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146話 真の力と魔王としての矜恃

お読み下さりありがとうございます!





(俺の《神雷の一撃(ケラウノス)》を飲み込んだだと!?あの吸血鬼共、さっきまでとは明らかに格が違っている...冷血女(アリステラ)め!何しやがった!)




自慢の一撃を無効化され、目の前には自身と同等の力を持つ者が二人。アステリオスではなくともこの状況を作り出したアリステラには文句を言いたくなる。




「私はアザミさんとカイルさんを治療してきます。魔王は適当に相手しててください」



「おうよ!任しとけ!」



ゲーテは一瞬で二人を回収すると安全な場所まで避難する。



上級回復(ハイヒール)



アリステラに拾われる前にゲーテは元々回復魔法を習得していた。吸血鬼になった今、使う事はもうないだろうと思っていたが、運命のイタズラなのかこうして役立っている。



「う...俺はいったい...」

「私はあいつに殺されたんじゃ...」




「カイルさん、アザミさん大丈夫ですか?リーシャさんみたいな回復魔法は覚えてないので応急処置程度になりますが」



「ゲーテなのか?雰囲気がすげー変わってるぞ」

「なんか強くなってる?」



カイルとアザミも今のゲーテを見て、大まかにだが強くなっている事を指摘する。



「アリステラ様の計らいによってこうなりました。あとは私とプリシラさんが魔王を倒しますので、お二人はここで休んでいてください」



「ハッ、ハッハッハ!んなの嫌に決まってるだろうが!そんな事したらギマンにドヤされるぜ!四人チームで魔王を倒せって言われたろ?だったら最後まで付き合うぜ!」

「私もやる」



何とか説得しようと試みるが二人の意見は全く変わる事がなく、ため息をついてゲーテが折れる。



「分かりました。サポートは私がやるので気にせずガンガン攻めてください」



「今まで防御だったからな!イライラしてたんだ!」

「もっと《発勁》を磨くチャンス」



死にそうになったのにそんな事など全く気にせずに何度も立ち上がる姿勢を見てゲーテは羨ましいと感じる。



(私が人間だった時にこのような勇気を果たして持てるだろうか。...何を今更。私はあの時、人間を捨てアリステラ様の眷属になると誓ったではないか。でもこうして人間と共闘出来て私は嬉しいです)



少し感慨にふけていたゲーテは気持ちを切り替え、三人でアステリオスの所へと向かう。





「おら!おら!おら!どうした!?もっと本気で来いよ!」



この戦場ではプリシラがガンガン殴りつけ、それをアステリオスが必死に防御する形となっていた。



(なんなんだ一体!雷光となったこの俺がどうして防戦一方になっている!ボアロパゴスの能力が間違いなく発動している。だとしたらこの力はステータス上昇系のスキルではないのか?今はそんな事どうでもいい!取り敢えずもう一人が戻ってくる前に戦況を覆えす!)



「いい加減にしろ!《雷臨(らいりん)》!」



空から巨大な雷がプリシラへと降りかかる。



「へっ!おもしれぇ!《殲滅巖偑(せんめつがんふう)!」



その雷に向けてプリシラは両手の拳を合わせて、空へとスキルを放つ。



アステリオスが放った一撃はかき消され、そのままプリシラの攻撃は雲へと貫通し、遥か上空へと消えていく。



「隙が出来てるぜ!《轟雷裂破(ごうらいれっぱ)》!」



高出力の雷を神斧ボアロパゴスへと付与して、スキルを放ち終わったプリシラへと叩きつける。



「どこがだ?《鮮血境蓮脚せんけつきょうれんきゃく!」



雷の斧と鮮血に染った回し蹴りがぶつかり合う。地響きが鳴り、空間が歪む。拮抗していたように見えたが、アステリオスの斧を弾き返し、プリシラの回し蹴りが突き刺さる。



「ブヘェェェェ!!!」



血を吐きながら気持ち悪い声を上げてアステリオスが倒れ込む。



「何だつまらねぇな。もう終わりか?」



倒れているアステリオスを上から見下ろすプリシラ。



「プリシラさん、もしかしてやりすぎて殺してませんか?」

「今の蹴りなんだよ!えげつなっ」

「牛が死にかけ...」



そこに三人がやって来てアステリオスを見る。



「おうゲーテ!適当に相手してたぞ!まだ殺しちゃいないけどな!」




アステリオスは地面に伏しながら必死に痛みに耐えながらも怒りを露わにする。



(この俺が!魔王の俺が!こんな奴らに上から見下ろされるだと!?屈辱だ!もういい!こいつらは死んでも殺す!)




「ブモォォォ!! さっきの一撃で俺を殺さなかった事を後悔しろ!《狂乱化(バーサクモード)》!」




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