149話 鞍馬山と三羽鴉
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カイル達を転移させた後、ヘクターはすぐさま序列12位 『鴉境天』 鴉天狗 クラマ=カルラがいる【鞍馬山】の近くへと転移する。
「わぁー!山と聞いてましたけど随分さっぱりしてますね。森林伐採ってやつですかね?」
「鴉天狗っていう種族は全員空を自由に飛べるから、外敵が来た時、すぐに発見出来るように木を切ったと言われているわ〜。住処は山の中には無くて、天高い所にあるわ〜」
シャーリーの説明に「ほぇ〜何か発想が凄いですね」とリーシャは相槌をうつ。
【鞍馬山】とは名ばかりで木は伐採され、荒野ではないのかと錯覚してしまうほどだ。
「あの上からデカデカと見下ろしている所に魔王クラマ=カルラがいるのか」
カオリは空を見上げ、天高く聳える寺院のような建物を見る。
「そうですね。見張りも巡回しておりますが、そこはシャーリーの《認識阻害》によって余程の事がない限り見つかりません。今の内に巡回しているものから倒していきましょう」
ここに転移する前にヘクターは現場を一度見に来ており、この山の状態と見張りがいる事を先に確認していた為、対策をうっていた。
「私とリーシャは空を飛べるが二人は大丈夫なのか?」
「私まだ風魔法での翼の制御は完璧じゃないですけど...」
そもそも風魔法で翼を作り出して飛ぶこと自体凄い事であることを忘れているリーシャ。
「私達には《霧化》があるので大丈夫ですよ」
「攻撃する時は実体化しないといけないからあそこに着くまでは任せてもいいかしら?」
《霧化》という言葉を聞くと、タリスマン戦での厄介さは未だに印象深い。アリステラも要塞に来る時にはあの状態になっていたから、使い勝手がいいのだろう。
「分かった。アリステラさんが言っていた三羽鴉というかなりの使い手が出てこない限り、私とリーシャが敵を倒す」
「ありがとうございます」
「頼もしいわね」
意見がまとまり、各々空へと飛び立つ。カオリは《風を操る者》によって、翼を作り出さなくても自由自在に飛べるようになっている。
空を飛びすぐに、見張りの者が二人体制で巡回しているのが見えた。いくら《認識阻害》をしていようと視界のど真ん中に入ってしまうと見つかる可能性があるので、なるべけ死角を飛び、ゆっくり背後に近づく。
カオリの《嵐剣》とリーシャの風魔法《鎌鼬》によって首を切断されて、地面に堕ちてゆく。
鴉天狗の見た目は鴉の頭に人間の胴体をくっつけたといった感じだ。手には槍を構えていてたがそれを使う機会はなかった。
その後も着々と見張りを倒していくと、流石におかしいと感じたのか、寺院の前に居た二匹が中に入っていく。
「増援を呼ぶつもりか?」
「流石にやりすぎちゃいましたかねー」
四人が様子見をしていると、先程の二匹ともう一匹と呼んでいいのか、鴉の頭をしておらず口から上を隠しており、出ている部分の口は人間の口をしていた。
その男は二匹の話を聞くと、目つぶり手に持って錫杖を鳴らす。
シャランという音が空に響き渡る。一体何をしているんだと観察していると、その男は《認識阻害》をかけているカオリと目が合う。
「なっ!!」
「あそこだ。数は二人だが、周りに怪しい気配がある。見たところ人間とエルフだが、かなりの使い手だ、俺も出る」
その男は翼をはためかせると瞬時にカオリ達の前に現れる。
「お前達何者だ。ここに何の用があって来た?」
意外にもいきなり攻撃を仕掛けては来ず、話しかけてきたのでカオリが返事をする。
「私達は魔王クラマ=カルラを倒しに来た。お前は三羽鴉の一人か?」
誤魔化そうともしたが、もう見張りの者を何匹も殺している為、言い逃れは出来ないだろうと思い素直に話す。
「そうか...なればここを通す訳にはいかんな。見張りの者達もやられたようだ。俺は三羽鴉の一人コクイだ」
コクイと名乗った男は錫杖を両手で持ち、カオリ達の前に立ちはだかった。




