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名前は……
あのあとすぐ、恵たちは降りてきた。
女の俺は勿論ワンピースを着て。
「サイズは大丈夫そうね」
「あぁ……」
「どうしたの?」
「いや、別に……」
この言い方、この感じ…………
こいつ絶対、心折れてる!
「大丈夫か?」
「いや、精神が……」
やっぱり折れてるな。
そういえば、
「名前は?」
先にこれは決めとかないと。
今から外行くしね。
「紗弥」
「さや?」
「あぁ、こういう字だ」
そういうと紙に『紗弥』と書いた。
「輝弥の弥は残そうと思ってな」
「さすが親父!」
女の俺、紗弥は嬉しそうにいった。
さっきのことがあったのでそういう気遣いが余計に嬉しいのだろう。
「じゃあ行くか」
「ちょっと待った!」
「どうしたの、紗弥」
「靴どうすんの?」
「あっ…………」
完全に忘れてた。
どうする?
「それなら私の貸してあげるよ」
「サイズは……」
「大丈夫だと思うよ♪」
「それじゃ、遠慮なく」
そういうことで靴の問題は解決した。
そして、外に出た。




