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144話 吊るされた男と虚空の拳

お読み下さりありがとうございます




「プリシラさん。カイルさんとアザミさんの怪我は深刻です。アリステラ様から頂いたスキルを使いましょう」



やる気満々のカイルとアザミだが、二人ともかなりの怪我を負っており、早く治療する為にも切り札を使う事にした。



「いいのか!?よっしゃぁ!さっきの戦い何もしてなかったから不完全燃焼だったからな」



後先考えずにスキルを使いまくるプリシラにゲーテは戦いの前に釘をさしておいた。だがこの状況では使うしかないと判断した。



「アザミさん!ここからは私とプリシラさんで仕掛けます!隙を見て攻撃してください!カイルさんはアザミさんに攻撃が来たらで構いません。防御をお願い出来ますか?」



「おうよ!任しとけ!」

「了解!」



「それではいきます!《吊るされた男(ハングスマン)》!」

「よっしゃぁ!《虚空の拳(ヴォイドファウスト)》!」



ゲーテとプリシラがスキルを発動する。身構えたアステリオスだったが特にこれと言った事は起こらず不思議がっていると、背中から衝撃を受ける。



後ろを振り返り原因に気づく。プリシラの拳がアステリオスの背中に転移したのだ。



その拳に向かって斧を振るうが即座に消えて、今度は頭上から殴られる。殴っては消えを繰り返し、アステリオスにラッシュをかける。このままでは埒が明かないとプリシラの元へと《閃光》を使って駆け抜けようとした所にゲーテが飛び出してくる。



ついでにこいつにも攻撃しておくかと斧で振り払おうとした時、全く手応えを感じず、《閃光》状態のアステリオスが吹き飛ばされた。



意味がわからず周りの状況を確認しようとした時、またもや虚空から拳が飛んでくる。もう食らうものかとその拳を左手で掴もうとした時、横からアザミが飛び出してくる。



「《発勁》」



身体の内部を破壊する技をくらい、流石のアステリオスも顔を歪める。そこに掴み損なった拳が当たる。




「クソが!ウザってぇんだよ!テメェら!」



ここに来て初めてダメージを負ったアステリオスが激昂して斧を振り回すし、アザミを狙うが、カイルの盾にその攻撃は阻まれる。



そこにゲーテが剣を突き刺そうと上から飛び込む。アステリオスはバルバトス並の防御も誇っている為、その程度の攻撃は効かないだろうとゲーテを無視するが、その直後に血の剣が足の裏から貫通する。



「甘くみましたね。今の私は全てが逆さまなんですよ」



ゲーテの言っている意味が分からないが、今のコイツは危険だと判断して一度距離をおこうとした時、足を掴まれる。



「捕まえたぜゲーテ!」



しまった!と感じた時にはもう遅く、ゲーテが剣を振るっている。咄嗟に防御しようと両手を前に交差するが、背中を思いっきり斬られる。



何故後ろから?と思考している時には、両手を交差している所にアザミの《発勁》が襲いかかる。これ以上のダメージはマズイと足を掴んでいる手を斧で振り払り、《閃光》を使い距離を置く。



斧で振り払った時にはもうプリシラは拳を元の位置に戻している。




(あの女吸血鬼の能力は単純だ。あとエルフの小娘は近寄らせなければいい。問題はあの男の吸血鬼、能力の全容が掴めない。全てが逆さま?そういえば真正面から斬られると思ったのに背中が斬られた...。まさか、攻撃が逆になるのか?だとしても最初《閃光》状態の俺を吹き飛ばした意味がわからん)



アステリオスはほんの数秒の間、敵の能力を考察していたが、元からそんなに賢くないので、途中で放棄した。



「何か訳分からね能力だが、どうでもいい。力でねじ伏せる。《雷光へと至る(アステロス)》」



アステリオスの全身の毛が逆立ち、雷を全身に纏う。身体も巨大化する。右手に神斧ボアロパゴスを左手に雷の槍を握る。



「魔王じゃないただの魔族や人類にこの力を出してやる事を光栄に思え。そして死ね」






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