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異世界アドバイザーと歩む、辺境もふもふスローライフ~神様から頂いたスキルは何でも入る無限の箱でした  作者: 秋月静流


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他者視点~クロエSIDE~


 この娘はいったい何者なのだろうか?

 わたし、ミズハ・クロエは自問自答する。

 依頼受注用カウンターの椅子に座っているのは15歳前後の黒髪の少女。

 ユウナというこの娘に、傍から見て特に何か問題がある訳ではない。

 好奇心旺盛に揺れ動く漆黒の双眸。

 あどけなさを主張する小さな唇。

 アーモンドのような曲線を描く、幼くも可愛らしい顔立ち。

 小柄ながらもいかにも善良そうな感じは見る者に庇護欲を駆り立てるだろう。

 シンプルで動きやすい白いワンピースに黒のレギンス姿も拍車を掛けている。

 好きか嫌いかでいえば……

 勿論、わたしは彼女のことを好ましく思う。

 年端も行かない娘が未熟とはいえ懸命に頑張っている。

 となれば、可能な限り応援したくなるのが人情というもの。

 だというのに――

 わたしはこの少女が時折、空恐ろしく感じる時があるのだ。

 きっとそれは先程の垣間見たこの娘のステータスにも関係している。

 ギルド内でも重役、もしくは高レベル冒険者にのみ確認できる隠し項目。

 一番下、冒険者証に乗らぬ箇所に記載されたそこにはこう書かれていた。


 加護:運命神(旧神:フォルトゥナ) 

    思念情報体(天使:ゾピエル)


 ――と。

 一般的に加護と呼ばれるもの。

 それはハイレベルな位階存在による様々な恩寵の総称である。

 簡素なものは身体能力の向上から高度なものなら特殊能力取得まで実に幅広い。

 何より加護持ちは超越者の寵愛を受けている、いわば意志の代行者だ。

 故にギルドでは加護持ちを優先的に支援するよう秘密裏に伝達されている。

 うっかり超越者の機嫌を損ねたらどんな災厄を招くか分からないから。

 だが……違う。

 この娘の異質さはおそらくそんなものではない。

 優秀な姉と違い、既に冒険者を引退した身とはいえ――

 Aランクまで上り詰めた生存本能が囁くのだ……この娘はヤバい、と。

 得体の知れない何かを抱えている気がする。

 しかし初めて風呂場で邂逅した際に戦慄と共に直感した。

 されど自分はこの娘を支える定めにある、とも。

 残念ながらこの勘は外れた試しがない。

 思考しながらも解説するわたしの何気ない言葉に驚き目を丸くするユウナ。

 一挙手一動、全ての立ち振る舞いが嬉しくてしょうがないという感じ。

 ……ああ、懐かしい。

 わたしにもかつてそんな時期があったな。

 取り合えず難しい事を考えるのは止めるとしよう。

 今は新しい冒険者の旅立ちの時であるのだから。

 ならば――わたしは自分に出来る事をこの娘にしてあげよう。

 懇切丁寧に依頼に関する受注の仕方や、お勧めする初依頼【薬草採取】に関する採取方法をレクチャーしながらも……そう考える自分が嫌いではなかった。





 今回は番外編になります。

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