二度と言わないから!
その後はなにも話さずに家に帰った。
「ただいまー」
「おかえり~♪」
恵がリビングから出てきて抱きつこうとしたので、
さっとよける。そのまま恵は紗弥に抱きつく。
何か最近恵が進化してるような気がする……
「あっ、お姉ちゃんごめん!!」
慌てて恵は紗弥から離れた。
「別にいいよ。なんか抵抗感が余りなかったのは、気になるけど」
「それより母さんは?」
「出掛けたみたい」
「兄貴は? もう帰ってきてもいいだろう?」
「帰ってきてないよ。どうせならもう帰ってこなくていい」
「酷いよ…………そこまで言わなくも……」
「「えっ」」
玄関に兄貴がいた。
いつ帰ってきたんだ?
いやそれより、今の話聞いてたのか?
「じょ、冗談だよ。そ、そんなこと思ってないよ。本当にそんなこと思うわけ……」
慌てて恵は言った。
「じゃあ、お兄ちゃん大好き♪っていってくれたら信じる!」
「何でそうなるの!?」
「お詫びだよ……あんなこと言われて俺の心は…………」
絶対嘘だな。
笑顔だし……まさかわざと言ったのか?
こうなることを予想して?
兄貴、そんなに頭の回転速かったっけ?
テストは、ギリギリ追試は免れる点数ばかり。
ん?まさか……
「兄貴、テストってどうしてる?」
「えーっと、必要なところだけかいて後は寝てる! 追試は受けたくないからな」
なんてやつだ。
宝の持ち腐れとはこの事か。
勉強できるのにしないなんて。
まぁいいか。
「それよりもいってくれるよな?」
「他にしてほしいこととかないの?」
「今日は一緒に寝るとか?」
「お兄ちゃん大好き!これでいい?」
「不意打ちとは卑怯な。ちゃんと聞けなかった…………」
「二度と言わないから!」
そう言って恵はリビングに戻っていった。
題名が恵のセリフってはじめてです。
明日も更新するので宜しくです。




