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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第十二章 静と動
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相当の修練が必要だ

 しかし、そう単純な魔法ではないこともしっかりと理解できた。

 みんなはまだ気付いていないみたいだから、説明する必要があるか。


「だが、実際にこの力を戦闘で使うとなると、話はまったく違ってくる。

 これは扱いが非常に難しく、強化状態を維持するためには相当の修練が必要だ。

 それも極端に動き回る戦闘での使用はさらに難しい。

 強化に必要な魔力の供給も途切れさせてはいけないし、敵を見据えながらの行動ともなれば、それなりの技術が必要になるだろうな。

 ましてや戦闘中に現在のMPを確認するのも難しい以上、継続時間を見極めなければ長時間使うことは危険だと言える」


 冷静に分析している俺の耳に、リーゼルの声が優しく届いた。

 好意的に思える視線を送られているようにも思えるが、それよりも強化魔法を子供たちが効率良く使いこなす方法を探ることに意識を向けながら俺は耳を傾けた。


「本当に凄いですね、トーヤさんは。

 たった一度使っただけで、そこに気付くなんて。

 おおよそトーヤさんの言葉通りになります。

 力加減を間違えると爆発的な威力にまで跳ね上がってしまうこともありますが、何よりもこの技術は戦闘での状態維持がとても難しく、少しでも気を緩めると解除されてしまうんです」


 どうやら込めた魔力量によって消費も変わるようだ。

 つまりエルルのように後衛魔術師としては、状況に合わせて使いこなせなければすぐにMPが空っぽになる大きなデメリットも含まれている。


 体得と修練に時間がかかり、力加減も難しく、下手をすれば自身だけでなく仲間すらも危険な状況に追い込みかねない欠点が際立って感じられる。

 世界で強化魔法が一般的に使われていないのも頷ける。


 ……まぁ、一朝一夕で強くなれる方法なんて、あるわけもないんだが。


 もし仮にあったとしても、技術を持たないんじゃ意味がない。

 強い武器も、強堅な防具も、飛び抜けた身体能力から繰り出される技すらも、技術がなければ振り回されて使いこなすことはできない。

 もしそれが適ったとしても、それはただ"使っているだけ"にすぎない。

 そういった勘違いにすら気付かずにいる連中と敵対しても倒せるだけの技術を、いずれは子供たちも手にすることは確実だ。


 新しいおもちゃを手にして喜ぶだけのガキに、うちの子たちは負けたりしない。


 それには日々の鍛錬を継続する必要があるんだが、冒険者稼業で生計を立てている者には修練に割く時間なんてないと思われていそうだな。


 本当はむしろ逆のはずだ。

 命をかける冒険者だからこそ修練に時間をかけるのは必須なんだが、残念ながらそういった価値観もこの世界の住人には持ち合わせていないのかもしれないな。


 冒険者に限らず戦う者はすべからく訓練に励むべきだし、少なくとも努力をしている人はその結果が目に見えて現れている。

 それこそがランクAや、その上のSに向かうための第一歩になるはずだとも思えるんだが、こういった考えも一般的な思考ではあまりされないんだろう。


 とはいえ、俺も目立つ行動は避けて静かに旅を続けたいと思ってるし、みんなにも言えることだが俺たちは力を振りかざすつもりは毛頭ない。

 この先に待ち構えている一件で有名にならないように気をつけるべきだな。

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