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俺の従兄弟は俺です  作者: 氷瀬 豊
一章 ~一学期~
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ここ…………どこ……?

校門を通ってすぐ、紗弥は恵と入れ替わった。


「ここ…………どこ……?」


「学校だよ。寝ぼけてないでシャキッとしろ」


「…………ホームルームは?」


「あと十五分で始まる」


「えっ!…………って、なんでお兄ちゃんがここに?」


本当に寝てたんだな。

なにも知らないらしい。


「ここは校門だぞ?」


「あっ、ほんとだ。…………いやそれより、なんでまだホームルームじゃないの!」


「実はな…………あいつ、お前の下駄箱の場所知らないからお前起こすって言って……」


「お兄ちゃんが場所教えれば……」


「いや言おうとしたんだけどな……」


「先に行っちゃったんだ」


「あぁ。ごめんな恵」


「お兄ちゃんが謝ることじゃないよ。もとはといえば、私が場所言わなかったからなんだし」


「そうか」


「そうだよ。それより早くいこ」


「そうだな。突っ立ってても仕方ねぇからな」


俺達は校舎へ入っていった。










俺達は最後の授業を受けていた。

科目は英語だ。


「Repeat after me.」


先生がなにか言っている。

それにしても眠い。

真面目に受けなければならないとは思っている。

が、睡魔が襲ってきてついつい寝てしまう。

そして先生は基本的に寝ているやつは起こさない。

テストのときには後悔するぞ、と言うだけ。

…………やばい……だんだん意識が…………。

俺はそのまま寝てしまった。








「いてぇ……」

俺が起こされたのは、授業が終わったときだった。

頭に少し痛みを感じながら起きた。

川上が叩いたのかもしれない。


「やっと起きた」


「叩いただろ?」


「勿論! そうでもしないと起きないしね」


「そうですか……」


俺は時計を見た。

そろそろ帰る準備をしとかないと。








「ただいまー」


「お帰りなさい。母さんちょっと出掛けるけど、遅くなると思うから、晩御飯食べといて」


「ん、分かった。行ってらっしゃい」


母さんがどこに行くかは、大体わかっていた。

ジムだろう。

母さんは体を動かすのが好きで、たまにジムに行っている。

それにしても晩飯作ってあるのか?

俺は台所にむかった。




冷蔵庫を開けてみる、がなにもない。


「輝、これ」


紗弥がそう言って、俺に紙と千円札を渡してきた。

紙を見ると、「晩御飯これで何とかしてね」と、かかれている。

千円で足りるわけない。

兄貴が一人で千円以上食べるからだ。


「仕方ない、なんか作るか」


とりあえずカレーかな。

一番手間がないし。

俺はカレーを作るために冷蔵庫を漁り始めた。

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