64話 哀艶と空中庭園
お読みいただきありがとうございます!
「部下が《千里眼》で確認したところ、魔神ワイズウェイン様の姿をした《幽幻天》ナナシ様をシノノメギマンという人間が打ち破りました。固有結界すら破壊して」
序列4位の魔王《哀艶天》アリステラの幹部五将血鬼の筆頭でもあるヘクターは主人に報告する。
その報告を耳にしたアリステラは静かに笑い出す。
「フフフフフ。いくら序列が低いとはいえ魔王を倒し、擬似的とはいえ、固有結界すらも破壊するなんて、調査を続けていて良かったわ」
八大魔神にはそれぞれ、二体の魔王がつき従えている。
魔神ワイズウェインの下にいる魔王は二重複体と《真祖の吸血鬼》アリステラだった。
「時期を見て、その人間にコンタクトを取りなさい。私自ら会うわ。戦闘の意思はないとちゃんと伝えるのよ」
「御意」
ヘクターは主人の命令を聞くと、音もなく消える。
1人になったアリステラは、自室のベッドに横になる。
「あと少し、あと少しよ」
誰もいない空間にアリステラの小さな声だけが響いた。
バベルの塔 空中庭園
天にも登る塔の最上部に、八大魔神達は集結していた。
「ナナシの存在が消えた。貴様ら、話し合いが終わるまではお互い不干渉という誓いは忘れたのか?」
二重複体の主であるワイズウェインがピエロのお面を怒りに変えて、他の魔神達に殺気放ちながら睨む。
「アッハッハッハッハッ! 面白! 傑作! ウケる!」
その言葉に1人の魔神が爆笑する。
「何がおかしいダンテロ」
ワイズウェインにダンテロと呼ばれた男は腹を抱えながら、今も笑っていた。
「だってお前んところの変装野郎ってさ、人間領にいたわけでしょ? この俺にバレないとでも思った? 先に人間領不可侵の誓い破っておいて、逆ギレしてるんだもん。おかしくてしゃーないわ」
ここに八大魔神が集結したのは、誰が最後の人間領を攻め落とすか話す事だ。
その時にお互い不干渉と人間領の不可侵を約束していた。
「奴は侵攻などしていない。人間領の偵察に行っていただけだ」
痛い所をつかれたワイズウェインは苦し紛れの言い訳をつく。
「その人間領にいるお前の部下を俺達の誰が消すって言うんだよ。他の皆はちゃんとお利口さんに待ってたんだからさ」
お互い魔神同士の能力は分からないが、ダンテロという男の情報だけは信頼出来ると過去の実績から皆学んでいる。
「では誰だと言うんだ。もったいないぶらずにさっさと言え」
ワイズウェインはダンテロの態度にイラついている。
「前から思ってたんだけど、俺の方がよっぽどピエロっぽくない? そのお面俺に頂戴よ! そしたら教えてあげてもいいよ?」
その言葉にワイズウェインが立ち上がり、今にでもダンテロに攻撃しようとしていた。ダンテロも応戦しようと身構える。
空中庭園は一色触発の空気へと変わる。
「ダンテロ。その辺にして、誰が魔王を倒したのか言え。ワイズウェインも矛を収めろ。人間領への無断の潜入は後で話し合う」
その言葉にワイズウェイン殺気を消して座り、ダンテロも「ちぇ、怒られちったよ」と構えをといた。
2人の魔神を言葉だけで黙らせた男は、2人の様子を見て、話を続ける。
「それでダンテロ。いったい誰が魔王を倒したんだ」
仕切り直して再度ダンテロへと問う。
「それがさー俺も疑っちまったよ。今から言う事は本当だからな。魔王を倒したのは人間だ」
その情報に空中庭園にいる全ての八大魔神は驚きを隠せずにいた。
こうして、ギマンの知らぬところで状況は目まぐるしく変わろうとしていた。
これにて第2章は終わりです!
お付き合いしてくれた皆様ありがとうございます(´∀`*)
次回からは3章へと突入します!
良ければ2章を読み終えての【感想】や【ポイント評価】、【ブックマーク】などしてもらえると嬉しいです(☆∀☆)




