111話 わんコロと10分
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ギリシャ神話などで聞く冥府の番犬。
そんな怪物が今まさに俺の目の前にいる。どうやら、冥府の番犬は嗅覚で俺を探知したのか、獲物だとロックオンされた。
「ガルルルルゥ!!!」
一般人だと震え上がりそうな声を出して、高速で接近してくる冥府の番犬。
俺はその突進を冷静に右ステップでかわす。
突進をかわされた冥府の番犬は、瞬時に方向転換をして、再度向かってくる。
「《九鬼一閃》」
俺は挨拶代わりに9つの斬撃を放つが、避ける素振りすら見せない冥府の番犬に命中するが、かすり傷すら負っていない。
硬っ!どんな防御力してんだよ!
「《蒼炎》」
火魔法でも攻撃を仕掛けるが、蒼い炎の中から無傷の冥府の番犬が姿を現す。
三つの首が俺を噛みつこうとするが、風魔法で翼を作り出し、空へと回避する。
だが、負けじと冥府の番犬も地面を蹴り、俺へと迫る。
「《堕落する水源》!」
冥府の番犬の頭上に水魔法を展開し、地面に叩きつけようとした。
「ガウッガウッ!!」
一つの首が吠えると俺の魔法がかき消された。
「なっ!」
こいつ魔法を無効化できるのか!? 驚きながらも冥府の番犬の爪による追撃により、俺は地面に落とされた。
瞬時に叢雲でガードしたが、地面に激突した背中が痛む。
冥府の番犬は俺が簡単に捕食できる獲物ではないと認識したのか、唸り声をあげながらも、俺の様子を観察して、ゆっくりと距離を詰めてくる。
油断などはしていなかったが、やはり相手の情報を知らずに戦うのは危険だな。アリステラに文句を言いたくなったが、ここで《神の瞳》を使うのは負けた気になるので嫌だった。
「やってやるよ。来いわんコロ、相手になってやる」
俺は錯覚で脳のリミッターを120%まで解除して、身体能力を向上させる。
叢雲を構え、冥府の番犬と対峙する。
「フフッ。冥府の番犬のスキルに戸惑っている頃かしら」
ギマンを見送ったアリステラは優雅に紅茶を楽しんでいた。
アリステラはギマンが相手にしている冥府の番犬のスキルは知っていた。
三つの首に一つずつ強力なスキルが備わっており、《魔法無効化》、《物理攻撃無効化》、《必中》だ。
三つの首が同時にスキルを発動すると、何も出来ないまま冥府の番犬の攻撃を喰らうという絶望的なものだ。
唯一の希望としてスキルのクールタイムが10秒という点だろう。それでも、10秒毎に攻撃を無効化されて、相手の攻撃が絶対に当たるなんて無理ゲーにも程があるのだが...。
アリステラが30分とは言ったものの、そもそも倒せるのかすら怪しい。
アリステラは時計を取り出し、あと少しでギマンが言っていた10分になるわねと思いながら紅茶を啜る。
ドゴォーン!!!
轟音と共に洞窟から冥府の番犬が吹き飛ばされたかのように出てくる。
地面に倒れた冥府の番犬は、その後ピクリとも動かなかった。
「見たかわんコロ! でアリステラ今何分だ?」
洞窟から軽い傷を負ったギマンが出てきて、アリステラに時間を聞く。
これにはさすがのアリステラも驚く。あの厄介なスキルを抜きにしてもレベルは900もある冥府の番犬がこんな早くに倒されるなんて。
「ちょ、丁度10分よ...」
「へっ、その顔が見れただけで急いで倒した甲斐があったぜ」
ギマンはアリステラの驚き顔を見て、やってやったぜといったドヤ顔をする。
「それにしてもあの面倒なスキルをもった冥府の番犬をどうやって倒したのかしら」
「んー?教えて欲しいか?それなら頼み方ってもんがあると思うけどなぁ?」
ギマンの煽りを受けて、アリステラはカップを持っている手を震わせて、イライラするが、グッと堪える。
「お、教えてください」
「教えてくださいお願いします」
「ちょ、調子に乗らないで!」
「じゃあこの話はなしだな」
「わかったわよ!教えてくださいお願いします!」
アリステラは珍しく顔を真っ赤にしながら、ギマンに頼み込む。
ここにヘクターがいたら速攻で攻撃してたであろう。
「そこまで言われたらしょうがないなー。話してやるよ」
ギマンは満足したのか、冥府の番犬との戦闘を話し出した。
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