129話 転移者とズレ
お読み下さりありがとうございます!
「え?嘘、ギマンさんが日本から...え?それじゃあギマンさんは勇者なのですか?」
「いきなり驚かせて悪かったな。一応神から魔神を何とかしてくれとはお願いされたが、勇者って程ではない」
そもそも勇者だとしたら、いきなり魔の森の狼に襲われるような鬼畜転移しないだろうからな。恨みは一生忘れないからな狸爺。
「スバルに聞きたい事があるんだが、答えづらかったら答えなくていい。スバルは死んでから転移させられたのか?それとも生きている状態で呼び出されたのか?」
「私は死んでから転移させられました。創造神と名乗るお爺様に勇者になってこの世界の魔神を倒してほしいと言われました」
スバルも死んでからあの狸爺の所に呼び出されたのか...。ん?てか俺の時は魔神を従えて欲しいとか言ってた癖にスバルには倒して欲しいって言ったのかよ。一体どっちなんだよあの爺。
「なるほどな。ちなみに自分が死んだ年号なんか覚えているか?俺は2025年8月だ」
「え!?私は1960年の2月です! 」
「スバルはこの世界に来て何年たってる?」
「えっと...1年と半年です」
俺とスバルが死んだ年は65年も離れているのに、ここの世界では1年と半年しか違いがない。これは一体どういう事なのか、この世界の時間軸と元の世界が違うのか、狸爺がスバルを死んでからすぐに呼ばなかったのか、色々と仮説を立てることは出来るが生憎答えを知っているものはここにはいない。
「あのギマンさん...2025年ってどのくらい技術が発達してました?」
スバルは自分が死んでからどこまで日本の技術が発達したのか興味があるようだ。
「そうだな。この世界みたいに魔法とかはないけど、精巧なロボットや新幹線、医療なんかもかなり発達したぞ」
「え!?ホントですか!?ちょっと詳しく教えて貰ってもいいですか!?」
スバルは俺が同じ転移者という事は最初驚いただけで、受け止めた後は自分が死んだ後の日本に物凄い興味を持っていて、結構話し込んでしまった。
「ギマン、気絶した者達が目を覚ましたから、皆集合してくれと言われているぞ」
質問攻めにあっている中、カオリの言葉に俺は即座に「すぐに行く」と言って何とか脱出出来た。
「ギマンさん!またお話したいので今度お食事にでも行きませんか? 僕美味しいお店知ってるので」
キラキラした目でそんな事を言われると断ることも出来ずに俺は了承した。
「アリステラ様、全員揃いました」
再び王の間に今回の訓練参加者が全員集まり、ヘクターがその様子を見て、アリステラへと告げる。
「今回の訓練はどうだったかしら? 当初の目標であるレベル上げも私が見たところ大成功といった感じね。今の貴方達なら魔王やその幹部はちょっと厳しいかもしれないけど、一般の魔族となら充分戦えると思うわ」
「現段階で私の宿願である魔神討伐に参加出来そうな者はギマンとその仲間達だけでしょうね。まぁ次回の訓練も考えてあるから覚悟あるものだけ来てちょうだい。私からは以上よ」
随分と上から目線だが、五将血鬼やアリステラも今回の訓練で人類を見る目が少し変わったというだけでも良かったというべきか。
人類側も訓練が始まる前に比べて、敵意や憎悪を向けるものがゼロとは言わないが、かなり少なくなった。
そういう意味でも今回の訓練は良い方向に向いたといえる。
「人類側を代表して礼を言おう。後で《鑑定》持ちの者に調べてもらうとして、自分でも遥かに強くなった事が実感出来る。アリステラ殿の言う通り、儂達はまだまだ魔王や魔神には遠く及ばんが、可能性がある事に気づけた。これからもどうかよろしく頼む」
デノンハウザーがアリステラと五将血鬼に対して頭を下げる。俺は改めてデノンハウザーがこの国の王で良かったと思った。
こうして、魔族人族合同訓練は終わり、次回はまた追って連絡すると言って、今日は解散となった。
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