141話 相談と発勁
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「ん?火力が足りない?」
アザミは自分が一番気にしている事をギマンに相談していた。ギマン達の中でレベルが低いのはしょうがない事だが、攻撃を挙げるスキルや技などを持っていない。
攻撃スキルや技の大切さは悪魔公の仔羊戦や痛感している。
「はい。手数や速さなら負けない自信はあるんですが、今回の親羊戦でどうにかしたいと思いまして」
今のステータスでも普通の魔族や魔物なら十分戦えるほどになっているのだが、アザミはそんな事では全く満足していなかった。
「そうだな。火力が足りないなら相手の弱点を狙えばいいと思うが、アザミが言ってるのはそういう事じゃないんだろ?」
「はい。単純に攻撃力が私にはないのです」
魔物や魔族にしても弱点はあるが、もちろんそれは相手も知っている事で、何としてでも防ごうとしてくる。
アザミはその防御をも突破する力を身につけられないかと考えていた。
「うーん。俺の元の世界の技なんだが、『発勁』と言ってな。相手の内部に浸透して、内部から破壊する技なんだが、これだと相手の防御がいかに硬かろうが、身体の内側まで鍛えている奴なんか殆どいないから通じると思うぞ?」
「そ、それ!教えてください!」
「俺も少し齧った程度しか習ってないから教える程の立場じゃ...」
「そ、そうですか...」とアザミはシュンとなる。
「わ、わかった!取り敢えず原理や打ち方だけでも教えるから習得出来るかわからないぞ?」
「はい!それでも大丈夫です!教えてください!」
それからギマンに教えて貰った発勁の原理や打ち方などを聞いて、この短期間の中猛烈に努力した。もちろん受ける相手はカイルだから遠慮なく付き合わせる。
その結果カイルと同様に10回に1回ほどだが成功するにまで至った。その事をギマンに話したら「え!?嘘!?早すぎない!?」と驚いていた顔を見てアザミは嬉しくなった。
「あのギマン様、この力を武器に伝えて放つ事は原理的には可能なのでしょうか?」
「かなり難しいとは思うけど...一応可能だよ」
最後にこの力を武器に伝えれたらもっと強くなれると思い、ギマンに質問した時に返ってきた答えを聞いて、さらに喜んだのを覚えている。
「プリシラ!そのままそいつ引き付けといて!」
今打たないでどこでやる!と意気込み、プリシラに指示を飛ばす。『発勁』は成功しないとなんのダメージも与えられずに隙を見せるだけなので、ハイリスクハイリターンの技になる。
だが、バルバトスの防御を突破するにはこれしかない。
プリシラはアザミの指示に素直に従い「こいや!ノロマァ!」と挑発し、ハンマーによる攻撃を受けながらも再生を繰り返し、注意を引く。
プリシラのお陰で気づかれる事なく、バルバトスに接近出来たアザミ。
「ふぅ〜」と身体全体の力を抜く、膝から拳にかけて力を上手く繋いでいく。こうして身体全体で繋いだ力を相手に伝える。
アザミはゆっくりとバルバトスの背中に手を当て、一気にその力を伝える。
するとアザミが踏みしめていた地面が割れ、今までどんな攻撃にも全く反応していなかったバルバトスの口から血を吐き出す。
「グへッ!! ナ、ナンダァ? ナニされたんだ? イ、痛てぇ。ガラダの中にドシンて衝撃が...」
バルバトスはこの身体の痛みが何なのか、訳がわからなかったが、この攻撃をしたのがアザミだと言う事はわかった。
「お前キケン。コロす」
今までプリシラの相手をしていたが、自分にダメージを負わせられる存在にだけ狙いを変える。
「おぉ!血を吐いたぞ!こいつ!やるなぁ!」
急に背を向けたバルバトスに拳の連打を与えながらもアザミを褒める。
アザミは『発勁』が成功した喜びと共に頭の中に流れてきた機械音を聞いた瞬間に勝てる可能性が出できた事を悟る。
『スキル《発勁》を獲得しました』
(ギマン様ありがとうございます。この力で私はまだまだあなたの役にたてそうです)




