151話 効率化と幻術
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ヘクターの猛襲をギガクは受け流す。これだけの数を受け止められるのはギガクの力量と錫杖に付与されている《不滅》の加護のおかげだろう。
「どうした?威勢がいい割には攻めが単純でつまらんぞ」
「貴様こそ受け止めてばかりで何も反撃してこないじゃないか、ビビってるのか?」
二人は未だに挑発をし合い、相手の隙をつこうとしているが、そこはお互い魔王の幹部だけあって冷静だ。ヘクターの方はキレてはいるが、戦いの駆け引きに関しては冷静だった。
「血液魔法《串刺し血雨》」
自身の血を媒介にしてギガクの頭上に無数の棘を降らせる。その攻撃をギガクは錫杖で難なく捌いていく。
「《赫十字双撃》」
そこにヘクターからの追撃が放たれるが、ギガクは血の雨を見切ったのか、かわしながら追撃に対して錫杖で受け止める。
「我のスキルは《効率化》。貴様の攻撃など、どう対応すればいいかすぐにわかる」
「ふん、そんなチンケなスキルで俺を倒すことが出来るのか?」
確かに《効率化》というスキルでヘクターの攻撃をいなしているだけではギガクに勝ちはないが、当の本人はその言葉を聞いて小さく笑みを浮かべる。
「すぐに貴様は我の術中に嵌り、俺に殺されるのだ」
「ならばやってみせろ。《眷属召喚》」
ヘクターの左右に魔法陣が展開され、そこから数え切れないほどの蝙蝠が出てきてギガクに噛み付こうと襲いかかる。
ギガクの視界全てに蝙蝠が現れ最早1つの塊になっている。
「質より量をとるほど下策もいい所だな吸血鬼。《凍土の舞》」
ギガクがその場で錫杖を持ちながらまるで踊っているかのように動く。錫杖に当たった蝙蝠は一瞬で凍りつき、地面に落下していく。
「自害しろ眷属達よ」
ヘクターの命令に忠実に従い、蝙蝠達はその場で血を撒き散らしながら自害する。
「血液魔法《血の牢獄》」
およそ何千もの蝙蝠達が出した血の量は計り知れないほどになっており、その血を媒介にギガクを捕らえる牢獄を作り出す。
「血液魔法《串刺し血雨》」
その狭い牢獄の中に先程の棘を展開して、逃げ場がないギガクは串刺しになっていると思いきや、牢獄が凍りつき、割れてその中から少し手傷を負ったギガクが出てくる。
「この程度か?吸血鬼」
「《赫十字双撃》」
「ふんその技はもう何度も見た。芸がない...!?」
「《座標転移》」
ギガクの視界からヘクターが急に消え、自分の背後から攻撃が襲いかかる。
「《氷結壁》!!」
咄嗟に背後に氷の壁を展開して防ごうとしたが、その壁諸共ギガクを抉った。
「グァッ....!!カハッ..。やってくれたな吸血鬼、だがこれしきではまだ...な、何?血がドンドン流れていく...ま、待てこの量は...」
《赫十字双撃》は命中した相手を失血死させる効果があり、ヘクターが付けた傷跡から大量に出血をしており、その流れが止まることはない。
「やはり所詮は序列10位の幹部よな。我がアリステラ様の眷属である私に勝てる道理はない」
ヘクターはギガクの最後を見ることなく踵を返す。
「どうだ?いい夢見てるか?その様子だと俺を殺した夢でも見てるか?」
ヘクターは現在、目が虚ろになっており、固まっている。
「だから言ったろ?俺の術中に嵌ってると。こう見えて俺は幻術使いだ。我が王には及ばないが貴様くらい騙すのなんて簡単なんだよ」
ギガクはいつの間にかヘクターに幻術を掛けており、まんまと嵌ってしまったという訳だ。上機嫌なのかギガクはベラベラと自身の幻術について解説しだす。
「俺の幻術の発動条件は相手の血液を摂取することだ。吸血鬼は血を分け与えることで眷属にさせるんだろうが俺はもうすでに我が王に心臓を捧げ誓いを立てている。上書きは不可能なんだよ。あの血の牢獄のおかげで発動条件は簡単に達成出来た。そこだけは感謝してやるよ」
「そうかならば私も感謝しよう。お前がバカで」
幻術にかかっていたヘクターは何故かギガクの背後に現れ、右手で胸を貫いていた。




