120話 親羊と締めくくり
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五将血鬼が抜けた後も、全体的にレベルが上がり、ステータスが上昇したおかげで危ない場面はなく、淡々と羊狩りに勤しむ訓練参加者。
「ヘクター、そろそろ親の羊と戦わせてもいいんじゃないの?」
「そうだな!全員かなり成長したし、挑戦させるべきだ!何かあれば俺達が出ればいいからな!」
「いいん考えだと思います。良い時間帯にもなってきましたから今日の締めくくりには丁度いいかと」
「私の見立てだと今日の予定は羊をサポートありきで倒す事だったが、嬉しい誤算だったな。わかった、皆のチームを集めてくれ」
各自チームのリーダーへと1度集まるように指示を出す。
先程王の間で集まった時とは、全く違う成長した姿を見て、各々話していた。
「お前そんなに威圧あったか?」
「何か体に力がみなぎるんだよな。お前こそ凄いぞ」
「最初は全く攻撃が効かなかったけど、今じゃ羊狩りが楽しくて仕方ない」
「もっと!もっとだぁぁ!」
一部、血に飢えたケモノみたいになっていたが、それほどレベルとステータスが上がるということは嬉しいものだ。
「皆様、私の当初の予定では、今日中に私達のサポートありきで羊を倒してもらう事でした。しかし、皆様も頑張りで今日の締めくくりは仔羊ではなく、親の羊、いわゆるボスと戦ってもらいます」
参加者はザワザワとしていたが、今の俺達ならいけるだろ!と思っていた。
「さしあたってそのボスとはここにいる全員で倒してもらいます。作戦が決まり次第私に声を掛けてください。最後に一つだけアドバイスを送ります。親の羊は攻撃を受けると即座に仔羊達を呼ぶのでご注意ください」
ヘクターの最後の言葉に、それまでいけるだろ!と言っていた参加者の顔が青ざめていった。
そして、各チームのリーダーが集まり、作戦会議をする。
「まずは呼ぶ仔羊達の数がどのくらいかが問題じゃのう」
「最初の仔羊が仲間を呼んだ時は、聞こえるだけでも100は超えていた」
「さすがに100以上は厳しいですね」
「今の俺なら10体くらいなら止められるがさすがにな」
「でもやるしかない」
親の羊がどれほどの仔羊を呼ぶかは定かではない。
「では仔羊達を止めるチームと親の羊を仕留めるチームに分けるのはどうじゃ? 親の羊を仕留めるチームは火力を出せる面子を多く振り分けて」
「ありですね。仔羊を止めるチームはカイルのチームを筆頭に各自、防御に適した人材を出しましょう。私のチームからは聖騎士団長のニーアと他数名を」
「私のチームからは賢者ノーチラス様にお願いします。あと怪我人が出るかもしれませんから、聖女イリス様も」
「私のチームからはガラドを向かわせる」
アザミチームのガラドという男は、一応副リーダーとしてアザミの補佐をしている。《断崖》という目の前に広範囲の壁を作り出す優秀なスキル持ちでもある。
「わらわのチームからはユーリッドとパーシヴァルを向かせようかの」
「おっしゃぁぁ!任せとけ!必ず止めてやるから、親の羊は頼んだぜ」
大まかな作戦が決まり、仔羊を止めるチーム、親の羊を仕留めるチームへと別れ、細かな作戦を練り、カオリがヘクターへと声をかける。
「準備が出来た。覚悟は出来てる」
「良い目をしますね。わかりました。もう既に寝ている親の羊の座標をマークしているので、ここに呼び寄せますね」
そうしてヘクターが座標転移のスキルを発動すると、目の前に体長20mはあろう巨大な羊が現れ、目を覚ます。
親羊は睡眠を邪魔されて怒っていた。
「メェェェェェェェェ!!!!!」
爆音の鳴き声と共に森全体が蠢き出し、親羊の為に仔羊達が集まってくるのがわかる。
こうして魔族合同訓練初日の最後の相手、親羊との戦いが始まった。
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