一年後には…………
そこは白の世界。
他にはなにもない。
(ここは何処なんだ?)
突然目の前に紗弥が現れ、
「はじめまして、貴方が奥多 輝弥君だね?」
と言ったので 、
(はじめまして?何言ってるんだお前?)
と言おうとしたが、声がでない。
「声がでないのは、初めだけだから心配しなくても大丈夫。あと私は、貴方が知っている紗弥じゃないから」
(こいつ俺の考えてることを…………いや、それより今のはどういう意味なんだ?)
「早い話が、あの娘の体は私の体なの。同じ顔でしょ?」
「確かに……あっ、しゃべれる」
「で、もう一つ言うと貴方は違う世界の私」
「だから?」
それが今の話と、なんの関係があるのかわからない。
「つまり、私の体だけ貴方達の世界に飛ばされたみたいなの。まぁこっちの世界じゃよくある話なんだけど…………今回の場合は異例でね」
「異例?」
「そう、異例。普通、別世界に飛ばされた場合、すぐに体が戻ってくるはずなんだけど、私たちの家系だけ、たまに性別が逆の世界になっちゃうの。そうなると体はすぐに戻ってこない、ってわけ」
そうなのか……って
「それじゃあ先祖が変わったりしねえのか?」
「えっ……そんなこと気にしてなかったら…………」
知らないのか。
「で、君の体はいつ戻るの?」
「一年ぐらいで戻ってくるはずなんだけど…………」
「おい、もしかしてあいつ一年後に消えるのか?」
「うん……そろそろ時間だからまた今度」
「ちょっと待…………」
そういいかけたところで、俺は目を覚ました。




