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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十二章 静と動
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強さに差が

 やはり2階層も1階層とそれほど差を感じなかった。


 しいて言えば、迷宮内部の構造がより曲がりくねった道が続く程度だ。

 そのうち分かれ道も増えていき、徐々に難易度が上がっていくんだろう。


 魔物の数も変わらず、所持している武器の状態だけがわずかに良くなってるようだが、それでもぼろぼろの棍棒を右手に握ってるとしか俺には見えなかった。

 あんな粗末なもので殴れば武器が壊れるだけだとも思えるが、実際に壊れることはないのかもしれない。


 そもそも魔物を倒すと武器も一緒に消えてしまう。

 ということは、1セットとして扱われているんだろうか。

 敵から武器を入手させないための仕様だと思われるが、そういった点が気になってしまうのも俺の悪い癖のひとつか。


 動きに変化もない以上、その程度の強さでこの子たちを止めることはできない。

 今は気配察知も子供たちに任せるため、俺は敵の位置を言葉にしなくなった。

 それでも、120メートルほどまで確認できるようになっているので、索敵範囲にかかると意識を戦闘用に切り替える3人を頼もしく見守る俺たちだった。


 気持ちの引き締め方が随分と上手になっているし、戦闘でも気を抜いたり自惚れたりする様子は見られないから、問題なく敵を倒して進めるだろう。


 これまでの旅で遭遇してきた魔物との経験が活きている。

 やはり馬車を使わずに町を目指したのは正解だったな。


 自らの足で進み、敵を視界に捉え、仲間と力を合わせて倒し、町を目指す。

 たったこれだけのことでも強さに差が出ているんじゃないだろうか。

 馬車での移動が悪いわけではないが、安全に進めることは必ずしもいいことだけとは限らない、とも言えるように思えてきた。


 ……もしかしてこういったところにも、この世界の住人の弱さが出ているのかもしれない。

 すべてはレベルやステータスなんて曖昧なものに気を取られすぎているせいだとも思えるが、スキルだけは特質的な力として体現させてしまうから、強力なスキルを手にしただけで強くなったと勘違いするようなやつが出てくるんだな。


 本音を言えば、俺にはまったく理解できそうにない価値観だ。

 スキルとは武器程度のもので、どう扱うかでその効果を激変させられる。

 単純に使っているだけでは強くなれないことに、気付かない者が多いんだろう。


 扱うのか、それとも使われるのか。

 闇雲に使用するだけの連中に、今の子供たちが負けることはない。



 3階層も特に変化が見られず、終盤辺りでゴブリンが2匹から3匹に増えただけだったが、これはこれで初心者には多少厳しく思えるかもしれない。

 だが、しっかりと技術の下地ができていれば、まったく問題ないだろう。


 鈍重な攻撃をガードするような戦い方をしているなら、そう遠くないうちに壁が立ち塞がることになるが、こんな連中を相手に盾で防御している冒険者がいたら、鍛え直したほうがいいと俺は即答するだろうな。



 4階層にきて、少々変化が見られたが、みんなは気がついてなさそうだな。

 まぁ、本当に微々たるものだし、知ったところで技術向上には役立たないが。


 相変わらずボロい棍棒を力任せに振り回すだけのゴブリンども。

 ここに、"魔物とはこういうものだ"と認識させる危険性を感じたが、うちの子たちには当てはまらない。


 これまで真面目に修練を続けてきた子供たちが、こんな程度の低い連中に負けることは絶対にないし、力量差から相手を見くびることもない以上、安心して戦闘を任せられた。

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