152話 ネタばらしと結界
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「な、なぜお前が...ガフッ! 幻術に囚われているのはいったい...」
ギガクの目の前には確かにヘクターが目が虚ろになって幻術に囚われている。
「あれは血晶体だ。よく出来てるだろう? お前が媒介にした血はあの血晶体のものだ」
「い、いつの間に入れ替わって...」
「私が眷属を召喚した時にだ。貴様が何かを狙っているのは明白だったからな。《透明化》のスキルを使って身を隠して貴様が油断するのを待っていた」
無数の蝙蝠達を召喚した時、ギガクの視界にヘクターは写っていなかった。あの時すでにヘクターは血晶体と入れ替わり、自身は《透明化》のスキルを使っていたという訳だ。
「バ、バカなぁ...クラマ=カルラ様の幹部、三羽鴉の俺が貴様など...にぃ」
もう話は終わったとヘクターは右手を引き抜き、そのまま手刀でギガクの首を切断する。
「そもそも序列10位如きの部下が序列3位アリステラ様の忠実なる僕の私に勝てる筈がないだろう」
ヘクターはそう言って、右手に付着した血を払い、他の戦場を見向きもせずに寺院へと向かう。
「お姉さんって近接戦闘苦手なの?遊ぼーよー!解剖させてよー!」
「私はただ魔法が得意なだけよ」
飛び込んでくるミンに向けて、シャーリーの血液魔法が炸裂するが、独鈷を前後に突き出し、スキルを発動させるとミンを守るような円が展開され、攻撃が弾かれる。
「僕のこの《二方陣結界》は独鈷を破壊しない限り、攻撃が通ることなんかないんだよねー!だからいくら攻撃したって無駄だよ?」
ミンの言う通りさっきからシャーリーの攻撃は全部あの結界の前にことごとく防がれている。
そのままシャーリーへと近づき、独鈷による刺突や斬撃で傷を付けていくが、再生によりすぐに回復する。
「あは!やっぱりすぐ治るね!凄いやぁ!これならやり過ぎても大丈夫だよね...《螺旋結界》」
ミンは独鈷をシャーリーの頭上と真下に配置する。シャーリーはここにいたらマズイとすぐに退避したが、左肩が抉られてそのまま左腕を失う。
自分の左肩を抉った正体を見ると、先程ミンを守っていた結界が細長く螺旋を描くように展開されていた。
「最強の盾は最強の矛にもなるんだよねー。うーんでもわざわざ避けるって事は再生にも上限とかってあるのかな?やっぱり解剖して試してみたい!」
目をキラキラさせながら見てくるミンを無視しつつ、シャーリーは考え込む。
(うーんやっぱりそう簡単にはいかないわよねぇ〜。仕方ないわね、あれを使いましょうか)
方針が決まり、眷属を召喚し、自害させ血を大量に自身の頭上に集める。
「いくわよ?お嬢ちゃん。血液魔法《血塗れ腐鬼」
呻き声をあげながら腐鬼が主の命令に従い、ミンの方へとゆっくり近づいていく。
「なに?そんなんで僕に勝つつもりなの?《螺旋結界》」
独鈷が腐鬼の左右に配置され、結界が体を貫通し、そのまま独鈷は移動をして腐鬼の体をバラバラにする。
してやったりの顔をしているミンの目の前でバラバラになった腐鬼の破片から小さな腐鬼が現れ、体が小さくなった分、動きが早くになり、ミンへと迫る。
即座にミンは前後に独鈷は配置して自身を守る結界を展開する。無数の腐鬼となってミンの結界を叩いているがビクともしない。
「そこで腐鬼の相手を永遠にしていて頂戴ね〜。そのうちに私は魔王の元へ行かせてもらうけどね」
そう言ってシャーリーは寺院の方へと向かう。その光景を見たミンは結界を一度解き、返り血を受けながらも腐鬼を蹴散らし、再び結界を展開して全ての腐鬼を閉じ込める。
「誰があの気持ち悪いのと相手するって?」
「あら?貴方あの独鈷なしでこれからどうやって私の攻撃を受けるつもりかしら?」
現在独鈷は腐鬼を閉じ込める為に使っているが、ミンは「あは!」と笑って懐から二つの独鈷を取り出す。
「独鈷がどうかした?お姉さん。続きやろうよ」
「安心したわ。こんなので終わったら拍子抜けだったから、でも貴方はもう終わってるけどね。刻印魔法《痛魂の藁人形》」




