53話 魔力分解と傀儡人形
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炎の巨人の猛攻をカイルとアザミは必死に耐え続けている。
少し離れている私ですらこの熱さだから、近くで戦っている2人は火傷どころではないだろう。
「アザミちゃん!巨人の股から向こう側に抜けて、一瞬注意を反らしてくれ!」
「りょ」
それなのに2人は泣き言1つ漏らさず、炎の巨人を相手にしていた。
私とリーシャは、ガストロから放たれる複合魔法で、2人のフォローに入れずにいた。
「逃げてばかりか?小娘共よ。早くしないと炎の巨人があの2人を燃やし尽くすぞ?複合魔法《怒槌瀑布》」
頭上から滝のように大量の水が襲いかかり、その後、水に放たれた雷によって、感電させてくる。
リーシャは土魔法で足場を作り、攻撃を回避。
私は瞬時に風の翼を展開して、空中に逃げたが、背中に灼けるしような痺れを感じた。
「その魔術は水滴1つでも浴びると感電するぞ? 中々の痛みであろう。」
躱したと思ったのに攻撃を食らったのはそういう事か。
リーシャも攻撃を受けたのか、左腕をおさえている。
「リーシャ!ここで1度回復魔法だ! カイル達の方もヤバい!」
炎の巨人を相手している2人の皮膚の色は、もはや肌色のところが少なく、黒ずんできている。
流石にこれ以上はマズイと思い、私はリーシャに回復魔法の発動を命じた。
「わかりました!《天使の聖域》」
スキルを発動すると、空にオーロラが発生に砕ける。その欠片が皆に当たり怪我が全回復する。
「ほぉ。面白いスキルじゃの。聖女が扱うものとは格が違う。それに退魔の力も付与しておるのか」
ガストロは、リーシャの回復魔法に夢中になっており、隙だらけだ。
やるなら今しかない。
「《因呶羅の光矢》!!」
私はスキルを発動させて、弓は構えて放った。
神聖魔力がこもった必中の矢がガストロを貫こうとしたその時。
「魔力分解」
ガストロの放った言葉と共に因呶羅の光矢は消え去った。
「嘘だろ?」
私は今起こった事が理解出来ずに、呆然としてしまう。
躱すでも防御するでもなく、消え去るなんてありえない。九頭龍の頭1つを消滅させるほどの威力を持ったスキルなのに...。
「今のは、エルフの小娘か。高出力の神聖魔力を矢と共に放つスキル。普通の魔族や魔物なら今ので終わっとる所だが、相手が悪い。魔力を介する攻撃なら儂に対しては効かぬよ。魔力分解がある限り」
「バカな!魔力を分解したとでも言うのか!?」
そんな事実受け入れたくないのか、私は否定したくなる。
「ん?そうだが?じゃから言ったであろう。儂は賢者だと」
自信満々のガストロ。
私は切り札を簡単に破られた、悔しい思いを堪え、魔法攻撃は諦め物理攻撃で攻める事にした。
「カイル!プランBよ!」
プランBとは、カイルの最強コンボ、死と踊る、金剛、剛腕でゴリ押しに倒す作戦だ。
あのタリスマンですら、この戦法に一度はやられている。
「おーけー!いっちょかましてやるぜ!」
指示を出すと、カイルは炎の巨人を強めに弾き、スキルを発動させる。
「死と踊る!!」
今まで襲いかかってきていた、ガストロの魔法や炎の巨人もカイルに集約されていく。
「なんじゃ?あの男に儂の魔法が集まっていく。ヘイト管理のスキルか、厄介だ。それならあの男を速攻で沈めるまでよ」
ガストロはすぐに思考を切り替え、複合魔法を次々と撃つ。
「金剛!」
しかし、金剛によって10秒間だけ全ての攻撃を無効化したカイルには何も効かない。
「バ、バカな!なんだ!そのふざけたスキルは!」
さすがのガストロもこれには焦ったのか、カイルを近づけさせないように魔法で防御するが、他の3人がそうはさせてくれない。
「く、クソ!近づくな!そんな無茶苦茶なスキル、持続時間はそう長くないはず。粘れば勝てる!」
ガストロは追い詰められた状況でも、冷静にカイルのスキルを分析し、勝てる道を選んだ。
だが、複合魔法や炎の巨人の攻撃を意に返さず、近づいてくるカイルにどうしようも出来ない。
「やめろ!やめろ!来るなー!」
「剛腕!!くらえ!!剛健齋!!」
退魔の魔力と剛腕の100倍攻撃力で縦1文字に切断されたガストロは、そのまま消え去った。
だが、部屋に散らばっていた骨がカタカタと音を立てて動き出し、人型になっていく。目に蒼色の火が灯ると、禍々しい杖が虚空から現れ、それを握る。
「ふぅ。やはり傀儡人形では、上手く魔力が扱えぬ。それにしても、中々やるでは無いかお主ら、そら礼をくれてやる。複合魔法《死灰天牢」
倒したと思って、一呼吸していたほんの数秒、本体のガストロが現れ、魔法を発動。超頑丈な土魔法で閉じ込められた私達に死の灰が襲いかかる。
その灰が部屋にあったローブに触れた。すると、ローブは一瞬で灰へと変わる。
死と踊るは継続しており、灰はカイルへと集約されていくが、このままだとカイルが灰になった後は私達だ。
何かないかと必死に思考を張り巡らせるが、何も思いつかない。ついに灰がカイルに到達しようとした時、小さい声だが確かに聞こえた。
「魔力分解」
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