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帝国の人質として連れて来られた王女は、敵国の皇太子によって聖女の力に目覚める  作者: 清川和泉
第1部 不遇な人質王女

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第32話 ガーデンパーティー

ご覧いただき、ありがとうございます。

 そして婚約式が終わると、一同は中庭へと移った。


「皇太子殿下、クレア様、本日はご婚約、誠におめでとうございます」


 裾がヒラヒラとしたベージュのマーメイドドレスを着用した公女イリスが、深々と辞儀をした後に朗らかな笑顔で二人に挨拶をした。


 とはいえ、アーサーとイリスはお互いに想いあっているはずだ。

 いくらイリスの婚約が破棄されるのを待っている状態とはいえ、クレアはイリスにとってはあまり好意的に接する存在ではないのではないだろうか。


 そう思って、おそるおそる二人の表情をチラリと確認してみると、二人ともとても穏やかな表情をしていた。

 そもそも、クレアなど障害とも思っていないのではないだろうか。


(大体、私は期間限定の仮初めの婚約者だし、障害にもなっていないのね)


 クレアは内心で小さく苦笑したが、同時に胸がズキリと痛んだ。


(この感覚は何……)


 胸の上でギュッと手のひらを握り締めると、隣に立つアーサーが声を掛けた。


「大丈夫か?」

「……はい、問題ありません」


 咄嗟に笑顔で答えたが、我ながら多少ぎこちのない笑顔になってしまったと思った。


「クレア様のお召し物、とても素敵ですわね。思わずウットリと見惚れてしまいますわ」

「ありがとうございます、イリス様」


 クレアは日常的に褒められ慣れていないので、一瞬受け答えに戸惑ったが、それでも嬉しさが勝り食い気味で答えていた。

 そのためかイリスは目をパチクリと瞬かせているが、すぐにまるで周囲に花が咲き乱れているかのような眩しい笑顔を向けた。


「クレア様はとても可愛らしいお方ですのね。皇太子殿下、今度よろしければクレア様と過ごしたいので、彼女をお借りできませんでしょうか」


 思ってもみなかった多少物騒な提案に、クレアは何と反応していいのかと思いながら、小さくアーサーの方を見やると、そこには明らかに仏頂面をした彼がいた。


「断る。彼女はものではない」

「あら、ごめんあそばせ。あくまでも言葉のあやですわ。まあ、殿下を通さなくてもお茶会の招待状は送れますわよね。まさか、一皇太子であるあなた様がわたくしの招待状を握り潰すわけがないと思いますし」


 扇子を口元に当てながら次から次へと言葉を紡ぐイリスに、クレアは唖然としていた。

 高位貴族の令嬢とは、皆一様にこのようであるのだろうか。


「もしそのような機会があれば、警護は万全とさせて彼女を送り出す。護衛は一時も彼女から離れることはないだろう」

「あら、我が家の警護も優秀ですのに」


 イリスは扇子をパチンと仕舞うと、改めてクレアに向かってカーテシーをした。


「それでは、この辺りでわたくしは失礼させていただきますね。クレア様、またいずれ」

「はい。本日はお越しいただき、誠にありがとうございました」


 そう言ってクレアも辞儀をし隣をチラリと見やる。すると、アーサーは眼光鋭くイリスを眺めていたが、小さく頷いたようにも見えた。

 すると、イリスは真っ直ぐとトスカの元へと向かった。


「トスカ皇女様。クレア様がお召しのドレス、とてもお似合いですわよね。それに……」


 そうイリスの言葉が聞こえたかと思ったら、急に逆上してきたトスカがこちらに向かって来た。


「あんたが着ているドレスは、切り裂かれたはずなのに‼︎」


 トスカが物凄い剣幕で捲し立ててきたが、クレアは以前のように怯まなかったのだった。

お読みいただき、ありがとうございました。


公女イリスは当初「クラリス」という名前でしたがクレアと被ると思い「イリス」に変更しました。

なので、時折間違えているかもしれません…^^;

以前も何度か誤字報告をいただいております。本当にありがとうございます!


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