよ……。

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