50話 狼人間と魔神
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「さすがにこの姿で戦ったら勝負になりそうもないから、化粧直しなせてもらうね」
俺がガルバン王の姿をした二重複体に辿り着く前に、黒い毛色をした狼人間へと姿を変えた。
俺の叢雲は、その狼人間の爪と交差した。
「紹介するね。この姿は序列2位魔王の幹部の1人。僕はね触れた人物に変身出来るんだよ。記憶や能力まで引き継げるんだから凄いよねー。だから皆僕と握手しようとしてくれないんだ。強さは5分の1程度になるのがネックだけどね」
ペラペラと能力を語るあたり、余程自身の能力に自信があるんだろう。
確かに触れただけで、その人物の強さや姿、記憶まで引き継げるなんて卑怯だ。不意打ち何かされたら絶対に分からないぞ。
だが、今の俺のレベルは560。その一太刀を受けれるのだから、本物の狼人間は少なくとも2000は超えてる事になる。理不尽だな本当に。
「さぁ、僕をもっと楽しませてよ! 」
狼人間は俊敏な動きで俺に爪を突き立てる。叢雲で捌きながら、錯覚を発動させようとするが、洗脳中の奴には効かない。
ちっ。錯覚にこんな弱点があったとはな。
「《餓狼旋噛》!」
1度体勢を立て直した狼人間が、壁に足をつき、力を溜めて一気に放つ。回転しながら襲いかかる爪の乱舞、それを捌いたと思ったら、鋭い牙の噛みつきが腕に掠り、皮膚を抉った。
掠っただけでこの威力かよ。抉れた箇所にポーションをかけて応急処置だけはしておく。
「ハハッ! えーすごいね。この技で死なないんだ。 じゃあ次はもっと凄いのいくよ!」
そう言うと、今度は壁を跳ね返り、上下左右自在に高速で動く。眼では到底捉えきれないスピードにまで達している。
「《跳弾狼撃》!!」
俺は目を閉じて、自身に錯覚を発動し、聴覚以外の五感を遮断する。
不倶戴天の力を叢雲へと付与し、居合の構えで機を伺う。
壁を蹴る音が連続に聞こえてくる。感覚的には0.1秒間隔で壁と壁を移動している。
その音が俺の後ろの壁を蹴ってから0.1秒以上の間隔があいた。俺は叢雲を後ろにいるであろう敵に腰から肩にかけて振り上げた。
狼人間は瞬時に地面を蹴り、切断は免れたが、深い傷を負っていた。
「すごーい!斬られちゃった! ん?あれれ?傷が治らないなー」
やはり不倶戴天の力は魔族に対して抜群に発揮した。
傷が一向に再生した事を不審に思ったのか、俺の刀を見る。
「その輝き、退魔の魔力と似ているが別のものだね。お兄さん結構凄いスキル持ちのようだ。こりゃ油断したら死ぬ可能性があるなー。それじゃあ本気出さなきゃダメかー、もう少し遊びたかったんだけどね。残念」
二重複体はまた姿を変えた。
現れたのは、全身を覆う黒いローブから頭部だけピエロのお面を被っている何かだ。
その姿を見た瞬間に、怖気と重圧によって体が潰されそうになった。確信する。こいつはやばいと。
「今回2度目の自己紹介だね。この方は僕が仕えている【魔神ワイズウェイン】様だよ。1度変身したら二度と同じ者に変身出来ない制約があるのに、こうして君の為にしたんだ。感謝して欲しいくらいだよ。さぁそれじゃ始めようか」
そう言って両手に10本のナイフを持ち、それを空中に投げた。そのナイフ達が10本から100本になり、どんどん数を増やしていく。
ナイフ1つを鑑定すると即死の呪いがかけてあった。なるほど、掠ってもダメだと。
俺は戦うにはこの部屋では狭いと感じ、窓を飛び越え、空に飛び出す。カオリから教えてもらった風魔法を使って翼を作り出し浮いた。
その後を追うように、魔神の姿をした二重複体が当たり前のように浮遊して来た。
周りに無数の即死ナイフ達を携えて。
魔王を倒すつもりが、5分の1とはいえまさか魔神と戦う事になるとはな。
祝50話達成!!
皆様のおかげで50話まで来ることが出来ました( ¨̮ )
これからも応援の方、よろしくお願いしますm(_ _)m




