かまぼこの駅
学生時代、長距離通学をしていた。
毎日乗る電車で、いつも通るとある駅。
その駅に止まると、かまぼこのにおいがするのである。
空いている電車に乗ってもかまぼこ。
混んでる電車に乗ってもかまぼこ。
朝一番の電車に乗ってもかまぼこ。
終電に乗ってもかまぼこ。
どうにもこうにも、かまぼこなのだった。
近くを見ても、かまぼこの影もない。
不思議な不思議な、駅。
最後にかまぼこのにおいを感じたのがいつだったか思い出せないくらい時が過ぎ、久しぶりに電車に乗った。
まさかの、かまぼこのにおい。
思わず電車を降りてしまった。
駅構内を見回しても、かまぼこの姿はない。
漂うかまぼこ臭の中、駅員さんに声をかけてみた。
「ここ昔からかまぼこのにおいしますよねえ。」
「ああ、材木工場のにおいなんですよ。」
なんと、かまぼこのにおいではなかったらしい。
「檜のにおいとはよく言われますけど、かまぼこは初めて言われましたね。」
私の鼻は、食べ物のにおいとして感知をするらしい。
自分のいやしさを知ったわたしは、しっかり帰りにかまぼこを買って帰ったのであった。
家に帰ってかまぼこを切り、テーブルに並べて、かまぼこ板のにおいをかいで見ると、やっぱりあの駅と同じにおいがした。
イヤイヤあの駅はかまぼこ駅だ。
改めて確認してテーブルに向かうと。
やはりというか、まあね、こういうもんだよね。
「このかまぼこおいしいね!食べちゃった!!!」
ノスタルジックに浸ってる間に、かまぼこを食べ損ねたというお話。




