表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十二章 静と動
409/700

長いようで短い

 しかし、ここで興味深い話を聞いた。

 最初にボスを攻略した者たちに、特別な報酬箱がひとつ追加されるそうだ。


 希少なアイテムが確定して出ると思えるほどのドロップ率らしく、これを目当てに先へ進もうとする者が集まっているのが、別名"攻略組"とも呼ばれている凄腕冒険者チームなのだと彼女は話した。


「階層に出現する魔物によって再編成をしながら攻略を目指しているのですが、そのうち4名はランクS冒険者で結成されたチームで、数名のサポート要員を毎回募集されているんです。

 "迷宮ギルド"名物とも言えるあちらに置かれた掲示板に、パーティーメンバー募集の張り紙がよく貼り出されています。

 ちなみにですが、アイテム募集の張り紙は薄い緑色の紙で、パーティーメンバー募集は薄い青色、中にはボスが倒せないのでお手伝いを、なんて依頼書も貼り出されています。

 そちらは薄い赤色の紙で書かれていますので、他のギルドよりも色とりどりに見えるかもしれませんね」


 どうやら攻略をメインに活動している冒険者チームは、階層の調査をするとこの拠点フロアに戻り、新たなサポートメンバーを募集するそうだ。


 リーダー格の男は実力者を見つけるとスカウトをしてパーティーに入れようとするらしいが、実力が見合えばそのまま攻略組として行動を共にしている感じか。

 他のランクSである3名も一人ずつ引き抜いていったみたいだが、中にはAも2名いるそうで、ランクを限定して募集しているわけではないみたいだな。

 基本パーティー6名に、サポート2~3名加えた編成を常に組んでいるようだ。


 ただし、性格に難ありと判断されると加入は難しい。

 話に聞いた彼らの人物像は宝物目当てというよりも、その先に何があるのかを探しているような印象を強く受ける。


 彼らは金銭では手に入らない"何か"を探して前に進んでいるのかもしれないな。



 これだけ聞けば好印象に思えるが、リーダーの男は見込みのある者や潜在能力を感じさせる者を鍛え上げて仲間にしていることもあるらしい。


 ということは、俺たちが遭遇してしまうと面倒事になりかねない。

 リーゼルを含め、間違いなく一般的とは言えない強さを持つ俺たちは、そいつとだけは遭わないようにしたほうがいい気がしてきた。


 暗殺者に狙われているからと断れば真顔で助けようとするタイプにも思えるし、本音を言えばこれ以上の厄介事は手に負えない。


 まさか、迷宮でも頭を抱えそうな問題に発展したりはしないだろうな……。

 そんな予感をひしひしと感じながら、俺は迷宮の情報を学ぼうと女性の話に耳を傾けた。



 ランクSが4人もいるだけではなく、サポートメンバーを含めて分隊規模のパーティーを組まなければ攻略できない点を考慮すると、さすがに80階層まで行くのは難しそうだな。

 それには俺たちもさらに強くならないといけないし、時間的余裕もないだろう。


 まずは俺たちにできることから始め、技術を高めると同時進行で魔力による身体能力強化を長時間継続したままの戦闘が可能となるように修練をしよう。


 ひと月は長いようで短い。

 あっという間と言えるかもしれない。

 だが、その短い期間にもできることはたくさんある。


 そのひとつが、技術の研鑽と力の使い方だ。

 これに関してはまだ教えていないが、俺の使っている"力"と"集"を学んでもらい、緊急時でも発動できるようになれば安全性の向上は十分と言えるだろう。


 もちろんこれは、ひと月という短い期間でもできること、という制限がつくが。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ