115話 夜鳴きと逃走
お読み下さりありがとうございます!
仔羊の群れ庭にて、各チームが仔羊にダメージを負わせて、追い詰めていた。
「よぉし!少しづつだが確実に追い詰めてるぞ!」
「人類の力を思い知れ!」
「角に気をつけろ!また飛ばしてくるぞ!」
「英雄殿ばかりに頼ってはいらねぇ!」
時間にして30分足らずだったが、知らない地で自分より遥かに強い魔物との戦いで、アドレナリンが出ていて疲労には気づいてないが、確実に消耗はしていた。
だがそのおかげか、遂に仔羊が地面に倒れ伏した。
その姿に参加者の一人が「やったか!?」とフラグを立てる。
地面に倒れ伏した羊達は涙を流しながら、大音量で鳴き出した。
「メェェェェェェエ!!!!」
「メェェメェェェェェェェ!!」
「なんだ?こいつら急に泣き出したぞ」
「死ぬのが怖くて泣いてんだろ」
「それじゃトドメを刺そうぜ」
突然の事に参加者達は一瞬驚いたが、早くトドメを刺そうとした。
仔羊の群れ庭の異常にいち早く気づいたのはカオリだった。
トドメは皆に任せて《超聴覚》で周囲を探っていたら、高速で移動してくる100を超える音にカオリは血相を変えて叫ぶ。
「皆今すぐ逃げろー!! 100を超える羊の群れがこちらに向かって来ている!他のチームにも伝える!」
その言葉に他の皆はえ?と疑問を抱いていたが、カオリの真剣さに只事ではないと感じ、トドメを刺す前に逃げ出した。
チームに別れる時、カイルとリーシャとアザミとスイエルには緊急時、空に火魔法を放つと約束していた。
カオリはその約束通り火魔法を空に撃ち、他のチームに伝わってくれと願いながら自身も逃げ出す。
このカオリの火魔法に気づいたのはスイエルだけだった。
カイルは羊を仕留めた気になり、油断して空への確認をしなかった。リーシャは複合魔法の準備で目を瞑っていた為だ。
「皆!緊急事態じゃ!即刻退避するのじゃ!」
「なぜだ!スイエル!ここまで追い詰めたのだぞ!」
トドメを刺そうとしたデノンハウザーは横槍を入れられる。
「他のチームからの合図じゃ!それにこの音聞こえぬか?とんでもない数の魔物がこちらに押し寄せて来ておる!」
皆も耳を澄ませて聞くと、仔羊の群れ庭全体が揺れているような地響きがしていた。
「ん。攻撃やめ。全員撤退」
アザミは《第六感》のスキルで何か嫌な物が近づいてくると感じた瞬間に空に火魔法が放たれたのを見て、チームに撤退命令を出す。
「「「「「「わかりました!アザミ隊長!」」」」」
ここのチームはアザミの言う事が絶対なので、話が早かった。
「3つのチームは気づきましたね。あの闇耳長族のお姉さん、確か名前はカオリさんと言いましたか。耳がいいようですね」
「その妹ちゃんも同じタイミングで気づいてたわよ〜。こっちは耳というより勘かしらね」
シャーリーとゲーテはいち早く気づいたエンフェルト姉妹のスキルを予測していた。
「ったくカイルのやつ!目の前の敵に気を取られすぎだ」
プリシラは拳で語りあったカイルを見て落胆した。
「まぁどっちみち羊にあのスキルを使われたのなら、気づいてもここでは逃げ場がない。《座標転移》の準備は出来ている。一度戻るぞ」
「ギャアアア!!なんだコイツらァ!どこから出てきやがったぁ!」
「カイル殿さすがにこの人数はいくらタンクといえど無理があります!!」
現在カイルのチームは仲間を傷つけられて怒っている羊達に追われていた。
「ひぇぇえ!なんなんですか!この羊さん達は!多すぎますぅ!!」
「まさかこの歳になって全力疾走するなんて!」
「わ、私も聖女になって初めてです!」
それはリーシャチームも同様であった。
お互いのチームの最後尾に羊が追いつきそうになった時、地面が光だし、訓練参加者全員は一斉にその場から消えた。
✩皆様にお願い✩
ページ下部にある★★★★★マークの所を1〜5まで評価して欲しいですm(*_ _)m
執筆の励みになります!!
【ブックマーク】【感想】もお待ちしております。




