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空人は気ままに世界を歩む  作者: しんた
第九章 空に掲げた手
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大きな町というよりも

 ブロスフェルト。

 西にある浅い森を越えるとフェルザーの湖があるが、東と北、そして南に構える都市のちょうど中間地点となる場所に位置する大きな町だ。


 建造物や街道など、この国ならではの美しさを持つが、デルプフェルトやバルヒェットとは違い他の町との交易が盛んに行われるこのブロスフェルトは、町内の東西南北を市営バスのように馬車が循環する。

 料金もかなり格安に設定され、多くの住民の交通手段となっているそうだ。


 居住、工業、商業地域からなるその仕組みは、大きな町というよりも都市として機能しているようにも思える。

 当然、各ギルドが設置され、人々はそれぞれ自分に合った依頼を受けられる。

 先に訪れたふたつの町とは違い商業の中心となる中央部には、この町を預かる者たちが管理運営する事務局が置かれていたり、この町の憲兵を統括する本部があるらしい。


 こういった町の治安は非常に良く、荒くれ者こそいれど、それほど大きな問題にまでは発展しないと学んだ。

 地球じゃむしろその逆で、大きな町ほど管理が難しくなるもんだと俺は思っているが、どうやらこの世界はやはり意識そのものが随分と異なるのかもしれないな。


 総人口、およそ80万人。

 この町から送られる交易品のほとんどは、デルプフェルトやバルヒェットのような町ではなく都市へと最短で向かえる街道を通るため、隊商を組むような交易団、いわゆるキャラバンとこれまで出逢っていない。

 中には道中で商品を売る商人も多く通るため、修練目的で子供を連れ歩こうなんて考える俺としては隊商と出会わなくて良かったとも思えるが。


 交易経路は平原が続く道を通ることが多い。

 こういった見通しのいい街道で盗賊に遭遇するのは稀だ。

 安全に別の町へ向かえるため、乗合馬車も並列することが非常に多いらしい。



 この眼前にあるギルドも正しくはギルド会館本部とこの町では呼び、建物の大きさもこれまで利用したギルドの3倍はあろうかというほど立派なものだった。

 なんでもこういった大きな町では、ギルドを東西南北に置くことも多いようで、中央まで戻って報告しないといけないような造りにはなっていないんだろうな。

 確か依頼達成もそれぞれの支部に提出して翌日報酬を受け取るとか、そんな感じのシステムになっていると聞いた。


 外観と同じく、館内もかなり広いようだ。

 右の壁側に掲示板、正面にカウンター、それ以外はレストラン風になっているのは変わらずだが、建物の大きさに比例した非常に賑やかな活気に満ち溢れていた。


 呆気に取られるように目を丸くするエルルとフラヴィ。

 そんなふたりと同じように俺も驚いているが、それを表情には出さずに視線だけをそちらに向ける。


 ブランシェは小腹が落ち着いたんだろう。

 とても満足そうにお腹をさすっていた。

 相変わらずマイペースな子のようだ。


 受付カウンターも倍の数、左側には素材買取専門カウンターが設けられ、とても似ている構造でありながら随分と違う印象を強く受ける。

 現在は昼時ということもあり、一般人だけじゃなく冒険者の多くも食事を楽しげに味わっているようだ。

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