宜しくお願いします!
「それにしても輝弥、あの娘結構可愛いな」
弘喜がいった。
確かに、可愛い。
無茶苦茶可愛い、と言うほどでもないが。
「やめとけ。あいつ男と付き合おうなんて、全く思ってないだろうから」
「なんだって!?まさか…………」
「だからと言って、女子に興味がある訳でもない…………と思う」
もとが男だからな。
もしかして…………。
まぁいいか。
ホームルームのチャイムが鳴り、山谷が入ってきた。
「お前ら席につけ」
入ってくるなり、山谷が言った。
「早速だが、今日は転校生が来てる。入ってきていいぞ」
紗弥が教室に入ってきた。
「自己紹介をしてくれ」
「はい。奥多 紗弥といいます。皆さん宜しくお願いします。あいつとは、一応従兄弟の関係です」
紗弥が俺を指差してそう言った。
「とりあえず君の席は、その奥多君の横だから」
「はい」
そう言って紗弥が横の席に座った。
「宜しくね、奥多さん」
紗弥の後ろの席の川上 優夏が言った。
川上とは、弘喜と同じ幼なじみだ。
「こちらこそ宜しく、川上さん」
すると、川上が驚いたようだった。
「えっ……何で私の名前知ってるの?」
「えーっと、それは…………名札をみたんだよ!」
名札は、髪に隠れて見えてないが、川上は気づかなかったので、
「あぁそっか」
と言って納得した。
なにやってんだ。
心のなかで俺はそう呟いた。
ホームルームはそれで終わった。
そのあとは入学式が行われて、下校となった。




