109話 仔羊の群れ庭と転移
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「ヘクター座標転移で私達を仔羊の群れ庭へ飛ばしなさい」
「御意」
てっきり俺はヘクターだけしか転移出来ないものかと思っていたのだが、どうやらそういう訳ではないらしい。
「ヘクターに転移をお願いしたから、あと5分程待ってね」
アリステラの言うことを解析していくと、この人数を転移させるのは時間がかかるのか、それとも自分以外の者を転移させるとなると難しいのか、どちからは分からないが、すぐには出来ないという事だ。
5分時間が出来たので、俺は見知った顔に挨拶しにいった。
「皆は残ってくれたのか」
最初の訓練で俺と一緒だった、スイエル、ユーリッド、ルイジアナ、パーシヴァル、ジン、レテ、スバルに話しかける。
「わらわも思うところは色々あったんじゃが、デノンハウザーや他の王の覚悟、それと強くなれるのなら何でも利用してやろうと気持ちを押し殺したんじゃ。そして、心配してくれて嬉しいぞギマン!」
スイエルは序列1位『堕天』ルシファーと、因縁があるので同じ魔王であるアリステラと関わるのは嫌だとは思っていたが、本人がこういうのなら心配は要らないだろう。
俺はスイエルからの抱きつきを回避しつつ他のメンバーから話を聞く。
「スイエルさんはいつもは威厳があり、頼りになるんだが、英雄殿がいると乙女になるな。俺はそこら辺に関してはドライだからあまり気にしていない」
「私も、強くなれるのなら何だってやる」
同じ4強であるジンとレテは強くなる事に純粋らしい。
「私は近衛騎士団長として、王の決めた事に従います」
「自分は成り行きっすねかね。ここで団長置いて逃げたりしたら後が怖いですし」
ユーリッドとパーシヴァルは2人らしい感想だった。
パーシヴァルは会う度に痩せこけていっているので、心配だ。今度胃薬でも渡しておこう。
「英雄殿は少し見ない内に私達を驚かせてくれるな。不安がなかったとは言い難いが、ここで逃げては獣人の名折れだ」
ルイジアナは帽子の唾に手を当てながら、かっこよく言い返す。お尻から生えている尻尾は何故かブンブンと振っていた。
「勇者である僕が逃げだしたらカッコつかないですからね。これで強くなって、ギマンさんにお前は立派な勇者だって言ってもらえるようになりますよ!」
今更こいつにこんな事聞くのは野暮だったな。
誰よりも勇者の心を持った少女はやる気満々だった。
スバルには後で話したい事もあるからな。俺は同じ転移者だと思うスバルに聞きたいことがあった。
それは神が人を魔族として転生させられるのかだ。
ないとは思うが必ずしもないとは今の俺には言えない。アリステラが巴の可能性などほぼありえないのだとしても、確認くらいはしてもいいだろう。
「アリステラ様、転移の準備が出来ました」
ここで5分たったのか、ヘクターがアリステラに転移の準備が完了したと伝える。
「始めなさい」
「御意。《座標転移》」
ヘクターがスキルを発動すると、地面が光りだし、吸い込まれるような感覚に陥る。
光が消え、目の前の景色を眺める。朝の時間帯なのに周りは暗く、長い槍のような木がそこらじゅうに生えている。
「メェ〜メェ〜!」「メェ〜!メェ〜!」「メェ〜!メェ〜!」
そんな木よりも大きい、黒い毛並みの獰猛な目をした羊がざっと見る限り100体以上はいる。
今はまだ俺達の存在に気づいていないのか、攻撃はしてこないが、アリステラが言っていた仔羊とは思えない存在感だった。
急に転移したと思いきや、いきなりこんな光景を見せられて全員唖然としていた。
「モフモフで可愛いでしょ?今から貴方達にはこの可愛い仔羊を倒してもらうわ。本当は1人で相手してもらいたいのだけど、私は優しいから最初は5つのチームに別れましょう」
アリステラは笑みを浮かべながら、目の前の仔羊を倒してもらうと簡単そうに言ってくる。
やはり俺の嫌な予感は的中したな。
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