148話 激闘の末と戦利品
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(この音は九頭竜やプライスとの戦いの時に聞こえてきたやつだ...。何かスキルを獲得したらしいが、それより今はこいつを仕留める!)
突然聞こえてきた機械音に一瞬だけ驚いたが、《金剛》の残り時間も僅かだった為、取り敢えず攻撃をと無駄かもしれないが斧を振るう。
「ブモォォォ!!ガァァァ!!」
さっきまで弾かれていた攻撃が、アステリオスの身体に傷をつけ、深く斬りつけた傷によって雄叫びを上げる。
(何か攻撃が効くようになったぞ!それなら話は別だ!このまま押し切る!)
カイルの攻撃を受けてアステリオスの攻撃は激化していくが、カイルも負けじと攻撃を繰り出す。
もし理性があった頃のアステリオスならばこんな無駄な事はせずに、遠距離から攻撃しつつスキルの効果を確認していたが、完全な獣になった今、ただカイルを殺す事だけしか頭にない。
だが、こんなに攻撃を受けていながらもアステリオスの攻めは弱まるどころか更に激しさを増している。自我を手放し、もやは痛覚など残っているのか怪しい。
「おら!おら!おら!おら!おらぁぁぁぁ!!!」
「ブモォォォ!!ブモォォォ!!」
カイルの《金剛》の残り時間があと2秒へと差し掛かる。
もはや逃げるという選択肢は頭になく、両者一歩も譲らずに斧を振り合う。
「《氷血灼熱十字砲》!」
「《明鏡止水》...《八柱浸透水鏡双勁》」
「血液魔法《紅血で高潔な龍》」
そこにプリシラ、アザミ、ゲーテの最大火力の技がアステリオスを襲う。
「いい加減くたばれやぁ!」
カイルも持てる全ての力を振り絞る。
「ブモォォォ!!ゴロズ!ゴ...ロ...ズゥ...ッ!」
カイルが首を切断し、そこにアザミの《発勁》が身体の内部を完全に破壊、プリシラとゲーテの技でもはやアステリオスの原型はなくなっていた。
そこにあったのはさっきの攻撃でも傷一つない神斧ボアロパゴスだけが落ちてあった。
「カイルさんご無事ですか!?」
「あぁホントぎりぎりだったけどな。何とか仕留めたぜ!」
「カイル!お前は真の漢だ!牛と殴り合ってる時のお前は輝いてた!」
「牛討伐完了」
最初は相性の悪さやアステリオスのスキルに翻弄されて苦戦していたが、アリステラの手助けやカイル、アザミの覚醒によって魔王を討伐した。
「あそこに落ちている神斧はカイルさんが貰ってはどうですか?現在使われている斧がそのような状態ですし...」
ゲーテに言われ、カイルは自身の斧を見るとボロボロになっていた。最後無我夢中になっていたので分からなかったが、かなり無理な使い方をしたようだ。
「そうだな!戦利品だ!ってかさっきの攻撃一緒に受けた筈なのに無傷かよ。とんでもねぇ斧だな」
「神斧といっていたので恐らく神話級の武具だと思います。武具の中でも最上位の物と聞いています。良かったですねカイルさん」
カイルは何か言われないかアザミの方を見る。
「今回は譲ってあげる」
負けず嫌いのアザミが珍しく譲ってくれた事によりカイルは喜び、一目散に神斧ボアロパゴスの元へと向かい、手に取る。
「おぉ!結構ずっしりくるなぁ!でもまぁそれぐらいの方がやり甲斐があるってもんだ!よろしくな!ボアロパゴスだっけ?」
武具に話しかけても何も返って来ないだろうと皆呆れたが、誰も見ていない所で神斧ボアロパゴスは一瞬だけ輝きを放った。
「さてヘクターさんが無事なら迎えに来るはずですが、まだ来てないという事はあちらもかなり苦戦しているようですね。私達はここで待ちましょう」
「ってか今思ったんだが、あの魔王序列15位だったよな?あの強さで下から二番目って洒落にならないな」
「魔王は総じて強いからな!アリステラ様基準だとそうは思ってないからあんな話し方になったんだ!」
「カオリ姉...リーシャ...」
アリステラはアステリオスの事を一言で脳筋で知能がないと言っていたが、実際戦ってみると、最後は獣に成り果てて知能がなかったが、そうなる前はしっかり考えて行動していた。序列3位からしたら脳筋で片付くが戦った本人達はそうは思ってないだろう。
序列15位 『牛怪天』 牛頭鬼 アステリオスとの死闘はカイル達の勝利で終わった。




