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気を付けろよ
俺は手を冷やしていた。
さっきの痛みが引くまでは、こうしているつもりだ。
「で、さっきのはなんだったんだ?」
「紗弥が階段を踏み外して落ちてきた。その時俺が下にいた。それだけ」
「そういうことか。…………俺がしたにいるときに、落ちてくればよかったのになー」
兄貴が、俺を羨ましそうに見てくる。
俺は手を痛めたんだぞ?
その事を考えると、腹が立つ。
それに比べて恵は、
「お兄ちゃん、手、大丈夫? 何かあったらいってね」
優しい。
眠そうだけど。
紗弥は申し訳なさそうな顔をして、こちらを見ている。
「もう痛みも引いたし、大丈夫だからそんな顔すんなよ。でも、これからは気を付けろよ」
「うん!」
俺がそういうと紗弥は元気よく答えた。
本当はまだ手、痛いんだけどね。
まぁ大分ましになったけど。
「いってきまーす」
「いってらっしゃい」
俺たち3人は学校にむかった。




