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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十二章 静と動
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高ぶっているから

 11階層に出ると、わずかに空気が変わったような気配を感じた。

 どうやら子供たちもそれをしっかりと感じ取っているみたいだ。


 気配察知の修練時間が短いリーゼルはよく分かっていないようだが、そう遠くないうちに彼女も気付くようになるだろう。


 ゲートを出てから約200メートル先に、ゴブリンが1匹いるようだな。

 しかし、これまで出続けたしょぼくれる魔物とは違い、町の外にいる連中と変わらないものに思えた。


「ここからが本番、ってことだな」

「そうみたいだけど、落ち着いて戦えば大丈夫!」

「うんっ」

「アタシも頑張るぞー!」


 気合を入れ直す子供たちは次々と遭遇する敵を蹴散らしていく。

 町の外にいるゴブリンと同じ強さだろうと、それ以上でも以下でもない。

 ここで足を止めてしまう子たちなら、もっと時間をかけて下地を作っていた。


 相手を圧倒しても、自惚れたり油断したりしない3人だ。

 安心して任せられる俺たちは、周囲警戒を続けながら子供たちを見守った。



 ……どうやらこの階層には冒険者が1チームいるみたいだが、位置的には左壁の遥か向こう270メートルは離れているようだ。


 フロアの構造次第では繋がっている可能性もある。

 面倒事はごめんだから、できるだけ出逢わないように祈りたいところだな。


 思えば気配察知や魔力感知ではダンジョンの構造を把握することはできない。

 そういったマップ効果のあるアイテム、正確には踏破するだけでマッピングされるような魔導具があればありがたいんだが、そんな便利アイテムがあるとは聞いていない。

 存在すらしていない可能性も考えられるが、もしあっても初心者に情報を伝える必要がないくらいの下層で入手するってことになるな。


 徐々に分かれ道も増えてきているし、正確なマップがあれば気配察知と合わせてかなりの情報量になるから、より安全に迷宮を探索できるんだが……。


「おし!

 今度も安全に倒せたね!」

「ぶらんしぇ、とってもたのしそう」

「なんだか体がすごく軽いんだー!」

「あ、なんか分かるかも、それ」


 楽しげに話をしているが、恐らくは気持ちが高ぶっているからだろう。

 これまでしょぼくれた魔物が続いていたし、爽快感が増しているんだな。

 妙なハイになってるわけじゃないから問題ないとは思うが、これ以上気持ちが高まると相応の危険が伴うから注意が必要になるな。


 子供たちを少し休ませたいと思うが、意欲を削ぐことにもなりかねない。

 ましてやここは10階層から出てそれほど進んでもいない場所だ。

 通路で座り込んでると変な目で見られそうだな。


 今は様子を見つつ、わずかな疲労を感じれば止めればいいか。


「よーし、次いこっか!」

「うんっ」

「おー!」


 これは初ダンジョンってことも関係してそうだな。

 疲労を感じていないだけで、キャパを超えると一気に噴き出すだろう。


 子供たちの体調に十分注意しながら、俺たちは先に進んだ。

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