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口調を…………1
あの後も話は続いた。
「紗弥、あなた女の子なんだから、その口調はやめなさい」
「それ、私も思ってた」
そう言って恵がリビングにきた。
「一番これが喋りやすいんだけど…………」
「駄目よ! あなたは今女の子で輝弥じゃないの! ちゃんと女の子っぽくしゃべりなさい!」
「そうだよ!」
と、恵もいう。
「助けて……」
そう言って俺の方に視線を向けてくる。
そういわれてもなあ……
こいつが嫌がるのも無理はない。
だって男だったんだしな。
でも、
「俺は母さんに賛成だ」
このままだと学校で普段の口調にいつ戻るかわからないし、それに俺から言えば嫌でも直すだろう。
だが、それは俺の思い過ごしだった。
「どうしたんだ?」
兄貴がリビングにきた。




